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友人たちの応援(自宅待機 9)

 外を歩くと寒さのせいか、それとも腫瘍のせいか、頭全体が真綿で締め付けられるような感覚があった。
 同じマンションの顔見知りの奥さんたちに会って、首の腫瘍を取ったことを話し、「まだ脳にもあるの」と言うと、一様に、
「明るいわねぇ」
 と感心される。
 よく買いに行くお弁当屋の奥さんにも、
「そんなふうに見えないわね」
 と言われた。

 無理して明るく振る舞っていたわけではないが、暗い顔をしていられない性分らしい。
 それもあるし、落ち込まずにいられたのは友人たちの励ましも大きかった。
 毎日、大勢の友人たちがとっかえひっかえメールしてくれたし、ネットしない友人たちは手紙や葉書で激励してくれた。

 1981年に初めて海外旅行したときの旅の仲間であるNannは、「好きな音楽でも聞いてリラックスして」とCD券を送ってくれた。

 やはり旅の仲間だったあつこさんからは、私の大好きなダヤンのカレンダーが送られてきた。
 わちふぃーるどのダヤンは黒白のトラ猫で、お腹が白く、しっぽが長くて太いところも、鼻が短いところも、我が家で生まれて21年間生きたトラ子にそっくりだ。

 私と同様大島弓子ファンである恵美子さんは、美しいレターセットのお便りに、センスのいいポストカードを同封してくれた。

 らんさんと明美さんは頻繁にメールもくれたし、手紙や葉書もくれた。

 高齢のお母様を介護しているタナさんは、多忙な暮らしの合間にお花のカードを選んで送ってくれた。

 典子さんは必要な品物を送ろうと準備していた矢先に、私のメールで荷物を受け取るのも大変なことを知ったと言い、花の写真を撮ってパソコンで絵葉書を作って出してくれた。

 ほとんどの友人は私の状況を知っているので品物を送らないでくれたが、そんなことを知らないカナコさんからは、KIHACHIのクッキーの詰め合わせが届いた。

 猫好きの紀子さんからは、ベランダで育てたスミレの切り花が届いた。ピンクがかった薄紫で可愛い。

 岩手のユキさんは、まぼろしの冬りんご〈青林〉を送ってくれた。
 盛岡のたった1カ所のお店でしか見たことがないから、勝手に「まぼろしのりんご」と呼んでいるとかで、立派な容姿ではないがとてもおいしいからと言って。
「口あたりのいい、おいしいものを 少しずつでも食べて 体重を増やして下さい」
 添えられた手紙を読んで、ほのぼのとした気持ちになった。

 私が「カナダの母」と慕うヘレンさんからも返信が来た。
 クリスマスカードが届かないので心配したが、きっと冬休みの旅行にでも行っているのだと自分に言い聞かせていたとのこと。
 私が良い先生方に出会って治してもらったことを、とてもありがたく思っていると書かれていた。
「あなたに何かしてあげられるように、私が近くにいられたらいいのに。おいしいスープでも、レモンパイでも、何でもあなたの欲しいものを持っていってあげたいわ。きっと、助けてくれるお友達は近くにもいるのでしょうけど」
 温かい言葉が嬉しい。やっぱりヘレンさんは私の「カナダの母」だ。

 カナダ在住の真紀子さんは、お友達が作ったレース編みのエンジェルを送ってくれた。お守りのように小さいものなので、虎の門病院に持っていってベッドの脇の床頭台に吊るしておいた。

 長い付き合いの友人たちはもちろんのこと、ネットで知り合っただけの友人たちも大勢私のために祈ってくれていた。前にも書いたせーらやミムラさんの他にも何人も。

 レイキをやっているというwakoさんは、1度も会ったことがなく、さほど親密にしていたわけでもない私のために、自分の時間を割いて祈ってくれていた。
「レイキは宗教には関係なく、遠隔ヒーリングはお祈りのちょっとパワーアップ版みたいなものと考えていただけたらと思います。遠隔ヒーリングで病が治るかどうかは別として(実際治る方もいらっしゃいますが)、アンヌさんの "何かの足しになるかも?" 位の気休めになるだけでもいいかなと思いました」

 みんなどうしてこんなに親切なのだろう。みんなの気持ちがきっと良い方に作用するに違いないと思った。


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