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【おすすめ】黒沢咲著『渚のリーチ!』
1.はじめに
いま、麻雀界で一番ホットな話題と言えば、Mリーグ・チーム雷電の黒沢咲プロ
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の『渚のリーチ!』(河出書房新社)だ。
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2.ついに届いたサイン本
黒沢ファンの私は、本が来るのが本当に待ち遠しかった。
ちょっと寄り道になるけど、私がどのくらい黒沢さんのファンかいうと、Mリーグの試合とYoutube(くろさわチャンネル)は必ず見ているのはもちろん、黒沢さんがゲストになっていれば予定が許す限り足を運んている。
本書は、発売と同時にツィッター等で話題になった。
3月16日の日吉さんとのトークイベントのチケットとセットのサイン本を予約していたのに、私の手元にはなかなか届かない。
まだ、まだ、まだーと待っていたら昨日(3月4日)ようやく届いた。
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丸善のサイトをよく見ると、サイン本の発想は3/7以降を予定とある。これでも予定より早く発送されたわけだ。
ついたにサイン本が来た。
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サイン!赤い印がかわいい。
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3.内容レビュー
さて、かんじんの内容は?
私としては無条件にお勧めなのだけど、小説仕立てなだけに中身の紹介が難しい。
買おうかどうか検討している人向けに、ネタバレにならない範囲で、本書のお勧めポイントを4つ述べておきたい。
3.1 小説であるということ
1冊目の本は戦術書ではなくて小説というのも、規格外の黒沢さんらしい。
たいていの麻雀プロの戦術書は、特に1冊目の本では、ところどころコラムがはさんであって、麻雀を覚えたきっかけ、夢中になるまで、プロ入り、プロになってから対局、タイトル戦の優勝などの話が載っている。
『渚のリーチ!』は、いわばそういうコラムだけを1冊の本にしたものともいえる。
そこにはMリーガー黒沢咲の軌跡が赤裸々に描かれている。
本書の出版が話題になったとき、あれ!?ノンフィクションじゃなくて小説なの?って思った。
すべてを実名でノンフィクションとして書くという選択肢も当然あったはず。
本書は、黒沢咲と麻雀を描くと同時に、黒沢咲と周りの人たち(家族や会社の先輩を除くとほとんどは麻雀プロ)との関係を描いたものだ。
実際の人物を描くとなるといろいろな制約が出て、すごく無難な内容か淡々とした記録になった可能性が高い。
あえて小説という形式を選んだことで、麻雀プロ黒沢咲の<本質>が浮き彫りになったと思う。
小説ということで、人名はすべて現実と変えてある。
主人公は岡崎渚。プロとしては大地渚という名前で活動。
麻雀プロは、一ノ瀬梨花、桜庭優成、冴島光毅、鴨志田学など。名前だけではわけがわからないが、誰がモデルかは読めばほとんどわかる。
3.2 麻雀が好きということ
読み終わって感じたのは、黒沢さんは本当に麻雀が好きで、打つことを楽しんでいるんだということ。
麻雀はうまく打っても理不尽に負けることもあるし、その逆もある。正直、孤児手的には麻雀のこのゲーム性はいまでも好きになれないでいる。
本書を読んで一番の感想は、プロになって成功する人は、才能や努力はもちろん、そもそもその競技が心底好きということが必要なんだなーということ。
3.3 Mリーガー黒沢咲までの歩み
もう一つ感じたのは、Mリーガー黒沢咲に至るまで、順風満帆ではなかったということ。
私は M リーグが始まる少し前に麻雀を再開した。それまでずっと麻雀から離れていたから、 麻雀プロに関する知識は大学生の時から止まったままだ。当時のプロといえば、小島武夫、古川凱章、灘麻太郎らのベテラン、 金子正輝、飯田正人が全盛期といった感じ。黒沢さんに限らず、MリーガーたちはMリーグが始まって突然画面の中に現れた印象だ。麻雀のトッププロ達の顔ぶれは入れ替わっていた。
そういうわけで、私の中で黒沢咲が最初からMリーガー黒沢咲であり、セレブ打法で高打点の和了を連発する強気のビーナスだった。
黒沢さんと言えば、成城のお嬢様育ちで、 会社員からプロ入りして M リーガーへ。順風満帆すぎて、いままでファンでありながら、なんか遠いなーと感じていた。
けれども、本書を読んで、今の位置にたどり着くまでに相当な苦労があったこと、ときには誰かの一言に振り回されたり、ネガティブな感情に囚われたりすること、TEAM雷電(本書ではTEAM雷神となっている)も、最初から息の合ったチームというわけではなかったを知ってから、黒沢さんがずっと近くに感じられた。
お嬢様育ちで、会社員をやめてプロ入りしてスイスイスイとMリーガーになったわけではなかったのだ。
プロ入りの決断、プロ後の葛藤、強気のヴィーナスという通りなの誕生秘話、Mリーグ指名、そしてMリーグスタートーーー大学2年生で麻雀をおぼえてからMリーガーとなるまでの歩みが赤裸々に描かれている。
3.4 麻雀観
黒沢さんと言えば、セレブ打法が代名詞。門前高打点を目指す、他に類を見ないスタイルだ。
このスタイルに行きつくまでの苦労は、上述の「道のり」でも述べたが、もっと具体的に牌活字を使って黒沢さんの麻雀観が示されているのも本書の特徴だ。
本書自体は小説だけれど、対局自体は実際の試合の手牌だ(なので、Mリーグのあの名場面も出てくる)。
黒沢さんは、どういう気持ちでポンやチーを見送っているのだろうか?その答えはぜひ本書で見てほしい。
4.まとめ
以上は全体の印象だけど、個人的には、喫茶店で会社の先輩がコーヒーを注文する場面、強気のヴィーナスの誕生秘話、Mリーグのあの名場面が面白かった。
コーヒーの場面は、麻雀とは関係ないけど、黒沢さんの人となりがわかって笑った。
まとめると、黒沢咲『渚のリーチ!』がお勧めである理由は、
1 戦術書ではなく小説にしたことで麻雀プロ黒沢咲がよくわかる
2 黒沢さんが麻雀が好きということがよくわかる
3 Mリーガーになるまでの歩みがよくわかる
4 黒沢さんの麻雀観がよくわかる
の4つ。黒沢さんのファンはもちろん、それ以外の方々、もっといえば麻雀を知らない方々もぜひ手にとってほしい。
最後まで、お読みいただきまして有り難うございます。
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