耳み
ソファーでくつろいでいる犬の顎が偶然テレビリモコンの音量調節ボタンに載っかり、どんどん音がデカくなっていくのにびびった私は慌ててソファーに駆け寄りリモコンを引ったくった。その様子を見ていた夫が君は耳がいいというか聴覚過敏の気があるよね、君が普段設定しているテレビの音量だと俺は聞こえないよみたいなことを言った。いまも私が過剰な反応を示してワーワー慌てながらリモコンを探したので、なんとなく普段から思っていたことを口にする気になったのだろう。私は大きな声や音が苦手で、テレビのリモコンが誤って押されるなどして音量がどんどん大きくなっていくアクシデントなどは非常に苦手だ。たまに敢えて自分が嫌いな場面を想像してゾッとする遊び(自傷かも)をする時に必ずイメージするものの一つである。夫がスポーツ観戦時に歓声をあげるタイプの人間で、オリンピックの時期は非常に難儀をしたことを思い出した。リビングから離れた寝室で防音イヤーマフを装着し布団をかぶって過ごしたものである。オリンピックが4年に1度しかなくてよかった。
思えば自分は騒音がめちゃくちゃ嫌いなので、有名な縁切り神社へ詣でて「一生騒音と縁が無い暮らしを送れますように」と願うのもひとつの手だとふと思った。だが、そこの神社というのが霊験あらたか過ぎて「食いしん坊がなおって痩せますように」と願った人が内臓の難病を患った結果生涯通じて厳しい食事制限が必要になりげっそり痩せたという話を聞いたことも思い出した。融通がきかないタイプか、意地悪な曲者タイプなのかもしれない。ふつうに耳栓とかイヤーマフを駆使して生活を送ることにする。おわり
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