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《R4A》あなたを、我が子を。そして、組織をぐんぐん伸ばす11のプロセス

Read for Action(行動のための読書)。今回ご紹介する本は、プロサッカーコーチを経験され、保育園や幼稚園、小学校や地域クラブなどで延べ10万人以上の子どもたちを指導されている「NPO法人I.K.O市原アカデミー」代表の池上正(いけがみ ただし)さんのベストセラー
「サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法」です。


■こんな方におすすめ

・子育てをする時にイライラしたくないと思っている人
・親からあまり叱られたくないと思っている人
・勤め先でのマネジメントに悩んでいる人
・自分自身をマネジメントしたいと思っている人

この本は、

サッカーというスポーツを通してすこやかな人間形成を望む親たちのための、子育ての極意満載の書。でもね、それは、スポーツをする子どもだけでなく、大人も。そしてスポーツには関係ない自分自身への、更には組織(家族、学校のクラス内、企業)など、全てのマネジメント環境づくりを考える時にベースになる内容が書かれています。

なぜ?全てのマネジメントのベースになることなのか?

マネジメントとは、その目標を達成するために、組織の限りある資源を効率的に活用する事を指します。
視点を上げて抽象的に考えてみると、これは、私たちの日々の生活ともいえますよね。今日は天気がいいから、朝から洗濯をして、衣替えもしよう。午前中のスーパーのポイント2倍もゲットしたいから、11時までにその2点は終わらせるためには、洗濯は30分掛かるから、その間に・・とベターな手順を頭の中で考えるなど。私たちは、日々の生活の中で目標達成のために、限りある資源を効率的に活用する事を考えて行動しているのです。

「いや~、家庭と勤め先は違うよ。」と、いう声も聞こえそうですが。

1人の思考で完結する事でも、他者との協力で完結する事であっても、1人の人間がその成長過程の各局面でヒトとしてどのように行動したか、なぜそれが出来たのかという点においては、同じだと私は考えます。そして、それは年齢に関係なく、単純に”今よりも、よりよいツールが見付かったら過去の自分の固執せず、さらりと、そちらへ変えればいい。それだけの事でした。年齢制限はありません。いつでも、どこでも、どなたでもヒトは行動を変える事ができるし、ぐんぐん伸びるものなのです。 

1. 著者 池上 正(いけがみ ただし)さんとは

著者の池上正さんは、サッカークラブの前ジェフユナイテッド市原・千葉ジュニア担当コーチ。2女の父親でもあり、2人のお嬢さんのエピソードが書籍の中に登場しています。

この書籍は2008年に出版された本で、今、私の手元にあるのは2010年3月に12版として増設されたベストセラーです。

池上さんがこの本を書いた切っ掛けは、書籍発行の2年前。2006年にスペインのヘタフェという一部の下位にいるチーム。この下部組織の練習試合を年代別に見学した事が切っ掛けでした。幼稚園年長にあたる6歳児が自分の慣性とアイデアでサッカーをしているのです。絶妙なタイミングのパスし、ボールを受けたらドリブルし、相手がきたらポーンとサイドでフリーの味方へパスをする。各年代すべてがそんな場面をみせる。この日本の少年サッカーとは明らかに異なる世界との差を目の当たりにした池上さんは、日本はどうすればよいか?を考えました。

導き出した結論は、”育て方さえ間違わなければ、日本の子どもたちも伸びる”でした。

サッカーの歴史が100年もある国には、幼年期からVIP席で一流の試合を見て育つ環境があるなど、既に”サッカーは民主化”されています。歴史の浅い日本ではどうするか?。 そこで、「指導を見直す」ことを考えました。
先ずは、指導する大人が変わることでした。

今の子どもたちに足らないモノ、大人たちが改めるべきことについての
11の提案です。

子どもたちの豊かな未来を生む「ツール」をつくる11の魔法。
では早速、その魔法をご紹介していきます。

2. 11の魔法

以下に、11の魔法を一緒にご紹介します。

  1. 肯定する・・怒るより前向きに取り組める雰囲気をつくる

  2. 上達する・・勝利至上主義ではなく、フェアプレーと「いいサッカー」で子どもはぐんぐん伸びる

  3. 楽しませる・・サッカーは「習い事」ではなく、「遊び」である

  4. 気づかせる・・転ばぬ先の杖を用意しない

  5. 考えさせる・・自らの力で判断でいる子が「あと伸び」する

  6. 進化する・・スポーツは日々進化する。頭を切り替え柔軟性と勇気を持つ

  7. 夢を持たせる・・期待を伝えるのではなく、自発的に目標を持てるように導く

  8. 余裕を持たせる・・余裕をもって子どもと接すれば、本質が見えて来る

  9. 自立させる・・「できること」ではなく、「経験すること」を重視する

  10. 和をつくる・・同じ能力、同じ年齢で構成せず「異の集団」で子どもは伸びる

  11. 問いかける・・指示するのではなく、問いかける。子どもから答えを引き出そう

11の魔法の最終地点は、『問いかけ』です。
今、企業の中でも『自律的な人材・組織』が求められていますが、そのベースとなるのは自らへの『問いかけ』です。”なぜ?なぜ?なぜ?”と
なぜ?を繰り返し、真相の課題を見つける事が重要になっています。

3. 自ら『問いかけ』ができる環境とは

11の魔法を逆から見て行きましょう。
『問いかけ』をするためには、『和をつくる』ことで、他者を信頼し、思いやる心を育てる。更には、世の中は均一ではなく、デコボコした存在が集まっている事を理解し、そのデコボコが1つの事を取組のが社会であることを知る。そのためには・・、と、1段ずつ下がっていくと、最後に行きつくのは、『肯定する』になります。

安宅和人(あたか かずと)さんの「イシューからはじめよ」という50万部を突破した書籍がありますが。このイシュー問いを見つけるには、先ず自己肯定、他者肯定が必要になりそうですね。

4. 魔法からさめないために、する事

11の魔法からさめないために、池上さんはエピローグの中でこう語っています。

私は日本の少年サッカーを変えたくて、本書の出版を決めました。(中略)
コーチのみなさん、お父さん、お母さん、サッカーが大好きなあなたがたの子どもたちの豊かな未来を生む「ツール」に、ぜひなってください。

本書「サッカーで子どもをグングン伸ばす11の魔法」より

「ツール」とは、”育てる環境”の事だと思います。

池田さんは、新米コーチの頃、いつも怒っていたそうです。
20代前半の時。チームのエース格であったひとりの子を殴ってしまったそうです。そして、「あいつは、おれがどうして殴ったかをわかってくれている」と思っていた教え子は別のクラブへ移ってしまったそうです。
ショックで3か月くらい悩み、立ち直れなかったと書かれています。そこで、池田さんは、先ず、殴る事を止めました。そして、子育て支援にかかわるようになった20代後半に、「STAR parenting(スター・ペアレンティング)」という子育てのスキルを学ぶプログラムに出会います。
このプログラムは、カナダやアメリカで指示されてるもので、親が子育てする際にイライラしなくなる。子どもも親からあまり叱られなくなる。そのためには「こうしたらよいですよ」と具体的な手法を提示する。特に1才~10才会でに効果的といわれる、5つのポイント・スキルを学びました。
池田さんはこのスキルを知った時に、”スポーツ指導と一緒かもしれない”と思ったそうです。

子育ての場である家庭だけでなく、部下と上司が存在する企業でもそうですが、トップダウンで”育てる環境”をつくらないと、なかなか雰囲気は変わるものではありませんよね。 

そして環境づくりで大切なことは、トップ(親や上司)もイライラすることなく、ストレスフリーであることです。
この本の魔法の8番「余裕を持たせる」。この”余裕”が”お互いの伸び代”になるのですから。

以下、STAR parenting(スター・ペアレンティング)について


■「STAR parenting(スター・ペアレンティング)」


子育てスキルのプログラム

内容:親が子育てする際にイライラしなくなる。
   子どもも親からあまり叱られなくなる。
そのためには「こうしたらよいですよ」と具体的な手法を提示する
対象年齢:特に1才~10才会でに効果的
5つのポイント
 ①問題を避ける・・触っていけないモノは、目に触れさせない
 ②よい行動を見つける
 ③(子どもの)感情を認める
 ④限度を設ける
 ⑤新しいスキルを教える
  ・・例)準備が遅い子に、夜の内に準備することなど、やり方を提案


また、池田さんは、書籍完成のお礼の中で、こんな事も語っています。

そして恐らく、若かった私がつぶしてしまったかも知れない子どもたちにも。思いだけで言葉が出てきません。

本書「サッカーで子どもをグングン伸ばす11の魔法」より

池田さんが指導者として悩んだ時期が無ければ、この本は生まれなかったかもしれない。とは言いませんが。
はじめから完璧な人などいない事を、改めて示してくれた池田さんの言葉がこころに染み入ります。
 どうすれば、自分が変えられるのか?どうすればよりよい状態になるのか?問いかける中で出会った子育てスキルのプログラム。
問いかけることは、その答えを”引き寄せる力を授ける”というわけです。

5.  本を読んで行動に変えよう

この本は、子どもから大人まで年齢を問わず、自分自身の、そして組織(家族、学校のクラス、会社)など人間教育としての視点から、全てのマネジメント環境づくりを考える時のベースとなる1冊でした。

本の中にも書かれていますが、相手を理解するのは、相手をよく見る事は大切です。私たちは、よく見ることで、つい声を掛けをし過ぎてしまいがちです。しかし、この”声掛け”が、相手を追い込み、思考力や洞察力の成長を、そして自立さえも拒んでしまうことになったりします。
私たちが成りたい関係は、「相手を支配すること」ではなく、「相手と対話すること」です。相手を追い込むことでも、成長を拒むことでもないのです。
大切なことは、相手をよく見て、相手もの話をよく聞くこと。
それを、自分に置き換えると、自分をよく見て、自分の感情に気付くこと。そして、自分の感情を言語化することだと、考えます。

池田さんが提唱する11の魔法。この『肯定すること』から『問いかけ』までのプロセスを順を追って進めることで、自分を、我が子を。そして、組織をぐんぐん伸びて参りましょう!

そして、そのための第1歩は、自分を、そして相手を肯定することです
ここが、スタートです。

最後に。
この書籍の構成をされている”島沢 優子(しまざわ ゆうこ)”さん。
島沢さんは、池上氏子育て本シリーズ5冊の構成を担当されているほか、自身もノンフィクションを中心とした以下の書籍などを執筆をされています。


最後までお読みいただきありがとうございました。


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