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看護が楽しいと教えてくれた人

准看護学生2年生になると臨床実習が始まります。
実習病院によっては天国か地獄か…!?

看護の世界は今でこそ男性がいますが、当時は女性ばかり…そして、実習必ず厳しく指導してくれる方々がいます。

私は比較的自由に学ばせて貰える病院だったので、実習は嫌いではありませんでした。しかしなかには厳しい指導を受け、トラウマになったという仲間もいました。

私の初めて受け持ちは精神科病棟に入院中の同年代で色白で赤みかかった髪の毛がよく似合う美しい女性でした。

彼女は右手、両足骨折、骨盤骨折がありそれぞれギプスで固定中。日常生活活動(食事、清潔、更衣、排泄等)はベッド上で介助が必要な方でした。

なぜこの状態かというと…入院した時に窓から飛び降りたからです。病棟は2階だったので、骨折はしましたが命に別状はありませんでした。

食事に関しては自力摂取が可能でしたが、ご飯やおかずがボロボロとこぼれるので、エプロンを作成することにしました。
布製のエプロンだと濡れて不快感があると思い、ビニール製が良いと考えました。

身の回りのものでこれだ!!と思ったのが、ゴミ袋でした。ゴミ袋の底の部分から頭を出すように、横から手が出るように穴を開けました。

でも、やはりビニール袋だと嫌だと感じるかもしれないと考え、イラストを書くことにしました。
あまりイラストは得意でなかったので、練習してミッキーマウスの絵ならある程度可愛く描けるようになりました。そして、ミッキーマウスを描いたエプロンを患者さんに見せるととても喜んでくれました。
「ゴミ袋、嫌でないですか?嫌なら他の物を探しますので、言って下さい。」と伝えると「私のためにしてくれることがとても嬉しい。」と言ってくれました。

次にケリーパッド(臥床患者さんのゴム製の染髪する用具)を作成しました。当時、その病棟にはケリーパッドがなかったので教科書に作成方法が載っていたので作成することにしました。
バスタオルを巻いて棒状にして輪ゴムで止めU字にして、大きなゴミ袋で被せて完成です。
ゴミ袋がとても重宝しました。

何度か洗髪する間に高さやU字の角度など苦痛を軽減するために改善していきました。
バスタオルの大きさを変えてみたり、緩やかなU字になるように輪ゴムの数を減したり…毎回、患者さんが良い感想だけでなく、苦痛に感じることも言ってくれたので、どんどん改善できました。

私はこの経験から個別看護を学びます。患者さんの状況にそって必要な看護は何か、それはどのような方法を選択すれば良いのかを考えることを実際に行い、患者さんの反応や状態の変化を評価することで看護を変えていくことも一緒に学びました。

「看護は楽しいお仕事」であることを教えてくれた最初の患者さんは、間違いなくこの人だと思います。

 元気で生活してくれていると嬉しいな…。

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