のらくらもののための本

少しずつ活字を読みたいという気持ちが出てきて自室の本棚にある色々な小説を手に取ってみるものの、どれもこれも読み進めるのがきつい。登場人物のキャラクターや喋り、ストーリーの進行や場面描写といった作者の意匠がことごとく鼻につく。元気な時は楽しく読めていたのだが…。
そこで、だいぶ前に買ってろくに見向きもしていなかったpha著『がんばらない練習』を読んでみたら、だいぶ心地よかったし感覚の解像度があがっていく感じが得られた。この本はジャンルでいうと随筆にあたるのだろうか、著者が生きていくうえで苦手なことややりづらさを内省的に分析しつつ日々を暮らすさまが淡々と綴られている。

買ったばかりの時は内容がそこまで頭に入ってこなかった本でも数ヶ月、数年単位で寝かせた後読んでみるとめちゃくちゃ新鮮で心の支えになることがあるので本との繋がりは面白い。
闘病記とかじゃなくて、激鬱で夢も希望も元気もなく天井を眺めるしかない状態の心をただ包み込む感じの話が書きたいなとずっと思っている。天井の模様を目で追うのと同じくらいの負担しか読み手にかからない、川の流れとか揺れる木の葉みたいな文章を。それを自分が鬱の時に読んで癒されたい。躁鬱病の人が書いた小説とかエッセイを読んだら望みが叶うかなと思ったのだが(たとえばトーマス・メレとか北杜夫とかです)、元気がない時の脳には反発してしまってダメだった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?