行って来て行って来てまた行く

 疲れていると強迫症的な確認行動が増える。出かけたのにガスの元栓やエアコンの消し忘れがないか不安になって途中で帰宅してしまったり、ドアの施錠をしたか何度もドアノブを確認しないと気が済まないといった行為が例としてよく挙げられるが、私は少し前に別棟にある作業室の消灯と片付けをちゃんとやったか確信が持てなくなり結局三往復ぶん階段の昇り降りをしたので健康になってしまった。えてしてこういう時はちゃんとやってあり「なんだ、無駄な確認だったな」となるのだが本当に処理や片付けを忘れていることが稀にあるのでなかなかやめられない。
 他にやりがちなのは、その時している行為にはまるで関係のない物品の置き場所が急に気になってあちこち探し回ってしまうことだ。料理中に年金手帳の置き場所を確認したくなったり、運転手に不審がられながら車の助手席のポケットをあけて車検証を探し始めるなど(もちろん車検の時期でもないし車の修理を必要としているわけでもない)。これは自分も消耗するし、周りにいる人も落ち着かない気持ちにさせてしまうので是非ともやめたい悪癖だ。自分なりに克服しようとしてやっているのは、そういう確認作業をしたい衝動が湧いてもあえて我慢するということだ。ほら、しつこい確認作業をしなくても大丈夫だったでしょ?っていうかそうそう取り返しのつかない事態は起きないでしょ?と自分に言い聞かせ、大丈夫だった経験を積み重ねる。これしかない。
 そう思って日々鍛錬した結果くだらない確認行為をしなくてもオッケーなおおらか精神を獲得し、おおらか精神でもって安全装置の確認をせず巨大裁断装置を作動させたら巨大刃が落下してきて無事肉体と精神が10個ほどのパーツに分断され、おおらかな海馬からの電気信号をワープロに出力してこの日記をおおらかに書いています。敬具。

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