『よい人生』の始め方。その2 多くの紆余曲折の人生を俯瞰してみつけたウエルビーイングになるための結論
2024-03-03
4. よい人間関係の健全度を高めるワーク
書籍「グッド・ライフ」では、人に必要な4つのRを紹介しています。
Reading 読み
Writing 書き
Arithmetic 計算
Relationship 人間関係
この『Relationship 人間関係』には、ソーシャル・フィットネスを高める必要がると伝えます。
ソーシャル・フィットネスとは、人間関係の健全度を示す言葉です。
私たちは、友情や親密な関係を築いたあとは何もしなくても大丈夫だと考えがちです。しかし、筋肉と同様に、何もしなければ人間関係も衰えてしまします。では、どうすればよいのでしょか?
ソーシャル・フィットネスを高めるためには、人間関係の改善に向けた振り返りが必要となります。
自分は、幸せをもたらすつながりを大切にしているのか?を、
率直に見直すのです。
そのために、ソーシャル・ユニバース(人間関係の全体図)を描く方法が有効的と本書では書かれています。
そして、被験者の多くが、この研究の中で「都度、人生を振り返って来たこと」にメリットがあったと伝えています。
では早速、この有効なツールをご紹介しますね。
●ソーシャル・ユニバース(人間関係の全体図)を描こう
以下のソーシャル・ユニバース(人間関係の全体図)のマトリックスに、どのような人たちが入るのか書き込んで行きます。
自分の人間関係の全体図を把握するためには、相手との交流の「質」と「頻度」を考えることで、何を変えたいかを振り返る事が出来ます。
・「元気をもらえる」関係とは、自分に力を与えてくれ、離れていても、つながっている感覚がつづく人たち
・「消耗する」関係とは、緊張や不満、悩みを誘発し、一緒にいると気力さえなくなる、自分ひとりでいるより、自分をつまらない存在だと感じたり、疎外感を覚える人たち
書き終えたら、先ず、元気をもらえる関係に目を向けます。
この関係の長所を高めて確実にする方法を考えます。
例えば、相手に心から感謝を伝え、その理由も伝えます。
次に、元気をもらえる関係と、消耗する関係を分ける線上に位置する関係に目を向けます。
今以上に元気をもらえる関係にする方法を考えます。ちょっとした変化で、積み重なった小さな心の負担が軽くなることもあります。
最後に、消耗すると感じる関係については、じっくり振り返る必要があります。
消耗する人間関係だからといって、その関係を断ち切るべきではありません。但し、よく考えた末、会う頻度を減らすべきだと感じる相手はでるかもしれませんが。
じっくり振り返る理由は、その関係には注意を払うべき重要な要素があるサインかもしれないからです。
消耗するけれど、重要な人と感じた時には、会う計画を立てたり、メールを送るなど、思い切った行動を取る必要があるかもしれません。
この全体図を描き終えると、人生を豊かにする人に感謝したり、改善したい関係を見つけることができます。
●あなたが始める、大切な人への行動
あなたが気が付いた“大切な人”は誰だったでしょうか?
これからは、その“大切な人”に、十分に注意を向け、気配りを増やして行ってください。
そして、その“大切な人”を尊重し、敬意を払い、心からの感謝とその理由を伝えてください。その人の方を向いて。
なによりも、ソーシャル・ユニバースを描くことで、自分自身を振り返り、自分の生き方や、将来どうなりたいかを確認することが出来ます。すると、最も注意を向ける必要がある人が誰なのかが見えてくるはずです。
これは、人生の中であらゆる瞬間に出来ます。
だからこそ、あなたが幸せになるのに遅すぎることは、決してないのです。
5.まとめ 書籍「グット・ライフ」と出会って
ハーバード成人発達研究は、、『幸福と健康の維持に本当に必要なものは、よりよい人間関係である』と、科学的な結論を出しました。それを、すこし掘り下げると、『幸せな人生には、物事がうまくいかない時に支えてくれる人間関係こそが何より重要だ』という事にもなります。
この研究は、1938年にスタートしました。その頃のアメリカは、ルーズ・ベルト大統領により、大恐慌による不況の克服を目的としたニューディール政策の後期でした。この政策で当初、景気は上向きましたが、1937年夏に急速に後退します。それを打開するために、政府は軍事支出を中心とした大幅な財政支出をおこないます。そして、その後。1939年~1945年まで続いた第2次世界大戦が始まりました。この大戦の中でも調査は行われていたそうです。
この研究をまとめた書籍の中に、こんな印象的な文章があります
そうなのです。
ハーバード成人発達研究は、幸福な人生は避けることのできない試練に立ち向かい、今、この瞬間を精一杯生きることから生まれること、そして、そんな時に支えてくれる人間関係”こそが何より重要だと、大きな困難を乗り越えた人たちを追跡調査した結果に、結論を出したのです。
自分がうまく行っている時には、ある程度の人間関係は目を細めてみることも出来ますが、物事がうまく行かない時には、誰かを大切にする余裕もなくなり、人間関係はギスギスしたものになりがちです。
しかし、そんな時に自分を支えてくれる人間関係は、日常からの関係性がないと難しいものです。
だからこそ、家族や友達との関係をうまく維持して行くために、自分が消耗しないように、地味に地道な努力を一生続けて行くことが大切になります。
つまり、人生が一変するような状況やストレスの直面など“物事がうまくいかない時”を乗り越えるためには、日頃から、他者との人間関係を構築に気を配っていること。そして、自分自身が困難に対応できるレジリエンス力を持つこと。この2つの要素が重要となると、私は考えます。
他者への気配りやレジリエンス力を高めるに、日頃から人生の振返りの時間や、マインドフルネスを行う習慣を身に付けていきましょう。
更に、仕事以外の仲間づくりも重要です。
書籍「グッド・ライフ」では、『50才の時に人間関係に最も満足していた人たちが、その30年後の80才の時に、最も健康だった』という結論があります。私たちは、大人になればなるほど、対人関係やコミュニケーションは複雑なものになるものですが、勤め生活から離れたリタイアメント後に、こんな素敵は結論が出ているなんて驚きです。
おそらく、当時のアメリカのリタイアメントは57才(1990年代初頭)ではないかと思います。
現在、アメリカのリタイアメント年齢は1960年以降に生まれた人たちに対して徐々に67才まで引き上げられています(アメリカでは定年を強制することは禁じられていますが、社会保障の満額年金開始年齢が存在します。1960年以降に生まれた人たちに対して徐々に67才まで引き上げられています)。
一方、日本は2025年から65才定年がスタートします。
私たちがリタイアメントした後、90才、100才の時が最も健康でウエルビーイングだった、と言える人生を過ごすためには、孤独にならないことです。
そのために必要なことは、3つ
-大切な人への変わることのない気配り
-自分自身のレジリエンス力
-仕事以外の、いろいろな場所での仲間づくり
並べてみると、ベースにあるのは
『愛のある、自分との関係性』であり、『愛のある、相手との関係性』とも言えるようです。
それはつまり、よい人生を送る為には、自分が大切にする、元気がもらえる人たちを尊重し、敬意を払い、『愛ある、よい人間関係』の積極的なメンテナンスを自ら小まめに行っていくこと。
それを、呼吸するように当たり前に、一生続けて行くことが大切になります。
この本をご紹介したことが、あなたの『よい人生を始める切っ掛け』となったとしたら、とても嬉しいです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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≪参考≫
・書籍『グッド・ライフ 幸せになるのに、遅すぎることはない』 著者 ロバート・ウォールディンガー (著), マーク・シュルツ (著), 児島 修 (翻訳)
上記、辰巳出版の書籍紹介の動画
・ よい人生を送る鍵、それはよい人間関係ーーハーバード大学の84年にわたる史上最長の幸せ研究が解明、健康で幸せな人生を送るための生き方を説く『グッド・ライフ』先行販売を開始。編集者が振り返る出版までの経緯_20230606 :https://prtimes.jp/story/detail/rmq8dVI8K1r
・700人を75年間追跡した研究からわかった「幸せな人生を送る秘訣」_20170309: https://www.lifehacker.jp/article/170309_science_of_good_life/
・75年間のハーバードの研究成果からみる「満たされた人生」の秘密:
https://helix-centre.com/blog/fulfillinglife.html
・人生を幸せにするのは何? 最も長期に渡る幸福の研究から_201511:https://www.ted.com/talks/robert_waldinger_what_makes_a_good_life_lessons_from_the_longest_study_on_happiness?language=ja
・定年年齢は万国共通?日本と海外の定年制の違い_20170921
https://www.vision-net.co.jp/morebiz/retirement
・【日本経済新聞】米国の退職予定年齢、1.4歳上昇 老後の見通し厳しく_20221029:
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN28DXK0Y2A021C2000000/