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Googleが実践するインクルーシブな障がい者採用とは?【横浜人事カレッジ#9】
こんにちは🌸
ダイバーシティ&インクルージョン推進を組織と人の側面から支援するAn-Nahal(アンナハル)です。
2024年12月に、An-Nahalが企画・運営する横浜人事カレッジの第9回を開催しました🎉
📝横浜人事カレッジとは?
昨年度から始まった横浜人事カレッジは、2年目を迎えました!
イノベーション推進が加速する企業において、「人事」としての役割・視点・知識をゲストや企業の垣根を超えた参加者との越境体験のなかで共に学びあう、横浜未来機構主催のコミュニティです。
毎回異なるテーマに関連するゲストの経験やリアルな事例を学べるイベント、様々な企業の人事担当者との交流や情報交換ができるオンラインコミュニティに参加できます。
前回はイケア・ジャパン株式会社の塚田 大介さんをお招きし、「タレントマネジメント」についてお話しいただきました。
今回のテーマは、「インクルーシブな障がい者採用」です。
今年の4月から法定雇用率が2.5%となり、事業者による合理的配慮の提供が義務化となりました。さらに2026年7月からは、法定雇用率が2.7%に引き上げられる中で、企業は定量的な取り組みだけでなく、1 人ひとりが強みを発揮できるインクルーシブな組織をつくることが求められています。
こうした中Googleでは、企業として成長を続けていくために、多様な人材が社内でともに働く環境が必要不可欠という考えの元、障がい者採用に取り組んでいます。
Googleの採用部門で数年に渡り障がい者採用に向き合ってきたTalent Engagement Specialist 佐藤美織さんをお招きし、採用マーケティングの観点から障がいのある方にどのようにリーチするか、採用に繋げるキャリアイベントのデザインなど実践例についてお話しいただきました。
インクルーシブな場を作るために工夫していることとは?そのヒントを探った当日の様子をお届けします🎤
ゲストスピーカーの紹介
グーグル合同会社 Talent Engagement Specialist/佐藤美織さん
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インサイドセールス、国内外への営業など多様なフィールドで得た10年の経験を活かし、現在は人事でダイバーシティ&インクルージョンを推進する採用マーケター。
前職のSalesforceではマーケティングオートメーションの新製品1人目のインサイドセールスとして市場形成に貢献。100社以上にカスタマージャーニーワークショップを行うなどマーケティング施策にも幅広く携わる。2019年、グーグル合同会社に入社後、Google広告のパブリッシャー向け営業を務めたのち、現在は、同社の採用マーケティングとアジア太平洋地域の障がい者雇用の採用マーケティングのリードを兼任している。
Googleがインクルーシブな障がい者採用に取り組む理由
Googleの使命は、「世界中の情報を整理し、世界中の人がアクセスできて使えるようにすること」です。これは単なるスローガンではなく、Googleのコアバリューであり、日々の業務に結びつく重要な指針となっています。
そしてこの使命を達成するためには、あらゆる人々の視点が必要不可欠です。異なる視点を組み合わせることで革新的なアイデアが生まれ、世界中のユーザーにとってより良いプロダクトやサービスが提供できます。
そのため、障がいのある人も能力を最大限に発揮できるインクルーシブな職場環境をつくっています。
障がいのある社員の視点から生まれたイノベーション
障がいのある社員の視点からサービスをいくつか紹介いただきました。現在では障がい者だけではなく、多くの人々の情報アクセスをサポートしています。
①音声文字変換技術→YouTubeキャプション機能
聴覚障がいのある社員の視点から生まれた「音声文字変換技術」は、現在YouTubeのキャプション機能として利用されています。聴覚障がい者だけでなく、新しい言語を学習している方や高齢者など、使用の幅が広がっています。
②Google Map車いすモード
お店やサービスの入り口、トイレ、座席、駐車場、エレベーターが車椅子に対応しているかをGoogle Mapから確認することができます。また、目的地に向かう際に車いすに適したルートを選択することができます。
車いすだけではなく、ベビーカーや、スーツケースを持った方にも活用されている機能です。
Googleの障がい者雇用プログラム「gReachプログラム」
gReachプログラムは、OJT(On-the-Job Training)形式で他のGoogle社員と働きながら実践的なスキルを習得する、Google独自の有期雇用プログラムです。
入社後はやい段階から実際の業務に携わることで、より実践的なスキルを身につけることができます。またGoogleの企業文化や働き方を肌で感じることができるのも特徴です。一人一人の特性に対応しながら、誰もが安心して能力を発揮できる環境を整備しています。
日本では数年前から導入されており、これまでにのべ60名以上が参加しているとのことです。
インクルーシブな場を作るために心がけている「安心して相談できる、頼れる存在」
佐藤さんが普段心がけているのが「安心して相談できる、頼れる存在」になることです。障がいのある社員の方に話を聞くことが大切だと、過去の体験を共有いただきました。
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佐藤さんが障がい者雇用担当になった当初は、「聞いちゃいけないことがあるんじゃないか」「使ってはいけない言葉があるのではないか」と悩んでいたそうです。しかし信頼を築くためには、日々感じていることや嬉しかったサポートなどを直接聞いて理解することが重要だといいます。
また、採用イベント時にアンケートを実施し、具体的なサポートのニーズや、イベントの良かったところ・悪かったところなど細かい点まで情報を集め、次のイベントに活かしています。
佐藤さんの取り組みの先に目指すのは、「全ての採用施策がインクルーシブでアクセシブルなものにしていくこと」だとお話しいただきました。
「他社の障がい者雇用の現状を知る貴重な機会になった」「ディスカッションを通して、自社の取り組みへの示唆を得られた」
佐藤さんによるゲストトークの後は、参加者同士でグループディスカッションを行いました。
「あなたにとって、インクルーシブな障がい者採用のありたい姿は?
それに対する課題は?」というテーマに関して、各社の取り組みやアイデアを共有し、共に学びあう時間となりました。
参加者の皆さんからのイベントへの感想を紹介します!
一方的に聞くのだけではなく、情報を共有することができてとても新鮮だった
Googleの事例の紹介だけでなく、様々な立場の人と会話をすることでより深く知見が広まった
障がい者採用における理想的な職場環境を知ることができ、ヒントを持ち帰ることができた
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まとめ
誰もが自分らしくいられる空間は、誰にとっても居心地の良い、素敵な空間です。そんな場所を作るため、障がい者雇用に3年間取り組んできましたとお話しいただきました。その過程での試行錯誤や工夫した事例なども、惜しみなく共有いただき、たくさんの学びを得られた時間でした。
最後に障がい者採用担当になったばかりで不安を感じている方に向けて、「勉強させてくださいという気持ちで飛び込んでいくと、皆さんとっても丁寧に教えてくださると思います。」という心強いアドバイスもいただきました。
An-Nahalは、ダイバーシティ&インクルージョン推進に役立つ情報とヒントをさまざまな方法でお届けしています。
また、ダイバーシティ&インクルージョンに関わる研修・コンサルティングを提供しています。
自社での導入を検討したいという方はお気軽にお問い合わせください。
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