なぜ、土砂降りで行列になるか?を考えてみた。
毎年の恒例行事となりつつある「SAGAN COFFEE FESTA」が3月11日(日)に、終始土砂降りの中開催された。
昨年、すぐに完売してしまい大クレームをいただいた反省もあって、計画的に通常よりも1.5倍くらい持っていけそうな量を仕込んでいたが、さすがの雨で苦戦することを予想していた。
で、当日。
明らかに開店前から外がざわついてて、晴天の日とあまり変わらない雰囲気。のれんの隙間から結構な人が見える。
結論から言うと、10時から14時過ぎまでぜんざいを作りっぱなし。。
しかもその間、全く雨の量は変わらず、まあまあ降っていました。
それでも列が途切れることなく、ひたすらぜんざいを作りっぱなし。。
(上記写真はSAGAN COFFEE FESTAさまの投稿より)
そして、残念な事に今回も列の途中で「ごめんなさい」をさせていただき、お召し上がりいただけない方にお帰りいただきました。
<参考>
●https://www.facebook.com/sagancoffeefes/photos/a.622654087885882/1222592724558679/(SAGAN COFFEE FESTAさまの投稿より)
●https://www.facebook.com/859247650862038/photos/pcb.2108990179221106/2108989925887798/(stool coffeeさまの投稿より)
●https://www.facebook.com/photo.php?fbid=2037667289601788&set=pcb.2037667312935119(Masamine Sekiさまの投稿より)
今回のノートでは「なぜ、土砂降りでも行列でぜんざいを買い求めるような事になるのか?」
私の中で一度棚卸をさせていただきたく、そんな事を書こうとしております。
AIDMAの法則からの考察
かつて勤めた会社で「マーケティング」などということに取り組んだ時期があったが、その時にかじった浅はかな知識ですが、「AIDMAの法則」を思い出す。
<AIDMAの法則>
消費者がある商品を知って購入に至るまでに次のような段階があるとされる。
Attention(注意)=「商品を知る」
↓
Interest(関心)=「商品に関心を持つ」
↓
Desire(欲求)=「商品を欲しいと思う」
↓
Memory(記憶)=「商品を記憶する」
↓
Action(行動)=「商品を購入する」
通常、イベントへの来場者は、「何か楽しい事があるはず!」みたいに漠然とした楽しみを求めて来場し、そこで注意を惹きつけられたものを見て、触れて、というところが購入の第一段階である。
要するに「AIDMA」の最初のA(Attention)からスタートすることとなる。購入までには「I→D→M」を経て最後の「A(Action)=買う」なのだ。
つまり「お目当ての店舗」「お目当ての商品」でない限りは
A→行ってから発見 未
I→知らないから「関心」にまで至らない 未
D→知らないから「欲求」にまで至らない 未
M→知らないから「記憶」にまで至らない 未
しかし当店の場合は、
A→知人からの噂や偶然みたSNSで 済
I→SNSでの投稿内容や知人からの体験談で 済
D→夜中に食べにいけず欲求だけが膨らむ形となり 済
M→SNSをフォローしているとよく目にするため 済
ということで、既にイベント会場に来る前から「A(Action)=買う」モードで、普段やっている「夜のあんこ屋」だったり、週末の「イベント出店」が、「あとは買うだけ!」というモードを作り出している。
さらに「ここで買わないといつ買えるかわからない」という心理も相まって土砂降りの中でも「待てる」し「並べる」のだと思う。
この現象を生み出している要因は様々ある。それを以下に列挙してみたいと思うのだが、これらがAction(=購入)までのステップに作用している。
①毎日の投稿(営業告知、イベント告知 など)
「Attention(=注意)」「Memory(=記憶)」に効果的。
SNSを通じて、ほぼ毎日何かしらの情報発信をしているために、「知る」「記憶する」ためのきっかけとなっている。
②インスタ映えするような商品の盛り付け
「Interest(=関心)」「Desire(=欲求)」に効果的。
「夜のあんこ屋」で出す商品も、「昼のイベント」で出す商品も、写真を撮って投稿したくなるような盛り付けを意識している。(特に食材や箸袋等の彩り、白玉等の配置、立体感など。)そのために、それを投稿したくなり、さらに投稿を見た人が連鎖的に「買いたい」「写真を撮りたい」という興味や欲求をいだく流れになっている。
③あんこの味付けが好評
これも「Interest(=関心)」「Desire(=欲求)」に効果的。
「当店のあんこは甘さを控えめに調整しており、潔いシンプルな美味しさを楽しんでいただける。人それぞれ好みはあり「100点」とまではいかないとは思うが、みなさんからは概ね良い評価をいただけており、「美味しかった」といった投稿を見かけることがある。これも「食べてみたい」という欲求をいだく流れを作っている。
④営業時間が「深夜のみ」
「Desire(=欲求)」に効果的。
「食べたい」と思っても、深夜しか営業していないために食べに行く事ができず、「欲求」だけが増幅してしまう。
⑤「行列ができる店」という噂
「夜のあんこ屋」にしろ「昼のイベント」にしろ、どちらも「行列のできる店」という噂になっている。特に「夜のあんこ屋」については、「開店するのが深夜にも関わらず…」みたいな枕詞付き。
実際のところは「必ず行列になる」というわけではないのだが、みなさん「並ばないと買えない」と思い込んでおられるために、「いつか食べてみたい」と思う動機となっている。
⑥毎回のイベントで売り切る
ご購入いただけなかった方に「Desire(=欲求)」を与え、「完売御礼」の貼り紙を見た人に「Attention(=注意)」や「Interest(=関心)」を与える。
今回のCOFFEE FESTAでは持参していた紙が全部濡れてしまって掲示できなかったが、「完売御礼」の貼り紙をするようにしているし、Facebookに「完売御礼」の投稿をすることもある。
⑦SNSのフォロワー数
Facebookのフォロワーが5,000人超。その他SNSも2,000人、3,000人といったフォロワーがいらっしゃるので、1回の投稿での情報の広がりが期待できるために「Attention(=注意)」「Memory(=記憶)」に効果的。
「フォロワーの数をいかに増やすか」にこだわった方が良いと思う。
他にも色々あるんでしょうが、私が思いつく大きな要素としては上記のとおりかな。
①〜⑦のどれかが欠けても「土砂降りの中で、あそこまでの行列」みたいなことにはならないような気がする。
全てを計算してやり始めたわけではなく、たまたま気づいたらこのような状況になっていたという感じ。
「土砂降りの中に並んででもお買い求めいただける店」というのは、我ながら「すごいこと」だと思うが、雨の中お待ちいただくなど「お客さんに不便をおかけしている」というマイナスの側面もある。
よりお客さんに満足いただくにはどうすれば良いか?
よりお客さんに愛されるお店はどんなお店か?
今一度考えてみたいと思う。