“私も黙っていたくない。何もしない自分ではおりたくないってめっちゃ思う。娘と、これからの未来のために”
37.中平政和&有里 / 農家
中平夫妻は淡路島で無農薬・減農薬農法で農家をされているのだけど、この国の現状を農家という視点からみてる彼らの話を知ってほしい。
ということでnote LAMPPOST 、ひっさしぶりに更新しました☺︎
彼らのお話を聞いてると、国の政策と自分たちの生活がいかに結びついてるのか、マクロの世界の中にいるミクロの自分がものすごく影響を受けてることを感じます。
でも逆も然り。
どんな立場や関心・無関心であったとしてもこの国に生きている以上、わたしたち全員が国をつくってることだけは変わらない。
それならアクティブに国づくりに参加できるときには参加した方がいいじゃんね!?!?とわたしは思います。
10/27は投票日です。
GO VOTE❣️❣️❣️❣️
投票するきっかけになったらいいなぁと思い、無料で最後まで読めるようにしているのでぜひ読んでみてください☺︎
◾️中平政和(ナカヒラ マサカズ)
淡路島で無農薬・減農薬栽培で農家をしている。2015年に大阪から淡路島へ移住。
前職はアフリカまでラスタ運動の人々の写真を撮りにいくカメラマンをしていたり、エッジの効いたたこ焼きバーの店主をしたりなど、豊富な職歴を経て農家になる。
Instagram: @nakahira_farm
◾️中平有里(ナカヒラ ユリ)
政和さんと結婚後、「豊かに生きるとは何か」を2人で考え、共に淡路島へ移住し農家となる。単身でオーストラリア・フランスに長期滞在したり、英会話講師や大学の留学部署で勤務。
「点を増やせば描ける線も増える」という考えから多様なバックグラウンドをもっている。
Instagram: @nakahirafarm_marais
_これからの日本や世界に必要、逆に不要だと思うことは?
政和(以下、M): みんなが知ることやな。今、一般的に出てる情報として日本の自給率は38パーセント。けど、輸入に頼ってる種や肥料を抜いて考えたらほんまは10パーセントくらいとも言われてる。
それって「はい、来年から日本への輸出やめます」って外国から言われた瞬間、みんな飯食えへんくなる。日本がやで。
有里(以下、Y): 種がなかったら農家でさえよ?国の農業が廃れるということは国が廃れるということ。今の農業政策は“食は国防”ってことを大前提にできてない。
もし外交で交渉したくても、食料を引き合いに出されたら兵糧攻め。自給できないってことは立場が弱いし自衛できない、自立できないってことなんよね。
だから、国がすべきは海外に頼ることをやめて国内産業を活性化、安定化させること。廃業する農家も多いみたいやし、一回無くしたものは簡単には戻れへん。第一次産業は国を支える始まりの1で、国産国消に絶対力を入れるべき。
こういうことをみんなが知って、食は国防で自分たちのことなんやって考えられたらいいなと思う。
_影響を受けたアドバイスや言葉はありますか?
Y: 「買い物は投票」。庶民にあるのは数の力だけってすごい思うのよ。
わたしたちが何を選ぶか、何にお金を払うのかっていう基本的な行動が世の中を変える力になる。ダメな政府にNO!って意思表示するのも、何を買うかってことも形はちがえど同じく投票なのよね。
一人ひとりの力は微力でも、ちっちゃな意志が集まっていけば、大きな力になる。だから、全員がちょっとずつでいいから真剣に国づくりに向き合わなあかんと思う。
M: 誇りを持つことよな。自分たち市民が国を構成してるって、農家になってからすごい感じる。だから最近は”PROUD TO BE A FARMER(農家であることを誇りに思う)”が俺らの標語。
SNSで流れてくる農家の「助けてください!商法」とかを見てると、いや、ちゃうやろって思う。あれは農家が農家自身の価値を貶める。
確かに農家だって採算が取れへんかったら続けられへんけど、そもそも食べものってみんなに関わってることやん。食は国防。だから、国内で作られた美味くて安全なもの食べることが自分も国も守ってることにみんな気づくべきやし、第一次産業の人間はそこを担ってることにプライドを持って仕事をしなあかん。
_ 働く中で、あるいは生きてる中で大切にしているキーワードを教えてください
M: “Satisfy My Soul”っていうボブ・マーリーの曲があるんやけど「自分の魂を満たす」、それをどうやるかがすごい重要やねん。
例えばお金を稼ぐにしても、稼ぎ方が大事で。通常の慣行農業より1割農薬を減らしてるだけで「減農です」って言っても嘘じゃないけど、それって売るための謳い文句やん。そうじゃなくて、美味くて安全なものを作るのが俺らの仕事。そういう筋を通してたい。
Y: そうね、だから「清く正しく稼ぎたい」と思うのよ。
稼ぐって、生きていく上でどうしたって必要なことやし、この人の野菜が食べたいと思ってもらえる農家でありたい。収入はその成績表でもあるかなって思う。
無農薬は理想やけど、農家として食べていくとなると全部をそれにするのは難しく思うから今の段階では減農薬農法が現実的やと思ってて。天気や気温、畑の観察を徹底して、どこのタイミングで虫がつくとかを見極めて必要最低限の薬を使う。知識と経験を増やしてほんまに必要な時に少しだけの農薬で野菜を作れるようにするのは農家が頑張っていかなあかんとこやと思う。
_自信や誇りを持つにはどうしたらいいでしょうか
M: 行き切らなあかんと思う。本気でその仕事に向かい合って、全部できるようになった上でしか誇りは持てへん。できひんときは、何やってもおもしろくないから。だから、アホになれる時期にちゃんとアホにならなあかん。恥かいていい最初の時ほど率先してその道の先輩たちに教えてもらう。
自信も誇りも、本気で向かい合ったあとの話やと思う。
Y: それって自分にやましくない自分でいることやと思うのよ。
やれることやった上での失敗やったら、「あ、今はまだ自分はここには到達できてないのか」って、ただ受け入れるんちゃうんかなと思うのよね。
だから、ありたいと思う自分でいるために「あぁでもほんまは手抜いとったしな」とか思わんようにがんばらなあかんよね。
_成功と失敗の基準は?
Y: いろんな見方があるけど、成功は 「足るを知る」っていうことがひとつ大事かなって思うのよ。ムヒカ大統領って知ってる?あの人が「貧しい人というのは、少ししか持っていない人ではなく、無限に欲しがる人のことだ」って言葉を残してるんやけど、ほんまにその通りやなって。
わたしはもう自分が何を大事に思ってて何を欲してるかわかっていて、足りてる。
大切な人もモノも全部ある。別に余裕があるわけじゃないけど!
だから、わたしは誰ともわたしの人生を取り替えたくない。つまりは大成功よね(笑)
_今日までに学ぶのに最も時間がかかったことや教訓を教えてください
M: …やっぱり人はめんどくさいってこと(笑)
俺は考えすぎてしまう方やから、人になんか言われたとか、逆に傷つけるような言い方してしまったとか…そういう人間関係で悩むんやけど、それがとにかく嫌やねん。
だから、人が嫌いなわけじゃないねんけど、いい距離感で付き合いたいねんな。
Y: 捉え方はちがうけど、わたしも人との距離の取り方は学んで身につけたことかもしれへんなぁ。
人と関わるんやったらいいとこシェアする以外何があるんって思うのよ。笑顔で気持ちいい挨拶するだけでもなんか嬉しいし。たとえ誰かの言葉に腹立ったって舌打ちしたくなっても、わたし呪い使われへんからさ(笑)ずっとイライラしても、その人には何も関係ないんよね。それを抱え続けるのって、わたしだけの問題になるのよね。
“SUNNY SIDE“っていう言葉が好きなんやけど、物事の明るい面を見ようとすることもめっちゃ大事やと思うんやんか。人のいい面見れる方が自分のためにもいいやん。
でも近づきすぎたら摩擦になると思うの。だから「もうちょっと近づきたいな」って思う1番いい距離は、学んできたことかな。
_あなたにとって仕事とは?
M: 社会の中で自分が担当してること。
自分もめっちゃがんばってると思うけど、みんながんばってるから社会が成り立ってる。
生きるってそれだけで大変やし、全部を1人で賄えへん。工事して道を整えてくれる人がいるから移動できるし、コーヒーを出してくれる場所があるから気晴らしができる。その「担当してくれてありがとう」っていう感覚がめっちゃ大事やなと思ってる。俺らはこっちでがんばるからなって。
Y: なんでもそうやけど、作る人がいるからそれはある。食ってみんなに関係あることやし、自分たちのしてることが誰かの役に立ってる実感は、自分も社会とか国を構成する一員っていう意識を産んでるよね。
_仕事をやり続ける原動力は?
Y: わたしたちから野菜を買ってくださるってことは、その方々の身体をつくる食べ物を任せられたってことなのよね。その預かった信頼に「おいしい!」だけじゃなくて「安心・安全」もお届けすることで応えたい。水と食料は、生きるためのそもそもの根源やから、そこを担ってる誇りもあるよね。
M: あとはやっぱり楽しい。農業って技術やからな。毎年の経験が知識になっていくし、「春が来たな」とか「今年はこういう感じかな」って畑ずっとおるから、体でめっちゃ感じるし…そういうのが好きやねん。おもろいねん。めちゃめちゃ楽しい。
大変なこともいっぱいあるけど、朝とか畑行って思うもん。
きれいやな、いい職場やなって。
_これまでの自分に感謝したいことは?
M: 選択肢って常に起きるやん。その全部がよかったなと思ってる。ゆりとおるから。…照れくさいけど(笑) でも、ほんまそうやねん。ゆりじゃなかったら今が成り立ってないし…チームやねん。ほんま、嫁さんありがとうって思ってる。
Y: まーくんとその選択っていう話を2人でもよく話するねんけど、何かがちょっとちがうかっただけで、今って変わってたよなって。あの道を右に行くか、左に行くかで大きく変わってたかもしれへん。
だから今ここにおるのって綱渡りみたいな奇跡なんやなって、ほんまに思う。今と今の自分に満足をしてるから。
_これからの夢あるいは目標は?
Y: 満足して死ぬことかな。やっぱり、他の人の人生と取り替えたくない自分の人生を生き続けること。
M: 俺は…やっぱり戦いたいねん。
農家になったから見えたこと、知ったことがいっぱいあって。一部にだけ利潤がいくような搾取とか抑圧がまかり通るのはおかしい。ただ野菜作って儲けるために農業をしてないというか…娘の稀も絶対見てるから。俺らの姿を。
Y: そういう意味での目標って言われたら、私も黙っていたくない。何もしない自分ではおりたくないってめっちゃ思う。娘と、これからの未来のために。
微力かもしれんけど、わたしやから伝えられる人もきっといるし、一人ひとりの発信とか意思表示が世の中をよくしていくんちゃうかな。草の根運動で「自分たちの行動が世の中を変える」とみんなが考えられる風土になれればいいなと思う。
https://note.com/annielena/m/mea44df2160ae
サポートくださりありがとうございます!ご支援いただいたことを糧にこれから制作をがんばります。