自称動物愛護団体で働いていました。2
以前の記事で、私が働いていた保護ビジネス団体についてお話ししています。
今回はその続きをお話ししようと思うので、まだ「自称動物愛護団体で働いていました。」を読んでいない方は是非そちらからお読みください。
頭数オーバーでもお構いなし。
そのシェルターには、ワンちゃんが1頭で過ごせるBOX(ペットショップの小さいショーウィンドウのようなもの)と呼ばれるものが16〜18ほど並んだBOX部屋、小型犬のサークルが6〜8個並んだサークル部屋、10〜12畳ほどのスペースにMAX10頭入れられる大部屋というものがあります。(その他 感染症の子のための隔離部屋、里親決定済みの子のための譲渡部屋、子犬のためのパピー部屋、猫部屋もあります。)
収容頭数は通常100〜120頭ほどなのですが、私が入社して大体2ヶ月ほど経ったころでしょうか、収容頭数が170〜200頭になったことがありました。
先ほど述べた大部屋にはMAX10頭と決められているのにも関わらずその時には1部屋に15〜18頭入っていました。
毎週の”入荷”後に、それぞれの性格や相性をみて部屋割りをするのですが、15〜18頭となると話が変わってきます。十分なスペースがないところに見知らぬ犬同士が暮らすのですから、ストレスも溜まります。
普段より頭数が増えるということは糞尿ももちろん増えます。もちろん清掃はしていますが朝と昼過ぎだけなので夜の間にした糞尿を踏んで歩く子、踏んで歩いたところに身体を休めるしかなく糞尿まみれになってしまう子。精神面でも衛生面でも環境は最悪です。
そしてこれらのストレスからか、オス部屋ではケンカが勃発するようになってしまいました。普段ならケンカした子同士の部屋を離せば一件落着…なのですが、その時の原因は明らかにストレスですから、当事者を引き離したとしても次はまた違う子相手にケンカをするのです。
ある日、そのケンカの末ダックスフンドの男の子が亡くなってしまいました。
頭と鼻から出血、身体は不衛生な部屋のせいで糞尿でベトベト。このままでは天国へいかせられないと、亡くなった後にお風呂に入れました。涙が止まらず、死んでしまう前に綺麗にしてあげたかった、こんな環境でなければ死ぬことはなかったと、心の中でずっとずっと謝り続けていました。
こんな悲惨なことが起こった日の2日後は週に1度の入荷予定日でした。その入荷を迎えると、とうとう200頭…というところでした。
私は亡くなってしまった子をブローしながら、他のスタッフと共にMGへ「今週の入荷をやめてほしい」と頼みました。「ケンカで亡くなる子が出るほどそれぞれのストレスがひどいこと、現時点の170〜180ほどをスタッフ4人でお世話していたので、手が回らない、1頭1頭の体調の異変に気づくことができない。」と訴えました。
それを聞いてMGは「相性の問題やろ」と聞く耳を持たず。
代表の奥さんには、「求人を出す前は7〜80頭を私1人で見れていたんだからできるはず」と突っぱねられ、結局その週に200頭となり。
飼育頭数に関する数値規制、猫部屋も同様に劣悪環境
動愛法の改正に伴い、数値規制が定められました。そこには従業員1人あたりの飼育頭数という項目があり、繁殖業で犬15匹猫25匹まで。販売業で犬20匹猫30匹まで。という内容になっています。新規/既存業者でも適用は異なってきますがどちらにせよ、180〜200頭を多い日で4人少ない日は3人で見ていたのです。言うまでもありません。
猫に関しても、1頭用のキャットタワーに2頭ずつ入れている状態だったので、たまたま仲良くなれた子たちはいいのですが、殆どの猫たちは距離を保つために上段と下段から動きませんでした。そのキャットタワーにトイレは1つしかありません。上段から動けない子はその自分のスペースでおしっこ、うんちをするしかないので、糞尿まみれになってしまいます。綺麗好きな猫にとってはひどいストレスフルな環境だと思いませんか。
この保護ビジネス団体の状況を見て、予防接種やマイクロチップ挿入のためにきてくださる獣医さんが「こんなところにいるより殺処分された方がまし」とすごく極端なことを仰っていました。殺処分よりは命が繋がる方がいいに決まっていると思うかもしれませんが、お話しをするとすごく生き物への愛が溢れた先生です。その先生がそこまで極端なことを仰るほどひどい環境だったと言うことです。
その先生は、この団体への問題を代表やMGに訴え揉め、契約解消となっていました。
今回は、生体管理の部屋の状態やキャパシティを超えた収容頭数、そこから起こった問題についてお話ししました。いかがでしたでしょうか。
これが保護団体を名乗っているのです。今も気づかず良かれと寄付する方、すごくいい団体だと評価している方もいます。保護犬や保護猫をお迎えしたい、寄付金で助けてほしいという、優しい気持ちを利用した卑劣な団体です。
この団体についてはまだまだお話ししたいことが尽きません。今後も続けて読んで頂けたらと思います。