短歌ください

前の記事に書いたんですけど、ちょっと前にめちゃくちゃ落ち込むことがあって、小説が読めなくなりました。小さい頃から割と本(小説)を読むのが好きで、結構明確に物語というものに救われて生きてきた自覚があったので、そりゃもうびっくりしました。「えっ?本読めなくなんの?やばくない?生活していくの難しくない?」って。

本屋さんにいっても、読みたい本が見つからない。結末がどうなるかわからないものを見たり読んだりするのが嫌だ。ハッピーエンドもバッドエンドも傷つく。嫌だ。っていう感じ。疲れてたんですね。とっても。

ちなみにその頃からテレビも見れなくなりました。これは今もあんまり変わりません。

結構な期間、何か読める本がないか、本屋さんを2時間くらい彷徨いて、何も買えず帰るっていうのを繰り返してたんですけど、ある時、神保町にある三省堂の短歌コーナーでこの本を見つけました。
「短歌ねぇ〜、、、」って思いながらパラパラ捲っていたら、あっと思いました。
これいける。って。
とりあえず、その本を買って帰りの電車で読みました。
読みながら、めちゃくちゃ安心したのを覚えてます。
「よかった。まだ大丈夫だ。まだ本に助けてもらえる。」って。

小説が読めなくなったと気がついたとき、すごくすごく怖かったのが、もう本に助けてもらえない、ってことでした。例えば、嫌なことがあった時、悲しい時、活字と物語を追うことで、そのことを忘れたり、気持ちを変えられたりするんですよ。いい物語に出会うと、本当に本当に優しい気持ちになれるし、なんだか自分が自分を少し好きになれる。
いや、好きっていうか、許せるって感覚が近いかな。伝えにくいんですけど。

とにかく、嬉しいこともあるけど、辛いことも結構ある日常の中で、本って結構重要な存在でした。頼りにしてたんですよね。

この本は、歌人の穂村弘さんがダヴィンチで受け持っている短歌の講評コーナーに寄せられた作品とその解説をまとめたものです。
短歌ってすごいです。言葉のパワーがすごい。
胸にグッとくる歌が何首もありました。
これは1人でじっくり噛み締めるのもいいし、誰かと共有して、「どの歌が好き?」って聞くのも楽しいかもしれません。
あと、落ち込んでる時とそうじゃない時で全然響く歌が違くなるのもいい。何度でも面白いです。

私がこの本に抱いてる感想は、「助けてくれてありがとう」です。そして、きっとこの本は多くの人を救うって信じてるので、誰か1人にでもこの本の良さが伝わればいいなと思っています。

傷つくことがあって、物語の刺激に耐えられなくなった人、この本なら大丈夫。
きっと、たすけてくれる歌が見つかります。


あと10億冊くらい、この本が売れますよーに。

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