「デイヴィッド・リンチ 幻想と混沌の美を求めて」:memo

原題は「David Lynch a retrospective」で、著者はIan Nathanという人(知らない)。

定価3200円(税別)で決して安くない本。カラー写真がいっぱいあってそれはよかったが、そのカラー写真につけられたキャプションがデタラメ。特に、映画の場面につけられた類のキャプションがかなりオカシナことになっている。そのどれもが〔映画をちゃんと観てないのがバレる間違い方〕なのが、Lynch本としては致命的。

例えば、「the Straight story」の章で、〔主人公が旅先で知り合った同世代の老人とお互いの戦争体験を語り合う重要な場面〕という意味のキャプションがついている写真に実際に写っているのは、主人公と戦争体験を語り合う老人ではなく、物語の最終盤で、主人公が注文した「ミラーのライト(ビール)」を出す老店主。どちらも老人には違いないが、顔が全く違う(渋川剛気と愚地独歩くらい違う)。つまり、映画をちゃんと見ていればすぐに分かる間違い。

この手の間違いが一つやふたつどころではない。今、数えてみたら、20個ほどあった。キャプションがこんなテイタラクなら、本文も怪しいものだと思わずにはいられない。なので、映画のパンフレットだと思って、文章は二度と読まないことにして、写真だけ眺めてる。見れば、何の、どんな写真かはたいてい分かるし。四半世紀超えのEraser Headerをナメるなよ。

(2024/12/05 穴藤)

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