私が「本当に」やりたいことと向き合うStory ① <涙が止まらなくなった話>
『わけもなく涙がこぼれて止まらなくなった。』
小説か何かで出てきそうな一文。
こんな状態に自分がなるなんて、誰が予想しただろうか。
いや、できるはずもない。だってこの私が一番予想していなかったんだから。
もっと自由に生きたい。
私にしかできないことをやりたい。
このままここで働き続けられるのか。
これは本当に私がやりたかったことなんだろうか。
でも、周りはみんなちゃんと働いてるじゃん。
生活していくためのお金はどうするの。
仕事辞めたら周りが何て言うか想像してみなよ。
今辞めたら、転職に響くよ。
私の頭の上で、2人の私が交互に口論している。
そんな日が数ヶ月続いてた。
そしてある日、私の中でプツンと糸が切れた音がした。
本当に、そういう音が心の中で聞こえたのが分かった。
その2日後の日曜日。私はとうとう爆発してしまった。
日曜日の昼、何かしていたわけでもないのに涙が頬を流れた。
いつもは楽しいドライブをしていても、お気に入りのパン屋さんで美味しそうなパンをゲットしても、なぜか私は泣いている。
大好きな料理も散歩も、それをするエネルギーが湧いてこない。
いつもと何かが違うぞ…
いつもはちゃんと立ち直れるのに…
夜になればマシになるかな、なんて思ってた。でも悪化するばかり。
22時。明日は仕事。早く寝ないと。
でも、あの場に行く自分を想像しただけで震え出してしまった。
必死に自分で自分を抱きしめた。
大丈夫、大丈夫だよって。
2ヶ月くらいかけて探してようやく見つけたお気に入りのカーペットの上でだらんと横になる。
涙で濡らしたくない、と顔の下にタオルを敷くことにはなぜか気が回った。
「休んでいいんだよ」
その言葉だけが欲しくて、私は母に電話した。
電話をかけるのにも数分かかった。
いつもはすぐにボタンを押せるのに。
いつもは21時になると携帯を見ない母。この日は珍しく電話に出てくれた。
「帰っておいで。」
母の言葉を聞いた瞬間、我慢していた涙が堰を切ったように溢れ出てきた。
久しぶりに声を上げて泣いた。
20代にもなって、って思った。でも大人は泣いちゃだめって誰が決めた?
明日、新幹線の時間が分かったらまた連絡するね
そう言って電話を切った。
明日、職場に行かなくていいんだ。
そう思うと少しだけ、ほんの少しだけ安心した。
ただ一つだけ。
明日の朝、上司に連絡しないといけない。
何て言えばいいんだろう。
涙が止まらないので休みます。そんな理由で休ませてもらえるのか?
熱が出てしまって…、いや、某ウイルス感染を疑われて逆に面倒なことになるんじゃないか?
子どもが仮病の言い訳を考える時って、こんな感じなんだろうな。
いいや、明日考えようと思って、私は眠りについた。
To be continued.