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日本を守る物資の安定供給
「日本の経済安全保障」という本をもしもお買い求めいただいている方がいらっしゃったら71ページを見ていただいたら詳しく書いてあります。
経済安全保障推進法に基づいてサプライチェーンの強靭化をするということで、私たちの生活や産業などに不可欠な物資、国民の生存にとっても不可欠な物資を特定重要物資として指定をして、私が最後に指定をしたのが2024年1月に先端電子部品を指定をして、合計12物資について今政府がお金を出して、そして民間企業も協力をして、しっかりとそれを生産する。
またこれまで海外に依存していたものを国内で研究開発をして生産をしていく、そういうサプライチェーン強靭化の取り組みを進めてまいりました。
その根拠となるのが経済安全保障推進法なのですが、経済安全保障推進法の中で、赤で囲んだ部分に関しては使われていなかったわけです。
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これまで政府が指定をして、民間事業者などとともに取り組んでいくということだったんですけれども、要は事業者の取り組みでは安定供給の確保が困難な場合どうするんだとということで、本の中に書かせていただいたのが、事業者の取り組みでは安定供給確保ができない場合には特別の対策を講ずる必要がある特定重要物資として、主務大臣が指定をして主務大臣は備蓄、または安定供給確保のために必要な措置を講ずることができると。
要は国が前に出る取り組み、民間事業者では対応ができない国が支援したとしても対応が困難なケースを想定した条文がありました。
これから様々なリスクに備えて、ここを使っていかなければならない可能性があると考えています。
政府の方でも検討を始めていただいているとは思いますけれども、これはとても大事な話です。
今たちまち起きているということではないですが、例えばパンデミックがまた起きちゃったというような時、新型コロナウイルスの時にはまずマスクが大量に足りないということになって、いろんな企業さんが自らマスクを作ってくださったりしました。
最初は布マスクを作っておられたところも沢山あったけれども、布マスクでは効果がない・薄いということで、布マスクの在庫を随分抱えたこともありました。
そういうことを考えますと、マスクに限らないんですが、何かパンデミックが起きてどうしてもその時に必要な物資があると。
でもそのパンデミックが終わっちゃったらそれは必要なくなるかもしれないといったら、民間事業者として多額の投資をしてこれを精算するというのは過剰な設備を抱えることになりますから、補助金があったとしてもなかなか投資しにくいです。
こういった時に、場合によって国が前に出て、国の方で工場を所有して、もしくは取得をして生産をする、そういった必要が出てくるようなケースも考えられます。
別のケースとしましては、例えば原材料で海外からしか入らないものが完全に途絶をしてしまったような場合。
どっかの国が輸出禁止をして、原材料が供給途絶をしたら調達先を切り替えるのにものすごく時間がかかるということになると、民間企業が一定期間、稼働停止をしなきゃいけなくなっちゃいます。
そうすると、その企業の経営判断として生産設備を処分せざるを得ないようなケースが起こる可能性もあります。
そういう場合に処分をされてしまったら、それが日本にとってとっても大事な物資を生産している工場であるということになると、国が工場を一時的に所有しなければ生産能力が永久に失われてしまう、不可逆的に失われてしまうようなケース、こういった場合にも先ほど申し上げた国が前に出ていかなきゃいけないケースであると考えられます。
今起きてることじゃないですが、そういうリスクがあるということです。
もう一つ考えられるケースとしましては、これはとっても困るんですけれども、他国の政府の影響を受けた日本企業があった場合、その企業が他の日本企業を買収しようという工作をしているとき、外為法による審査っていうのは外国企業が日本企業を買うとか投資をする場合には外為法で審査をすることもできますが、日本企業が日本企業を買うというときには、これは外為法の対象じゃないです。
そうすると日本企業のAという企業が仮に懸念国の政府からとても強い影響を受けている場合、もしくは日本企業Aというところの役員さんが懸念国から契約元づく指揮命令を受けていたり、もしくは多額の金銭を提供されていたり、それからまた接待を受けていたり、それから何かその他国の政府からの指示を受けたり、そういう関係にあった場合に、日本企業Aが日本企業Bを買った場合にも、もしかしたら丸ごと持っていかれちゃう。
生産のノウハウであったり非常に重要な技術が流出してしまう。
日本国内では最終的に作れなくなってしまう。
私たちが安定的な供給を受けることができなくなってしまう。
そういうリスクもゼロじゃないです。
だから外為法で対応できない、こういったケースも想定されると考えています。
これからあらゆるリスクを前もって想定して、そして今ある法律でできることは今ある法律をしっかりと動かす。
それから、今ある法律で対応できない場合には新しい法律を作る。
もしくは政令とか省令とかこういったもので運用を変えていく。
こういった経済安全保障の取り組みというのは普段の見直し・普段のチェック、あらゆるリスク想定というものが必要だと考えています。