「Watashiは変われましたか」最終話
気がつくと、いつの間にか懐かしい思い出の品々のある不思議な場所へ戻っていた。はじめに訪れた安心できる不思議な場所だ。
スマホの光に導かれながら、私は過去を見つめ直す旅をしたのだ。幼少期の私が母と過ごした思い出、沙羅と杏奈との未来の絆、それら全てがこの光の中で繋がっていた。過去に戻ることは自分が望んだこと。スマホの不思議な力を借りながら後悔を幸せに変えることができた。もしもう一度沙羅に会えるなら「変わることができたか」と聞いてみたい気もする。でももう戻ることはできない。
静かに心の中でつぶやいた。「変われたかな」と。
人生の中で自分が変わるチャンスはたくさんあることだ。チャンスを掴んで自らの勇気で変わろうとすれば、変われることを身をもって感じた。年齢に関係なく気がつき、知り、理解することで何度だってスタートラインに立てるチャンスがある。
後悔のない人生はない。
失敗しない人もいない。
それらに直面した時に自分はどうすればいいのか。
人生の中でいくつもの選択肢がある。
その中で素直さをもって向き合い、勇気を出して決断することは自分次第だ。
「変われなかったこともあるかもしれない」でも失敗の中で「変わることができた」と沙羅と杏奈の姿を見て感じている。
過去を変えることができなくても未来を変えるためにスタートすることができる。そう思うと希望いっぱいな気持ちで溢れる。
スマホの画面に文字が浮かび上がってきた
「Watashiは変わることができましたか」
「YES」or「NO」と表示されている
私は迷わず手を握り締め声に出して叫んだ
「Yes!!」とボタン押す
スマホの光が次第に強くなり、私の視界がさらに明るくなっていく。光の中で、幼少期の思い出、沙羅と杏奈との過去、そして未来が鮮やかに浮かび上がる。過去の私が母と笑い合い、沙羅が小さな手で私を抱きしめ、杏奈が元気に駆け回る姿が見える。
その光景を見ていると、私の胸には温かさと感謝の気持ちが広がっていく。過去の過ちも、今この瞬間に意味を持っている。全てが繋がり、私の心に深い安らぎをもたらした。
そして、光の中で一つの声が聞こえた。「ありがとう、ママ」と沙羅の声が優しく響く。私の心はその言葉で満たされ、全ての悔いが浄化されていく。
「私もありがとう」と心の中で答えながら、私はスマホの光に導かれてさらに進んでいく。過去も未来も、全てがこの瞬間に繋がり、私は静かに微笑んだ。
スマホの不思議な力を借りて、後悔でいっぱいだった過去を幸せに変える瞬間に気がつくことができた私は最高の幸せ者だ。
耳が聴こえなかった人生にも全て感謝の思いが溢れ出た。聴こえない私には沙羅と一緒に翻訳して杏奈とも手話で歌った思い出が鮮明に描かれ共に歌う。
次から次へと幸せなシーンを横切って、スマホの光に導かれてさらに進んでいく。過去も未来も、全てがこの瞬間に繋がり、私は静かに微笑んだ。
光の中で永遠につながっているのだ。
スマホの画面が徐々に暗転し、「このシーンをクリアしました。全てのシーンを終了しました」と表示され奥の方には眩いばかりの光が私を呼んでいる。私は心の中で沙羅と杏奈の幸せを永遠に願いながら、静か光に向かってゆっくり歩き始める。この人生の私の物語は終わりを迎えたが、この光に向かっていると次の物語が始まる予感がしている。
新たな物語でも失敗をするかもしれない、素直になれない時もあるかもしれない、それでも私らしく出会う人の幸せを願いながら新たな物語で「Wahashiは変われましたか」「YES」と繋いでいく。
最後まで目を通していただきありがとうございました。