おばちゃん、派遣の顔合わせに挑むその1~アラカンの再就職その38
ついに派遣先との顔合わせ日となった。
ここまでに、顔合わせようのインナーを探しに行ったり、スキルシートをまとめて声に出して自己紹介の練習をしたり等々、濃密な4日間であった。
そして、当日もテレアポの仕事をしているわけだが、やはり妙に落ち着かない。
しかも、まだ上司に今日のことを話していない。あからさまに「転職活動しています」とやっていたわけではないし、ま、まだ次の契約書にサインをしていないのはわかっているだろうとは思うが、リマインドもきていないので放置している。
顔合わせは夜だ。でも、テレアポをぎりぎりまでやっていては支度もできないし、ちょっとだけ早退をしないと間に合わない時間だった。さてどうする?なにせ、この業務最終架電の後に日報で架電数を報告しなければならないからギリギリでごまかすこともできず、、、えい!と決めたのは「歯医者」である。
お昼休憩の後、上司に「すみません。お昼食べていたら歯が欠けたので、歯医者に連絡したら夕方の時間で予約がとれたため早退いたします。」とチャットをいれた。「そうなんですね。お大事に。」とさらっと返ってきたから、もうこっちのものだ!
いつ何本架電したか、アポがとれたか、ぜーんぶ筒抜けのシステムではあるが、トータルがそこそこいっていれば、重箱の隅をつつくようなチャットはこない。とりあえずアポさえあがっていれば何もいわれない組織だ。午前中に2本のアポをとっているから、早退もスルーされたと思っている。なんでも結果だけしかみないからな、この上司。
夕方、支度をしながらちょこちょこと架電する。もう出なければいけない時間になったら「終業します」と日報送っていざ出陣だ。
初めて行く場所はいつも緊張する。駅でトイレに寄る。そんな遠いところではないが、営業さんとの待ち合わせ前にトイレに行っておく。まだ寒い時期。ダウンコートほどでもないのでコートを着つつも、スカートのしたはお約束の肌色タイツ。
顔を見たこともない営業さん。男性としかわからない。それっぽい人の近くのベンチに座ってみた。その男性はずーっとパソコンで作業している。約束の時間近くなって、その人がスマホを取り出し電話をしていた。たぶん、おばちゃん宛だろう。案の定おばちゃんのスマホが鳴った。お互い「!」という感じで、会釈して、おばちゃんから近づいてみた。
「あんからさんですね?お待たせしてました?」となりのベンチにいたの気づいていなかった?
「道に迷うと困るので早めに出ました。よろしくお願いします。」とおばちゃん。「では・・・」と、営業さんが会社の説明と実務内容、段取りなどを話してくれた。「自己紹介ですが、困ればこちらからフォローしますので安心していてください。」と頼りになる言葉をいただいて、ほっとした。
「先方の担当は2名ですが、もしかすると4名が席につかれるかもしれません。ちょっと圧迫感あるかもしれませんが」早く言ってくれ。手汗が出てきたじゃないか。
スキルシートを確認して、そろそろというところで「お手洗いはそこですが」気が利くじゃないか。「ありがとうございます。大丈夫です。」と丁重にお断りをしたおばちゃん。行けなくはないけれど、今自分の顔を鏡で見たくない、となんだか思ったのだ。「では行きますか」と営業さんが受付でお客様用のゲストカードを受け取り、会社に向かった。
通されたのは8席の会議室。先方4人もまんざら嘘ではなさそうだ。
営業さんの後ろに座るもんだ、と思っていたが、おばちゃんのほうが上座だった。わ、なんかこういう近い顔合わせって久しぶりすぎて緊張してきた。
しばらく待っていたら「遅くなりまして申し訳ございません。」と、派遣先の上司となる人が部下と人事を連れて入ってきた。
上司になるであろう方のオーラありすぎて、おばちゃん早々にびびってしまった。
その2に続きます。お読みいただきありがとうございました。お邪魔しました。
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