ロミオとジュリエット2021-東京千秋楽を経て-
[今回のロミジュリは個人的にめちゃくちゃ面白い]
発表時、フレッシュな面々がキャスティングされ、2017、2019を観劇した私は、大変失礼ながら、全然キャスト分からん、と少ししょんぼり。
しかし、結果を述べると、せっせとチケットを増やし初めてWキャストを皆観て、とっても楽しませて頂いた。(今までの、どの舞台よりも1番ちゃんと観劇している笑)
全体的な感想
やはり若くてフレッシュ。前作までが(比較的)経験豊富な役者が揃っていたこともあり、歌やダンス、お芝居に安定感と見応えがあった。今回は正直、粗削りな部分はあれど、脇を固めるダンサー陣・大人組がばっちり決めてくれていて、新生キャスト達の「やってやる!」という思いと「勢い」を感じられる新鮮で面白い舞台だな、と感じた。
本筋や舞台セットに、大きな変更は無く、古典ロミオ&ジュリエット現代版といった感じ。衣装は、全体的に少しクラシック要素が増えたように思う。実はロミオの白いズボンが好きだったが、今回は黒いズボンに変更されてた。仮面舞踏会の愛ちゃんジュリエットのソバージュヘアがとってもキュート。立石くんティボルトのドレッドヘアがおしゃれティボって感じで良かった。
各キャラクターについて
・ロミオ
黒羽ロミオも甲斐ロミオも、なんとも現代っ子なロミオ。今作のジュリエット達が芯が強い女の子に感じるので、将来はしっかり尻に敷かれそうな、どことなく柔らかな印象を受けた。(勿論褒めてます。)
黒羽ロミオは、月並みだが「こんな歌えたっけ?」と驚いた。彼の作品は、割と何作も観ているが、あんな感情を剥き出しに歌うイメージがなかったので、配信で見たときはひっくり返った。良い意味で「すごく普通の青年ロミオ」だと思う。まだ見ぬ恋人を探す「浮世離れ感」はあまり感じないけど、そこがナチュラルで素敵。(古川さんとかはめちゃ浮世離れ感が強かった。)
恋に落ちる喜び、恐怖心、憎しみと絶望。表現が驚くほど滑らかで違和感がない。感情の起伏が実は激しいロミオというキャラクターを「そこにしっかり存在する青年」として演じる黒羽ロミオはほんとに素晴らしかった。
甲斐ロミオは、恋に恋する名家の御坊ちゃまロミオと言ったところ。23歳という若さながら、しっかり歌唱力があり、体格もいいので舞台映えすると感心した。年齢も相まってか、ジュリエットとのバルコニーなんかは、まるで少女漫画みたいにキュンっとさせてくれた。とても等身大で良かった。少し、表現力という部分では黒羽ロミオに軍牌が上がるが、まだまだ伸び代は十分。良い歌声だな上手いなと思ったので、今後もとっても楽しみ!
ジュリエット
六花ちゃんジュリも愛ちゃんジュリも初々しくて可愛い!いつか王子様を🤴なーんて待っているだけのお嬢様ではなかった。溌溂とした芯の強さが、今作のロミオ達とすごく良いバランスだと感じた。歌声も澄んでいて、純粋でとても良いジュリエットでした。
マーキューシオ
個人的に、大好き。破天荒でヤンチャ、女好き。でもどこか憎めない、そんなイメージ。今回のマキュは2人とも「どっか憎めない」をうまく表現してくれている。
新里マキュは、キャラ性の前にまず、歌が聴きやすく、とても良かった。特に高音域がすーっと抜けてきて、溌溂としたマーキュにぴったり。新里マキュは、ヤンチャで頭の回転が速そうなマーキューシオ。台詞の言い回しが凄く好み。配信で見たよりも、東京前楽で観た彼は、ちょっっと落ち着いた演技になっている様な気がした。それもそれで○!けど、大阪名古屋では是非元気よくしていただけると◎笑!ピンク色の髪も、よくお似合い!
大久保マキュは、爆発力のあるモンタギューが大好きなマーキューシオ。歴代マキュ達に比べると、少し控えめな大人っぽいマキュなのかな?と思っていると、いやいや2幕の決闘シーンではいっそ狂気をも感じる迫力ある表情を見せてくれた。(ティボよりもよっぽど手を付けれなさそう。。)まだ私の中で、大久保マキュの印象がフラフラしてるので大阪でしっかり注目したい。
ベンウォーリオ
個性の殴り合いみたいなキャラクターの中では割と常識人。兄のようで、悪友のようで、、出番も多く物語の流れを作る重要な役柄。今回のWベンは、表現が多彩で、ぴったりの配役。
前田ベンは、存在をすごく身近に感じさせてくれるベンウォーリオ。どのシーンでも、誰と関わっていても、すごく自然。お芝居をお芝居に感じさせない、不思議な魅力があった。Wキャストだと相性のいい組み合わせが多少なり出てくるものだと思っていたが、彼は誰とでも上手く、全く違和感なく演じていたことに驚いた。ナチュラルなのに、引き込まれる役者さん。ミュージカルは初とのことですが、歌もお上手!
味方ベンは、優しさ溢れるお兄ちゃんベンウォーリオ。ロミオへの接し方など随所に、ご本人の資質なのか優しさを感じる瞬間があった。(マキュが刺されたあとの指輪、アドリブでしょうか?めっちゃ泣ける。。)視線の動きや、仕草の一つ一つが「ベンウォーリオそのもの!」別作品でも思ったけど、本当に細やかに演じてくれる。歌やダンスは緊張している?と感じるときがあったので、ぜひ堂々としてもらえば!!
ティボルトについて
個人的大本命ティボルト様。散々Twitterでも騒いだが、今回のWティボは180度受ける印象が違う。現代版RJにおけるティボルトは、ジュリエットに恋をしていたり、叔母上と関係持っていたり、、なんともドラマチック。準主演といっても過言ではないくらい、所謂「おいしい役どころ」である。
吉田さんティボルト
私が想像する「ティボルト」を想像の数倍上のクオリティで魅せてくれた。評判通り、めっちゃ歌うまい。「今日こそその日」のシャウトは気持ちいいくらいに劇場を突き抜けた。ティボルトには大きなソロが3曲(主役かよw)あるがそのどれもを「歌っている」のではなく、お芝居の一環とする技量たるや、素晴らしいの一言。特に「ティボルト」(巷で噂の自己紹介ソング)これを芝居にして聞かせてくれるとは!
「怒れる獅子」の迫力はそのまま、彼のティボルトには哀しみもよく滲む。苦しい苦しいという叫びの中、唯一の存在がジュリエットだったのかも知れない。正しく「愛している、お前だけを」。ジュリエット以外はどうなってもいいと言わんばかりの直向きさは吉田ティボの大きな特徴の様に思う。
2幕の、遂に溢れた憎しみ悲しみ怒りが、ぐちゃぐちゃになった「獣の如き叫び」がめっちゃ泣ける。(この場面も立石くんとは印象が違って良き!)
叔母上の吉田ティボへの接し方が「女」を前面に出してきているのも面白い。(立石ティボへは少し「情」を感じる。Wキャストによって演技を変えてるのかは不明だが、叔母上、流石の貫禄です。)
言葉を発する事もなく、深い憎しみの渦中で命を落とした吉田ティボルトの生き様をしっかりとこの先も目に焼き付けたいと思う。
立石くんティボルト
※まずその他の技量を軽視している訳では無いと言うことを断っておく※
美し過ぎません?黒執事で初めて観た立石くん。当時も麗しさにびっっくりしたけど、今回も、ビジュアル仕上げてきたなぁ。華々しい笑(この顔顔言われてる感じ、古川さん味あるw)
立石ティボは、若い青い脆さが残る青年ティボルト。こんな繊細な路線で来たか!!名家の御坊ちゃま、外見も相まって上品な様が素敵。(儚く見えるのはこれかもね!)
若く美しく何でも手に出来そうな男なのに「俺を見てくれ、本当の俺はここに居るんだ」と叫ぶのが、まるで子供みたいで、掟に雁字搦めにされた青年の切なさを思わせる。一方、自由気ままなロミオは1番大切なジュリエットまで奪い去った。
2幕の「今日こそその日」ではジュリエットへの愛だけで無く「ロミオお前を絶対に許さない!」と言った凄まじい感情の渦が見える。また、案外、柄悪く殴る蹴ると立ち回り、あろうことかマキュを刺してしまう流れも「我を失っている」ように感じる。多分、立石ティボは全く何も諦めていない男なのだろうと思う。(ここが個人的に吉田ティボとは反するところがあるなと感じる。)本気でロミオの屍の前でジュリエットに告白しそうな勢い。最期まで「ロミオ!!」と怒りを滲ませながら足掻き続けた青年が呆気なく死んでいく様は、「未来ある若者の命」が失われた虚無感を覚える。
余談だが、立石くんはコロコロ芝居が変わるなぁと思った。個人的に、ドラマチックこれでもか!と言うお芝居よりは、結構ナチュラルな演技が実はハマる人だと思うので、ぜひ元気よく自信もって伸び伸び演じていただきたいもの。(親か?私は笑)
終わりに
本当に舞台というのは素晴らしいなと感じる。自粛続きで、気分も下がる毎日だが、一生懸命に演じられている舞台を見ると、明日も頑張ろうという気持ちになれる。一日も早く、何も気にせず舞台などを楽しめる日がくることを願っている。