支那そば
祖母はラーメンというかとにかく麺類が好きな人で、よく自分で作って食べてもいたけど時々出前もとっていた
家族みんなでとることもあったけどばあちゃん1人でとる方が多かったような
贅沢だったのか何だったのか、家ではどこかばあちゃん優遇のムードはあった
蕎麦も好きだったけどよく出前してたのはラーメン、親戚がやってる店
ばあちゃんはラーメンとは言わない
支那そば、と言っていた
シンプルな醤油味の支那そば
メンマにネギにチャーシュー、なると、そして海苔
出前だとその海苔の上に、胡椒がかかっていた
たまにばあちゃんに分けてもらって食べると邪魔だった、胡椒が
子どもにとって胡椒の辛さは敵、でも海苔は食べたい、このジレンマ
無理やり胡椒のなさそうな部分の、ふやけた海苔を食べていた
そして子どもなりにも、出前で柔らかくなったぬるい麺は
どこか腑抜けた味だと思ってた気がする
喜んで食べていた訳ではないような
そもそも小さい子どもに何の変哲もないシンプルな支那そばは
地味に見えて盛り上がりに欠けた
そう、出前の時はいつも餡掛けの五目チャーハン
これは文句なしに美味しかった、見た目にも味も
でも今でも舌は、その支那そばの腑抜けた味を、うっかり食べてしまった、邪魔だった胡椒の辛さを、ちゃんと覚えている
味の記憶は侮れない
今なら食べたいなあのラーメン
違った、支那そばだった
あの腑抜けた味
今食べたら美味しいと思うだろうな
一見地味に思えるシンプルな味も
ピリッと刺激をくれる胡椒も
食べたいな
帰省したら今度
行ってみようか
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?