脈絡のない夜を超えて
トイレ個室で渋り腹由来の腹痛から猛烈に気分が悪くなり失神しそうになった出来事をきっかけに、トイレにもスマホを持って入るようになった。汚いと言われようがスマホ依存の極致と言われようが、私はトイレにスマホを持って行く。今後同じような体調不良に襲われて本格的に倒れそうになったら電話で助けを求められるし、パニックを起こしそうになった時にスマホでくだらないネット記事やギャグ漫画を眺めていると気分が落ち着いて体調を立て直せることが多いからだ。って、そうやって排便に取り組みながら便座に座っているうちに深夜0時を過ぎた。いくつかやっているスマホゲームのログインボーナスが復活したからまた取りに行こう……などと思ってボンヤリしているうちに、だいぶ昔に母親からウィンドウショッピングを勧められたのをふと思い出した。どういう話の流れだったのかは忘れたが、確か実際に買い物をするわけではなくても街中で華やかな服とか雑貨とか眺めながら歩いているだけで気晴らしになるから、といったニュアンスの口ぶりだった記憶があるから私が鬱病かなんかで休職することになった時に彼女なりのアドバイスとしてそういうことを言ったのかもしれない。今の私が思うのは高くて買えもしないと分かっているええ感じの品々を収入がピンチ(休職中は手当金がもらえたりするが、うまく回復できず労働行為が困難になるかもしれないという不安を抱えて暮らすことになるので長期的に見たら収入がピンチと言えなくもないだろう)の時に眺めていたら余計つらくなるのではないかということで、ウィンドウショッピングが楽しいのであればその人はまだまだ大丈夫といえる。そんな思考も、ウーロン茶が2センチ分ほど底に残ったコップを水でゆすいでいたらシンクに流れる洗い水が褐色から徐々に透明になっていくように、いつかは流れて消えてしまう。
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