【映画感想】ミンナのウタ
これはLDHを全く知らねえ女の感想です。
なんかやたらと精神攻撃してくる公式サイトなんだが???
ということでジャパニーズホラーと言えばこの人!清水崇監督がメガホンを取り、GENERATIONS from EXILE TRIBE(以下ジェネレーションズ)が本人役で出演しているこちらの映画を、友人に誘われて観てきた。
前評判を調べたら意外とイイ!!というご意見多数。
ちょっとワクワクしていたのだが、そもそもジェネレーションズの顔と名前が一致するメンバーがメンディーしかいなかったので、ざっくり憶えてから行ってきた。
が、別に覚えなくても自然と理解できるくらい皆個性的だし、探偵の権田も名前を憶えていないのでいらん心配だった。気にせず見れます。
総評:ジェネファンの皆様も満足では?
結論から言うと、ここしばらくの村三部作とかなんだったん?と思ってしまうくらいの作品だったので普通に面白い。ただめっちゃ怖い!!て感じではない。
ホラー初心者や、ジェネレーションズファンの人には程よい塩梅だと思う。
とはいえ割と多くの人たちがめっちゃ怖かった!という意見を出されていたので、私の怖いの基準が頭おかしい可能性が高い。
ジェネレーションズの各メンバーも、皆個性的だし演技もうまい。皆すごく器用だなあと感心した。特にパフォーマーの中務くんの演技はめちゃくちゃナチュラルで、一見の価値あり。
そういう意味で、多分ジェネレーションズのファンも満足できると思う。
ホラーが好きな人にも、LDHが好きな人にもおすすめできる。良質なファン向けムービーでありながら、ホラームービーとしても完成されていた。
【ここからネタバレ】あれこれの伏線やオチにJホラーの系譜を感じる
3日後のライブまでに、行方不明となったメンバーの小森隼が見つかるのか?という話を主軸に、GENERATIONSのマネージャー凛ちゃん(早見あかり)と、さえない元刑事の探偵・権田(マキタスポーツ)、リーダーの白濱亜嵐があっちへこっちへ奔走することになる。
ところが途中で挟まれる「ミンナのウタ」と呼ばれたメロディーだけが人々に伝染するわけではない。
権田がカチカチならすノックタイプのボールペンの音、マネージャーの凛ちゃんは何もないのに首を掻きむしり、白濱亜嵐はなぜか権田が鳴らすボールペンと同じリズムで指で机をたたき始め、突然片寄涼太は吐き気を催すほどのしゃっくりが止まらなくなったり…。
特にしゃっくりをする片寄くんのシーンでは、劇場内で笑いもちょっと起こっていた。
だが一見何にも関係のないこの現象が、実はカセットテープというアナログなツールの、文字通り裏側(作中で言うならばB面)に存在していたときの収束感は気持ちいいし、この現象を含めて「ミンナのウタ」なのだと理解できたときはぞっとできる。
またカセットテープを使うことによって、若い世代は知らない昭和・平成初期ネタ、ここでは1975年のかぐや姫解散ライブの話に繋ぎ、逆再生、B面とおじさんだからこそ知っている部分にまで怪異を盛り込んでくるのもいい。
これはCDや、今主流となったサブスクやyoutubeにはできない恐怖だと思う。
ちなみにかぐや姫解散ライブの声については、母に聞いたところ「ホラー番組の鉄板ネタだった」そうなので、その時代に生きていなくても知っていると思う。なにせ1990年代後半生まれの私も知っているし。
そんなことを仕込んでくれていたのが、停滞気味どころじゃないJホラーにさっそうと現れたニューヒロイン「高谷さな」であり、彼女の気持ち悪さ、異常さは最早清々しい。
彼女が手にかけたのが「猫」、「としおという名の弟」というのは呪怨へのオマージュだろうし、音楽を使って感染が広がっていく様はリングの貞子をほうふつとさせる。
また、ラストシーンで凜ちゃんの捨て身の突撃で未来が変わり、これまでのホラーにはなかったタイムパラドックスものに進化するのも斬新。
この突撃シーンはちょっと唐突ではあるけれど、「誰も彼女に寄り添えないのか?」という純粋な彼女の優しさと、その優しさすらも高谷さなにとっては利用できるものであるというのが怖くていい。
一歩間違えばさなの担任の先生も、彼女の毒牙にかかっていた可能性は十分にあり得るなと思える。
個人的には「私の赤ちゃん返してよおおお!」と大発狂するし、娘を手にかけられるとばかりにケーブルを引くさなの母親が一番怖かった。
その前のタイムリープシーンもえらく怖かったし。
それから、マキタスポーツ演じる権田の家族問題が何一つ解決していないのも良い。
大体「ピンク色の髪になった」娘が返ってきたと妻が言いながら、権田が目撃したのは黒髪の少女だ。あの子は本当に権田の娘だったのだろうか?
また電話越しに彼女はさなの鼻歌を聞いている。もしや彼女からミンナのウタは伝播したのでは?
ホラー映画は大体こういう家族問題を解決したがるが、一切しなかったところがいい。
昭和生まれ平成育ち、デビューは令和のニューヒロインとの出会いが、まさかLDH本人役出演作品とは思っていなかったけれど、友人に誘ってもらわなければ絶対に見に行かなかった作品なので、とにかく友人に感謝。
High & Lowも面白いよ、と言われたので見てみようかなと画策中だ。