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2度目のサイバーナイフ(退院後 6)
2012年にサイバーナイフを掛けた左小脳の腫瘍は、毎年MRIを撮って見ていたが、ほんの少し小さくなってからほとんど変化がなかった。
右小脳腫瘍の取り残しについても、多少の変化はあるものの、さほど大きくなっていないので、まだ放っておいても大丈夫ということだった。
2018年10月25日、左の腫瘍は変化なかったが、右は取り残しの部分に新たな腫瘍らしきものができていた。
野村先生は2020年に茅ヶ崎中央病院に開設されるサイバーナイフセンターのセンター長に就任することになり、2019年に日赤を辞めて、茅ヶ崎の同じ系列の病院に1年間勤務した。
2019年は私も茅ヶ崎に行ってMRI検査を受けた。
右の腫瘍の大きさは前年と変わっていなかった。
今の倍ぐらいの大きさになったら考えようとのこと。
ただ、開頭手術で取った腫瘍の跡がそのまま空洞になっているので、腫瘍が育っていって空洞を満たすまでは症状は出ない。
この調子だと30年ぐらいはかかりそうとのことだった。
2020年はコロナのことがあったので検査に行かなかった。
私は高齢者で呼吸器疾患(気管支拡張症)もある。茅ヶ崎までは電車を2回乗り継いで、長時間乗っていかなくてはならないから、危険を避けたかった。
2021年もコロナが怖いので茅ヶ崎まで行きたくないし、検査をパスしようかとずいぶん迷った。
半年前の4月に検査の予約はしておいたが、キャンセルしようか、どうしようか、間際まで迷っていた。
前回の検査では腫瘍の大きさは変わっていなかったから大丈夫だろうと思ったが、思い切って行くことにした。
10月23日、新しく開設された茅ヶ崎のサイバーナイフセンターを初めて訪れた。
久しぶりに長時間電車に乗ったせいか、途中で乗り物酔いになってしまったが、なんとかたどり着いた。
行って良かった!
開頭手術の取り残しが2年前の倍くらいに大きくなっていた!
2018年に取り残しの部分にできていた新たな腫瘍らしきものが、ギョッとするほど大きく育って、もともとの取り残しの部分とつながっていた。
腫瘍は開頭手術で取った跡の空洞の内側で、へりに沿ってぐるりと育っていた。
翌年まで放っておいたら、中を全部埋めてしまったらしい。(そうなったらまた開頭手術)
良性腫瘍は育つのが遅いと思っていたが、髄膜腫はこういうことがあるのだとか。油断は禁物だ。
11月にサイバーナイフを掛けることになり、この日はマスクを作ってCTも撮ってきた。
11月10日、サイバーナイフ治療の日。
咳が出ないか心配していたが、30分間何事もなく、苦しくもなかった。
今回は、左小脳の腫瘍にサイバーナイフを掛けたときのようにリンパ腺が腫れることはなかった。
ところが……
11月26日、お風呂でシャンプーしてふと見ると、排水口の髪取りシートの上が真っ黒になっていた。
髪の毛が抜けたのだ。
洗っているとき、右後頭部がいやにしびれるなぁと思っていた。
髪の毛を拭くときも、そっと拭いているのにタオルに髪の毛がたくさんついた。お風呂から上がって乾いたタオルで拭くたびに何十本も毛が抜けた。
サイバーナイフで髪が抜けることもあるとは聞いていたが、半月も経ってから抜けるとは。
抗がん剤治療をしている人もこんなだろうか。
いや、私は頭のごく一部だけれど、頭全体がこうだったらもっとひどいはず。
話には聞いていても、実際に髪が抜けるというのはショッキングで、ホラーのようだった。
あまりにも大量に抜けたので、ハゲになるんじゃないかと心配だった。
暮れに美容院に行って、いつもの美容師さんに話したら、上にかぶさっている髪の毛を持ち上げて、合わせ鏡で見せてくれた。
案の定直径6センチくらいの円形にハゲていた。
上の髪をかぶせておけるように、裾の方だけカットしてもらった。
年が明けて、次回の検査日について野村先生にメールした際にこのことを書くと、
「前回より皮膚に近い面を当てているので、脱毛が広範囲に及んだものと思います。必ず生えてきますが、生え揃うのには半年くらいかかるかもしれません。ゆっくりお待ち頂ければと思います。」
という返事があった。
実際、夏頃までには抜けたところにまた髪が生えてきた。
ただ、以前の開頭手術の後でもそうだったが、治療した部分は髪が逆向きに生えてくる。
しかも、私は生まれつき直毛だが、そこに生えてくる髪はクセのある縮れ毛なので、髪がピョンと横に飛び跳ねてしまう。
担当の美容師さんが工夫して、跳ねて出てきてもなるべく目立たないようにカットしてくれるので助かっている。
それとは別に、頭の右側は全体的に髪が薄い。
鏡で自分の顔を見ると、左側と右側では髪のボリュームが違うのがわかる。
抜ける毛と生えてくる毛の量が違うのだろう。
そのうちもっと毛が抜けて地肌が見えてきたら(既に少し透けて見えているが)、かつらをかぶらなければならないかもしれない。
2022年には野村先生が茅ヶ崎のサイバーナイフセンターを辞めて、神谷町脳神経外科クリニックのZAPセンター長に就任しため、そちらで検査を受けた。
ZAPはZAP-Xといって、サイバーナイフの後継の放射線治療装置だ。
(詳しいことはクリニックの公式サイトで確認してください)
今のところサイバーナイフを掛けた腫瘍はほんの少し縮んで、そのまま成長を止めている。
今後また別の腫瘍が見つかるかどうか、毎年検査して先生にチェックしてもらうことにしている。