髭男『 I LOVE...』の歌詞でいつも考えてしまうこと
髭男といったらもう飛ぶ鳥を落とす勢いのofficial髭男dism。(←変換が一発でできなくて困るよ)
バイト先のBGMが有線なので、んまーーーーー毎日耳タコなくらいかかりますとも。髭男の『 I LOVE...』。
有線の国内チャートのチャンネルなのかリクエストのチャンネルなのかは知らないけど、いずれにしても1時間に1回はこの曲が流れています。
あいかわらず印象的なイントロから耳に残るメロディーライン、なにげなく取り込んでいるゴスペル風クラップとアレンジ。そして、なんといっても抽象的でいろんな捉え方ができそうな歌詞の世界。韻を踏む言葉遊びがあったりするしね。作詞作曲を手掛ける藤原くん、才能すごすぎるわ。
で、この曲が流れるたびにある歌詞にひっかかるんですよ。もう勝手に考察するわよー。
見えないものをみて笑う君のことを わかれない僕がいる
美しすぎて目がくらんでしまう
今も劣等感に縛られて生きている
だいたいラブソングは聴いているとシチュエーションってわかるものだけど、この曲は解釈がいろいろだなと感じる。
歌詞から察するに、Aメロ冒頭にあるように男性は普段から物事をそつなくこなすような、自分のペースもあったりしてわりとちゃんとした男性。それが女性に出会って引き込まれていく。ぜんぜん一人でも平気だったのに、彼女の登場によって風景が変わり色鮮やかになった~~~とわりと女性を持ち上げるようにも思える歌詞。
後半の歌詞で、
君のくれたプレゼントは このやけにやさしい世界だ
イレギュラー
ときて、ああ、これは女性が妊娠して子どもができた設定(個人的には婚前の妊娠だと踏んでいるよ)? と今、書きながらわかった。その彼女を見ながら複雑な心情の変化が起こる男性の気持ちをかっこよく歌った曲なわけね。そういえばMVでも妊婦さんでてくるし。
私がひっかかる歌詞の部分「見えないものをみて笑う君」は、最初、霊的なものか、それとも独自の芸術世界でしか見れないもののことなのかと思ったんだけど、これは妊娠している女性がお腹の中にいる赤ちゃんに対して笑っているのかなと。それならよくある風景よね。だから「普通のことだ」というわけだ。
さらにそのあとの「今も劣等感に縛られて生きている」の歌詞もものすごく耳に引っかかるワード。妊婦さん設定じゃなければ、女性のなんらかの才能は認めるもののまったくかなわず、それによって劣等感を持っているのかとも思った。そういう視点もありよね。
でも、歌詞を見れば見るほど、私の中では「彼女妊娠説」が圧倒的な世界観だと思ってしまう。
妊婦さんを前にしたら、父親という肩書はあったとしても、お腹の中に子どもがいるわけじゃないので実感がない。だから同じように感じられない自分は「劣等感に縛られている」ってことなのかなーと。
「劣等感」という言葉が来る前の展開はかなり美しくきれいなワードが多いのに、ここにきて「劣等感」という強めのワードを入れてくる違和感たるや。
これは聞き手に対して作為的にしたものなのか、女性と男性の心情の乖離、わかりあえなさを明確にするために「劣等感」と言ったのか。
そのあとのサビで、「不格好な結び目 手探りで見つけて」も男性の父親になる心の準備や二人の関係性が揺らいだり迷ったりしている様を表している気がする。
とにかく藤原くんの言葉選びは、ときどき違和感を与えつつ、聴く側に傷跡を残す。さっきの「劣等感」もそうだし、「イレギュラー」もそう。しかもメロディーもサビ以上に強調してる。子どもができることはある意味イレギュラーだもんね。インパクトのある言葉をうまく使ってわざと違和感出しているのだとしたら、ヒットするための作戦としてすごすぎるわよ。
『Pretender』の「君はきれいだーーーー!」も狙いすましたかのような強めワードだったもんね。
あと、「高まる愛の中 変わる心情の中」「重なる愛の中 濁った感情の中」という表現、ここも秀逸。恋愛でただただ好き好きだけじゃなく、不安や迷いはあることも同列に表現して、とくに男性側の気持ちはかなーり揺らいでいると思われ、タイトル『I LOVE…』のあとにyouが入ってこないのはそういうことじゃないかと思ったのよね。
言葉を選べばとてもきれいに聞こえるけど、変わる心情とか濁った感情って、相当どろどろした男性のずるさや小心なんじゃないかと思うし、I LOVE YOUとはっきり言えないくらいの覚悟もないうちに子どもができちゃった!という出来事を歌にした、という世界に最終的には聴こえました。
あくまでも個人の感想です。
明日もバイト中、何回聴くことになるんだろうな…