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日記・42:雨

二日間の連休が終わった。
強風と大雨。
瞬と若菜は保育園へ。

朝、お墓参りに向かう途中、坂を下り終えた老夫婦の後ろ姿が見えた。

おじいさんは上着のポケットに手を入れ、雨に濡れないように背を丸めて歩いている。
隣のおばあさんがさりげなく傘をおじいさんの頭上に差し出す。ほんの一瞬の仕草であったけれど、心がほかほか温まる思いがした。

胸が熱くなり、妻との生活を思い出しながら歩いた。
純粋で心優しい女性だった。
料理が大好きで、「美味しいね!!」と褒めるととても照れて、素直に「嬉しい」と笑いながら言った。
「パパがご飯を美味しいって言ってくれるのが一番幸せ!」
と、口癖のようにいつもニコニコしながら言ってくれた。

時間というものを考える時いつも不思議なのは、単純なことだけれどそれに対する感覚の差異である。
あっという間だと思う反面、膨大な量を費やしたようにも思える。
結局はその繰り返しで、人は人生を送るのかも知れない。
妻が残してくれたものは計り知れない。
それを全身で受け継ぎ、子供達やお世話なったたくさんの人、これから先迷惑をかけるかも知れない様々な人に残し、感謝していかねばならない。
大切なのは気持ちだと思う。
その大切な気持ちを忘れがちである。
辛さ、悲しさ、涙をごまかし、何かで代用して生きるより、胸の張り裂ける思いを決して忘れず、人の痛みのわかる人間となる方が立派だと思う。

しかし、自分はこれほど不幸だ、こんなに辛い思いをしてるんだ、と、周りにひけらかしてはならない。
もっと苦しい思いをしたり、無念の涙を一人で拭いながら、負けるもんかと立ち上がる人だっているんだ。
弱いと思ってる人も世の中にはたくさんいる。
おれはいつも、そういう人の味方でありたい。
歯を食いしばり、何かの為に大粒の涙と汗水を流し、それを拭きながら精一杯の笑顔を作り、一人で泣き、自分で頬を叩いて前進しているたくさんの人達の味方でいたいし、何より自分がそうありたいと思う。

天国の妻に、歩きながらだけど誓いたい。

決しておごらず、勝ち誇らず、謙虚で内に秘めた力強さで、二人の子供を一人前に育てるから。

いつも、見ていてくれな!!!


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ぞうさん。
私の記事に立ち止まって下さり、ありがとうございます。素晴らしいご縁に感謝です。