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再起動って何?

 1月3日は約束通りMさんがやってきたので、スマホの設定を変更してあげた。
 去年の秋に、私が自分のAndroid端末からMさんのスマホにメールするところをMさんが見ていて、画面に表示されるキーボードがQWERTY(PCのキーボードのようにアルファベットが並んでいる)なのを見て、自分もそういうキーボードにしたいと言った。

 Android端末はどれもそうなのかはわからないが、私の端末はフリック入力がデフォルトになっているので、わざわざ設定を開いてQWERTYキーボードに変更してある。
 Mさんが使っている端末がどこの何というスマホかわからないし、私はAndroidに詳しくないので、冬休みになったら見てあげると約束したのだった。

 Mさんのスマホを自分で操作したら、多分これだろうという画面がわかったので、開いてみるとQWERTYがあった。
 ボタンをONに変更して試しにメールの新規作成画面を出し、文字を入力しようとしたら、ちゃんとQWERTYキーボードが表示された。

 Mさんにスマホを返して、
「自分で何か入力してみて」と言うと、
「英語なの?」と訊かれた。
「そうよ。”a” を打つと”あ”になるし、”su” だと “す” になるわよ。打ってみて」
 Mさんがまごまごしているので、
「ローマ字よ。小学校で習ったでしょ?」
 と言うと、何度か打ち間違えたが、「あす」と入力できた。

 打ち間違えたときに「×」キーを押すと消せることも知らないので教えてあげた。
 リターンキーで打った文字を確定させることも知らず、私が「リターンキー」とか「改行キー」と言っても、どのキーのことかわからなかった。

 結局Mさんは元のフリック入力の方が慣れているから元に戻したいと言うので、また設定を開いてさっきの画面を出し、QWERTYをOFFにしたが、フリック入力は OFFのままで、ON/OFFのボタンが非アクティブになっていて押すことができなかった。
 最初にONになっていたのだから、ONにできないはずはないのに、ON/OFFボタンがアクティブになっているのはQWERTYだけだった。

「Mさん、端末を再起動してみてくれる?」
 何か不具合があったら再起動で直ることがあるので、Mさんに再起動してもらおうとした。
 ところが、Mさんは「再起動」という言葉が耳慣れないらしく、何を言われたのかわからないらしかった。
「電源ボタンを長押しすると再起動できるから」
 そう言うと、
「再起動?」
 何それ、と言いたげに訝しそうに聞き返された。

「再起動って、端末の電源を一旦切って、また起動することよ。端末をずっと使っているとゴミが溜まって重くなるから、年に1回ぐらい再起動した方がいいのよ」
「ゴミが溜まっていますって、よく出るのよ」
 Mさんはやっと腑に落ちたという顔をした。

 それは何かアプリの宣伝だと思ったが、どこに出たのか訊いたり、その説明をするのは面倒だったので、とにかく再起動してもらった。
 Mさんに再起動のやり方を教えて、
「使っていて反応が遅いとか、何か不具合があったら、再起動してみるといいわよ。それで直ることもあるから」
 と言っておいた。

 すぐに再起動できてホーム画面が表示されたので、もう1度設定画面を開いたが、さっきと同じでフリック入力のボタンは非アクティブだった。
 仕方ないので、Mさんには端末を買った店に持っていって直してもらうようにと言った。

 それからパルシステムの注文画面を開いて、どんなものが売られているか見せた。
 私は配達日時を自由に指定して注文できる指定便に加入しているが、配達日時の決まっている定期便もあること、定期便の方が品数が多いこと、指定便はネット注文だけだが、定期便は毎週カタログも配達されるので、それを見て頼みたいものを注文できることなどを説明した。
 定期便は注文するのもネットでもできるし、紙の注文書に番号を記入して注文することもできる。
 カタログは配達してもらったときに返せるから、資源ごみが溜まることもない。

 Mさんは私のようにiPadやパソコンを持っていないから、スマホで見たり注文したりはやりにくいので、指定便ではなく定期便にしたいと言った。
 私のiPadで入会申し込みのページを開いて、リンクをMさんのメールアドレスに送ってあげた。

 夜、別件でMさんに電話したら、スマホはフリック入力に戻ったと言っていた。
 それで思い出したが、私の端末は再起動すると設定が元に戻ってしまうので、再起動した後はもう1度QWERTYに設定し直している。
 Mさんの端末も、本当はボタンを操作しなくてもデフォルトのフリック入力に戻ったはずなのに、どこかおかしいのかもしれない。
 いずれにしても、Mさんが使いたいキーボードに戻って良かった。
 
 

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