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サイバーナイフ(退院後 5)

 2011年5月2日、今度こそ本当に臼井先生の最後の外来受診。
 臼井先生ったら、「右のはいいけど左が気になる」だって。
 なんと、左にも小さいのができているのだった!

 左にもあったなんて、全然知らなかった。先生はどうして今まで黙っていたのだろう?
 左にあったことより、その方がショックだった。

 2006年と去年のMRIを比べて、「4年でこんなに大きくなっている」と言われた。
 去年のMRIの写真を見た感じでは1センチ程度で、4年前の4倍ぐらいに見えた。
 でも、腫瘍が大きくなっても、もう切りたくない。

 2012年9月4日、臼井先生の後任の原先生から、左小脳の腫瘍が大きくなっているので治療した方がいいと言われた。
 5年前と比べて、米粒から空豆くらいに大きくなっている、と。

 ガンマーナイフは患者の負担が大きいからということで、負担の少ないサイバーナイフを勧められた。
 原先生は感じの良い先生で、日赤のサイバーナイフセンターに紹介状を書いてくださった。 

 サイバーナイフはMRIのように寝て治療でき、ガンマーナイフのように頭を固定する枠を頭蓋骨にボルトで留める必要もないので、痛みがまったくない。
 形がいびつな腫瘍や、眼の近くにある腫瘍など、これまでガンマーナイフで不可能だった腫瘍にもピンポイントで照射できる。

 9月21日、前もってメールで日赤のサイバーナイフセンターに予約したいと連絡したら、担当の野村先生から直接返信があった。
 日程を調整し、9/21に予約を入れてもらって受診した。

 ここではMRIを撮って1〜2時間後に外来の診察がある。虎の門病院と違って、結果を聞きに日を改めて出直さなくていい。

 野村先生は若くて明るい感じの先生だった。
 MRIの画像を見ながら、左小脳の腫瘍は成長速度が速いので、すぐに治療した方がいいと言われた。

 先生と相談して、治療のスケジュールを決めた。
 サイバーナイフは1回で済むと言われたが、45分くらいかかるそうなので、3回に分けてもらうことにした。

 私は気管支拡張症のせいで突発的に咳が出る。だから、同じ姿勢のままじっと仰向けに寝ているのが不安だった。
 サーバーナイフはレントゲンで患者の動きをロボットに伝えながら治療するので、少しぐらいの咳ならロボットが追えるそうだが、うがいをするまで咳が止まらないこともあるので、1回の時間が短い方が安心だった。

 10月3日にマスクの作成とMRIとCT検査、10日、12日、15日の午後に治療というスケジュールになった。

 副作用は大したことはなく、人によっては吐き気がすることもあるが、実際に吐いたりするほどひどくはない。治療後に食欲がなくなったりもしない。
「ほんとに治療したんですか?」と先生に聞くくらい、何も感じない人もいるということだった。

 10月3日、造影CTとMRI検査。
 CTの結果、MRIは必要ないとのことで撮らなかった。
 先生が、サイバーナイフも1回で済ませるようにやってみるとのこと。
 この日は治療中に顔に掛けるマスクの型を取った。

 10月10日、サイバーナイフ治療。
 ベッドに仰向けに寝て、顔の上に、先日型を取って作った私専用のマスクが掛けられた。
 このマスクはプラスチックでできていて、見た目はメロンや桃などデリケートな果物のお尻を包んでいる白いネットのようで、私の顔にぴったり合って頭を固定した。

 治療が始まると、ロボットが私の周りを移動しながら放射線を照射する。
 ときどき「ギー」とか「ガチャン」と音がするが、痛みも熱も感じない。

 放射線は1本1本が微量なので、他の部分に影響はないが、1点に集中するので腫瘍には効果があるそうだ。
 すごい技術だと思う。

右小脳の開頭手術の際に取り残した腫瘍にサイバーナイフを掛けたときの画像
赤く見える部分の奥に取り残しの腫瘍がある

 予定より早く終わり、30分もかからなかった。
 先生によれば、腫瘍の体積が3ccもなく小さいのと、私が動かなかったのとで、予定より早く済んだとのこと。

 治療が終わって洗面所で鏡を見たら、顔にマスクの網目が付いて、スパイダーマンみたいな顔になっていた。
 すぐに電車に乗って帰るのは恥ずかしいので、病院のコンビニでジュースを買って飲み、病院内のレストランで五目そばを食べてから帰った。顔の網目はまだ消えていなかったが。

 家に着いて、何か食べていたら耳の下のリンパ腺が突っ張ってきた。これがサイバーナイフの副作用か。
 2時間ぐらいで治ったので、先生の言う通り、副作用は大したことなかった。

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