岡崎孝一

写真をやっています。 Instagram: https://www.instagram.com/ok___human/

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最近の記事

それはかつてあった?

バルトは「写真の指向対象」はある映像や記号によって指し示されるものであり、この特徴は他のメディウムから明確に区別されるとした。なぜならば、対象が写真になるためには必ず現実に存在しなければいけないとバルトは考えたからだ。 そして、写真に写ったものが「現実のものであり過去のものであるという二重の措定」が存在するからこそ、それはかつてあったということを決して否定できないとバルトは主張した。この写真の「指向作用」こそが写真のノエマ、即ち本質であるとした。 さらに、バルトは自身が写

    • Photography(ing) 

      一般的には写真は認識の対象である。それは文字や絵と同様に何かしらの観念や概念を指し示しているということだ。林檎という文字が林檎それ自体ではないように、林檎を写した写真は林檎を指し示しているに過ぎない。この意味において、写真はあらかじめ一定の虚構性を内包していると言ってよい。 しかし、この話はある意味当たり前のことで、本当に面白いのは「だからどうするのか?」という問いの方だろう。だから、私はそういった前提があり、(人間である以上)認識そのものを打ち破ることが限りなく難しいとす

      • アイデンティティーの話

        私はアイデンティティーは存在しないと思っている。ここで私が言うアイデンティティーとは、ある個人の同一性を絶対的に定義できる「何か」と私は考える。一般的にその「何か」は、名前、国籍、人種、民族、性別、ジェンダー、年齢、身体的特徴などを指すことが多いだろう。そして、人間はそれらの要素を複合的に組み合わせながら自己というものを構築していく。しかし、それらは私が私であるということを絶対的に証明できるものでは無いのだ。なぜならば、先に挙げたような要素は流動的であり、常に比較の対象として