もういちど、眠りにつく前に
深夜彼が帰ってきた。
ここのところ終電で帰ってくる日が多い。
毎日忙しいようだ。
そばのドアから隣の部屋の光が漏れている。
カレーを食べる皿の音と寝ている私を気遣って音量を下げたテレビのノイズ音も一緒にドアの隙間から漏れている。
私は横になりながらドアを見つめる。
…この風景どこかで見たことがある
ああ、幼い頃仕事で忙しくしていた父が夜中に帰ってきた時のだ。あの頃は今のようにマメに連絡をとり合う時代ではなかったからいつ帰ってくるかわからない父を待つ母はさぞ気が揉んだだ