公演、すべて降板のお知らせ
皆様こんにちは。
秋の良いお天気ですね。暑くもなく寒くもなく。本当に良い日です。木陰の風も空気も気持ちいい。
取り留めもないですし、長文なのでご注意を。
要件は、タイトルの通りです。
11/10.11に予定しておりました主宰公演『東京奇譚』延期のお知らせは随分前にお出しし、キャストをはじめ応援してくださったたくさんの皆様にご迷惑とご心配をおかけいたしました。その度は本当に申し訳ありませんでした。
今回、11月、12月に私が演者として出演を予定しておりました各地での全7公演すべての降板、及びクローズドのもの含め名前が出るピアノ演奏のお仕事すべての降板をお知らせしたく、つらりとノートを書き始めました。
主因は、当時を覚えている方もいるかもしれませんが、10年前にやった、あの『フォーカルジストニア』です。簡単に言えば、指が動かなくなる脳の病気です。東京奇譚延期の件に関してはジストニアプラス他の体調不良も合併しており、そちらの方は徐々に徐々に回復しておりますが、今回の演者としての降板は、ジストニアの状況を含めて決めました。
どんな状況でも、どんな痛みでも、もらった仕事をやり切ることが自分の道だと最後まで走ろうと幾度も幾度も思いました。
でも、状況は週ごとに、いや、日に日に悪くなっていって、自分の普段から比べたら2%くらいの力しか出せなくなっていた。
ジストニアは脳の病気なので、弾いた瞬間に頭がボーーーっとして、ブレインフォグのような状態になる。文章を書いている今も、文字の順番が一瞬分からないような時があります。
前回(10年前)のジストニアは、一年弱のリハビリを得て治療し、一度完治しました。完治はジストニアとしては奇跡的で、10年、本当に楽しかった。人との縁を始めとして、たくさんのものを得ました。ピアノを弾いていなかったら、味わえなかった思いもたくさんたくさんありました。
動く少ない指を駆使してなんとか弾いた今日の仕事でさえも、ピアニストであれるという喜びがあった。
私が一度完治した時に泣いて喜んでくれたダンサーは、今はもう遠い遠い空の上へ行ってしまいました。
ジストニアは、基本治療法のない病気で、いつまた復帰できるのか分かりません。年をまたいだら、基本的には入れている仕事はないので、復帰の予定は完全に未定です。
夏から徐々に動かなくなった指先は音楽を失って、同時にたくさんのものを失いました。でも、何かを手放したら人は必ず何かを得るし、何かを得れば人は必ず何かを手放さなければいけません。
私は、ギャグかってくらい 笑ってしまうくらい本当にいろいろ失ったのだけれども、得たものもあった。
自分の知らなかった自分の望みを知ることができたし、仕事の面では脚本を書いて演出して、やりたいこともまだ泉のように湧きます。実現できるかできないかは分からなくても、相談できる人も増えた。心配してくれてるひともいて、大好きな人たちもいます。
今、これを書く直前に話したダンサーの先生も、弾いてなければ出会えなかった。いつもいつも心配かけてごめんね、先生。
そして今日、降板の電話を受けてくれた、たくさんのご迷惑をかけた方たちも。本当に、ありがとうございました。大好きです。
治るか分からないけど、もしかしたら違う道を模索していくかもしれないけど、音楽で得たものは一生の宝物です。
長文の自分語り。
違うんだぞ。二度とこの話はしたくないから一度で済ませたかった。そして、みんな大好きよ、と言いたかった。
大好きです。
YOLO.You only live once.
人生は一度きりです。
同じように苦しんでいる、むしろきっと私よりも辛い思いをしているかもしれないたくさんの人たちへ。
大好きです。
幸多からんことを。
ここまで読んでくださり、ありがとうございました。
2023.10.24
植村美有
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