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クレーマー女の憂鬱(口コミがバレた代償)



私はクレーマーなのだろうか。




という内容を以前書きましたが、


「クレーマー」かどうかは置いておいても
少なくとも「面倒くさい奴」ではあるなと
日々身に染みて痛感しております。


分かっているのです。
そんなことは、

自分が一番分かっているのです。

「うわー私面倒くさいな」
「絶対面倒臭いと思われたな」

なんて、当然こちらも思っているのです。


だから葛藤しているのですよ。

「これは、言うべきか言わないべきか」
「このくらいで文句を言うのはどうなのか」

とか、色んなこと。

正直、
「そんなの全然不満じゃない」
という精神をお持ちの方に
一番憧れています。


不満って、
自分ではどうしようもなくないですか?
気付いたら溜まっていたり、込み上げていて。

私も流石にアラサーですからね。
この身体と魂で30年程を生きている訳です。


なので、自分で分かるのです。

「不満を持たない、事はたぶん無理」
「ただ、その不満をどう処理するかだ」

という事を。


本当にそうだと思っています。
落とし所をどこにするか、何にするか。

それによって
行為の価値や意味が
変わってくるように思うのです。



不満を持たない事は難しく
ハッキリさせたかったり
筋の通っていない事を見逃したくない私は

こういった手間のかかる自分の精神のやり取りに
向き合っていかなくてはいかないのです。


世界での出来事は変えられないことばかりですが
自分の気持ちと精神は
自分次第で変えられると思いますから
出来る限り努力したいと、
努力するという気持ちを
持ち続けたいと

そう思っているのです。



この間歯医者で口コミを書いて
バレてしまった話を書きましたが

そして、クレーマーとはなんぞやと
私は自虐でクレーマーを自称するけれど
自分の本心ではそう思っていないという事を書きました。


それを踏まえて、
というより文字に起こした事により
更にその事について考える様になりました。

文章を読む事も、書くことも
「思考する」ことなのだと、よく言われますが
今回はまさにそれを体現しています。


クレーム、クレーマーについて書いた事により
自分の日々の行いと精神と
行動の元になるポリシーを
見直しているところです。


理念やポリシーも
見直しは必要ですからね。
または、反芻してまた強く
自分で自覚して心の根底に強く
刻みつけておきたいと、よく思うのです。

それが理念で、ポリシーだと思いますので。
覚悟とも言えます。
私は自分の行動に
覚悟と自覚と、責任を持ちたいのです。

「そんなつもりなかった」
と言う場面を、思う場面を
極力減らしていきたいのです。
元々あまりないですが。

それでもやはり時折、現れますから。
そんな場面を、作りたくないのです。




何が言いたいかと言いますと


やはり、恥ずかしいのです。

すぐに文句を言いたくなったり
筋の通っていない事を許せない自分が


恥ずかしいなと思うのです。





口コミがバレてしまったことも
やはりとても恥ずかしいのです。

たぶん私は院内で
トップクレーマーに君臨しています。
取り扱い注意患者になっているのでしょう。

だから姫対応もされているのです。

姫対応も、「大切に扱われてる?」
と思えば嬉しくも感じますが

「こんな風に扱わないとダメな人」と
思われていると、
それは恥ずかしいなと思うのです。

なのでそれ以降その歯科では
極力大人しく、まともな人に見える様に
日々通っているのです。


が。


そんな私にプチ事件が起きてしまいました。



前置きが長すぎますね。

この間、治療中であった歯に
土台を建てて、被せ物の仮歯をつけました。

少し硬度のあるタイプの仮歯です。

マウスピース矯正等が落ち着いてから
私の矯正前に行っていた歯医者で
被せ物の本体を作るつもりだからです。

そして仮歯を付けて帰宅すると
食事中に気付きました


頬を噛んでしまう。

私の仮歯を付けた奥歯が
物を咀嚼するたびに私の頬を挟んでしまう。

少し気を付けながら噛んでみる。
それでも30回に1回くらい噛む。

そちら側は使わずに噛んでみる。
くっ、高さが合わず噛みづらい。

むむむむむ、
これをずっと続けていくと思うと
私の頬はボロボロになってしまうのでは。

1日過ごしてみて、
すでに頬は白く皮膚が壊死していた。
このままでは大きな口内炎になりそうだ。


ずっと反対側で噛むと言うのも
非現実的な案である。

これは付けた仮歯を調整してもらう必要がある。


だけれど、次の予約は2週間先。
ギギギ。長すぎる。
もう明日にでも調整されたい。
頬がこれ以上痛むのは嫌である。


歯医者に電話をする。
この間治療したことを説明し
その後飲食時に痛みがある事を伝える


「では、
予約をお取りする形でよろしいですか?」


予約を取るように進めてもらうと

聞いている感じ
1週間くらい先の話をしている。


そ、それは、、、、



「すみません、食事の度に痛いので
直近で行けませんか?」


電話
「直近、、、ですか?」


難しそうなリアクションだ。



「そうですね、ちょっと、、、このままは、、」


私も頬を守るためにここは食い下がるしかない。


すると数分して
なんとか明日の午前に予約をしてもらえた。


よかった、と安心したが


電話を切った後


「いや、
なんで私が無理言った感じになるんだ!」

と思っていた。



うわでた、クレーマー。
と自分の精神を見つめていた。

予約が埋まっていたのは仕方ないし
それを「待ってもいいので」
とねじ込んでもらった立場なので
申し訳ない気持ちが大きいが




でも、、、

治療後に痛くなったって、、、、




それは

「すぐにでも来てもらっていいですよ」

みたいにしてくれてもいいのに。


と思っていた。



もしかして歯医者によって違うのかもしれない。

前に治療で通っていた歯医者は

私の虫歯大量発生事件の頃に
大変お世話になっていて

常に深度の大きい治療であったため
いつも痛み止めを出されていた。
そして「痛くなったら教えて下さい」と言われ

時々痛みがひどい時は電話し
「急患で来てくれていいですよ」
と、当日そのまま向かったりしていた。


「待つけど、それでよかったら」
と、
痛みがある場合はすぐに対応してくれていた。



今思うと、あれはただの神対応で
普通の事ではなかったのか?


「有難い」とは、まさにこういうことだな。
当たり前と思ってはいけなかったのか
と、考えていた。


しかもその歯医者の場合は
私の虫歯が酷すぎて痛いだけなのに
「痛ければすぐ対応」としてくれていたので

今回は

「いや、治療のせいやーーん」
「絶対仮歯の形じゃーん」
「もう少し削ればよかったんじゃーん」


内心、口を尖らせていたのだ。


それでもまあ、予約してくれたので
とりあえず行くしかない。

予約は 朝10:30
私のような人間にとって
土曜の朝10:30はなかなかハードルが高いけれど

今回はいつもより
「遅刻してはならない」度合いが高い。

緊張の面持ちで過ごす金曜の夜。


土曜、案の定寝坊。

大急ぎでお風呂に入り支度をする。
身だしなみも整えないといけない。
私はトップクレーマーなので
身だしなみがヤバいのは完全アウト。

やはり口コミがバレた代償は大きい。
自分の落ち度が今後はほぼ許されない。

私は身だしなみを整えて
なんとか家を出た。



忘れ物をした。


諦めてタクシーを呼んだ。


来たタクシーに乗っていたのは
短髪のカッコいい女性ドライバーだった。
短髪というか、ベリーショート。


「実は歯医者に行くのに寝坊しまして」

というと、ドライバーはケラケラと笑い

任せてください、と車を出した。

「今日は雪が降るかもしれないみたいですね」

とか話しながら乗っていると
道も混んでおらず、スムースに到着。

よし、トイレで髪の毛を直す時間まであるぞ
と歯医者の入っているビルに向かう

小さなおばさん4人がビルのガラス扉の前にいる。

なんだろう?と思ったけれど
二重のガラス扉を一枚目を通った。

すると、二枚目が塞がれており
「10:30〜」という看板が建ててあった。

なんと、ビルは10:30からしか入れないのか?

後ろを振り向くとガラス扉の向こうで
おばさん達が4人でこっちに手招きしている

ガラス扉に挟まれてしまったので
あわわわと慌て、ニヤニヤしながら出ると

「こんなところ空いてたのね〜?」
「10:30からなのよ」
「ここだけ空いてるねえ」
「見落としてるんだね警備員さん」
「空いてたの気付かなかったわあ」


口々におばさん達が話す。

私は少し慌てながら
「私、このビルの歯医者で予約取っていて
10:30なんですけど、
このビル入れないんですね、、?」

と自分の事情を説明する。

おばさん達はまた口々に話し始める


「あらー?」
「それは変よねえ」
「困っちゃうね」
「そんなの、おかしいよねえ?」
「予約してるのに入れないなんて」

そうですよね、、と話しながら
歯医者に電話をする。


すると、一つ上の階のエレベーターからなら
来れると言われた。

わかりました、と
電話をしたままその場を離れ
おばさん達を置き去りにする形になった。


エレベーターはいつも通り使うことが出来て
歯医者もいつも通りの様子だった。

到着すると、
担当の先生がもう受付付近におり
私の治療はおそらく
全ての予約の前に見るのだなと感じる


すぐに部屋に通された。

「頬を噛んでしまいます」
「それが痛くて」
と説明していると担当の先生がやってきた。

口を開けて見てもらう


先生
「なるほど」

「これはねー、実は仕方なくてですねー」




え?


聞いていると
仮歯の大きさには問題がなく、
出っ張っている部分もマウスピースの突起で
どうしようもないらしい。

口答えをするつもりはないが
対応策が気になるので質問する。



このままずっと噛んでしまうしかないのか?



先生
「そうですね、
気を付けてもらうしかないですね」


、、、、ずっと、、、、?


先生
「ここは長い期間隙間があったので
急に仮歯を入れた関係で
頬とのバランスとかが取れないんですよね。
馴染むまでは、どうしようもない、、
ん、、、ですよねえ」



、、、、なるほど。
とにかくどうしようも無い事を理解した。


その後は申し訳なさそうに
私が納得しそうな言葉を繋げてくれる先生と

苦笑いしたり、
「なるほど〜」「そっか〜」みたいな
顔をずっとしている私の頷きだけ続いた。


頷きと言葉を交互に続け
そろそろ平気そうかな?のタイミングで
会話は終わった。

私は
「すみません、なんか朝から、、」

と言ったが
先生は「あーいえいえ」と言っていた。

物凄く緊急だ、という雰囲気で電話し
「ずっとこのままは辛いので」と
予約を入れてもらい来院したのに

「どうしようもない」と言われ

私はなんだか気まずくなった。


そうなんだ、、、
ずっとほっぺ噛み続けるしかないんだ、、、



と思いながらとりあえず受付にいく。


受付の人に先生が何か伝え
診察券を持って私の席に来た

先生
「何もしてないので、今日お会計大丈夫です。」


うっ、まさかの。
300円とかでもいいから、払いたかった。

本当に申し訳なくなり
ぺこぺこして歯医者を後にした。






はあ。気まず〜い。


気まずい。


まあ、詳しい事は素人の私には分からないので
頬の痛みの原因について説明してもらうのは
必要だった事なのかもしれないが


色んな経緯が相まって
私はとても気まずい気持ちだった。

それにしても。
文句を言わなくて良かった。

「治療後に痛くなったんだから〜」とか
「予約もっと早く入れてくれないと〜」とか



予約の時点で横柄な態度を取ったり
細かい文句を付けなくて良かった、と
心から思った。


まあ横柄な態度は
いつも取っているつもりはないが
電話の人の態度次第では

「私の管理で傷んでいるわけではなく
前回の治療後に痛くなったと連絡しているのに
どうしてそんな態度なんですか?」


とか、言いそうである。
私という人間は。




緊急かの如く予約を取り、
朝も必死で遅刻しまいとタクシーに乗り
その上来院した事は殆ど意味がなく
なんか迷惑をかけた雰囲気になり

そして
土曜の朝の11時前に、街で自由の身となった。



頬の痛みは結局治らないままで

次の予定までは3時間ほど持て余す。



そもそも今日は、
眼瞼下垂の手術を受ける予定だ。

つまり中々のビックイベントではあるのだが
その直前に行くほど
当時の私は「緊急だ」と
口内の状況を認識していたのだ。

けれど、特段来た意味は無く
気まずい思いだけが残ってしまった。
朝早くから見てもらい
気まずそうに説得され
気まずそうに頷いて終わった。

最後に
「たぶんこれで料金かかるのは
不満に繋がりそうだな」

そう判断されたから
料金が掛からなかったのかもな、と
想像すると、胃のあたりが重くなる。

私が元々クレーマーでなくても、
例え以前に口コミを書いていなくても
同じ対応をされたかもしれない。

でも私は口コミや、
元々の自分の「クレーマー気質」への
コンプレックスにより

必要以上に、考え込んでいた。

「迷惑かけたかも」
「私がこんな性格でなければ」
「文句付けてたら余計気まずかったな」
「その可能性がある事が、なんか嫌だ」
「他の人はこんなの全然不満に思わないのかも」
「私は心が狭すぎる」
「なんでこんないちいち気になるんだろう」



考えれば考える程嫌になった。
だが、
私の中の討論者が論理武装してこう叫ぶ



「いや、口内の様子がおかしかったら
すぐに連絡して歯医者に行くのは良いことだから」

「仕方がないとしても、それを
患者に説明するのが医者の役目だから」

「治療後に痛くなった事には変わりがないから
すぐに来て、という姿勢を取ってほしいと
思う事は別に悪くないよ」




うううう。
全て言っている事はわかるが。
でもそんな論理ばかり
振り翳して生きていくのか。


そんな事誰のためにもならないのではないか。
私のためにも。
現にこうやって、恥ずかしかったり
気まずい思いが
増えてしまっているじゃないか。
今まで論理で失った物も沢山ある。



「今回は変に文句をつけなくて正解だった」

「態度はそこまで失礼じゃなかったはずだ」

「今後も礼儀正しくしていれば、
そんなにおかしなクレーマーとは思われない」

「大丈夫、本当に正しいと思う事をすれば」

「大丈夫、礼儀さえちゃんとしていれば」

「本当に許せないと思う事を、礼儀正しく
自分のポリシーに沿って伝えればいいだけ」

「自分の心と折り合いをつけて、
許せない事以外を許せばいいだけ」



自分が今後どうすればいいかと
悪い人間に、モンスターにならないための
自我を育てようとグルグル考えていた。



それでもすぐには晴れない心と
持て余す時間があった。



ふと、献血の看板が目に入った。

、、、、これしかない。

私は人生で初めての献血に行く事にした。



まるで
自分は善い人間であると証明するように。
そしてそう信じるために。 


朝から何も食べていなかったので

献血前なら食べたほうが良さそうだ、と
うどん屋へ行き、食事を済ませる事にした。



終わる頃には、
きっと眼瞼下垂の手術の時間と丁度いいだろう。


献血には前から行こうと思っていたし
勇気が出なかっただけだから
今回が良いキッカケだと思った。





うどん屋で済ませた食事では

やはり何度も頬を噛んだ。


献血へは無事に行けた。


血を抜かれながら
善い人間とはなんだろうと
考えていた。

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