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我はここに集いたる人々の前に厳かに神に誓わん…
病院での学生1年のユニフォームは、白地に紺のラインの入ったストライプの白衣です。頭には三角巾をして髪をまとめます。
現在は多くの病院でナースキャップが廃止されていますが、当時の看護婦さんの頭にはナースキャップが載っていました。
ナースキャップは看護婦の象徴であり、憧れでした。キャップを貰う為に病院勤務と学校の両立を頑張っていたように思います。
そのキャップを貰える戴帽式…。
戴帽式は病院実習前に臨む前に行われ、看護の職業人としての意識と責任の重さを認識する儀式です。
学生はロウソクを持ち、ゆっくりと前に進みながら順番を待ちます。
ナイチンゲール像の前で教員が学生1人1人の頭にナースキャップを載せ、白のヘアピンでとめてくれます。
頭にナースキャップをちょこんと載せた多くの看護婦の卵たちが誕生します。
そこで…
声を合わせてナイチンゲール誓詞を読み上げ、誓います!!
我ははここに集いたる人々の前に厳かに神に誓わん。
我が生涯を清く過ごし、我が任務を忠実に尽くさんことを。
我はすべて毒あるもの、害あるものを絶ち、悪しき薬を用いることなく、また知りつつこれをすすめざるべし。
我はわが力の限り我が任務の標準を高くせんことを努むべし。
我が任務にあたりて、取り扱える人々の私事のすべて、我が知り得たる一家の内事のすべて、我は人に洩らさざるべし。
我は心より医師を助け、我が手に託されたる人々の幸のために身を捧げん。
戴帽式に間に合うよう必死に覚えました!!
学校でクラスメイトと復唱、寮で同期と復唱…。
私にとってナイチンゲール誓詞は、原点に戻れる指針のようなものです。そして今でも素晴らしい内容だと思っています。
我が手に託されたる人々の幸のために身を捧げんこのフレーズは胸が熱くなり、こうありたいと願っています。
戴帽式が終わると病院でもナースキャップを付ける事が許されます。
三角巾からの卒業です。
今後は患者さんとの関わりのなかで学びを得る臨床実習が始まるわけです。
次回は私が実習を通して、看護について深く考えるきっかけをくれた患者さんとの関わりについてお話したいと思います。