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中国人ビザ緩和措置に経済安保条のリスク

私や自民党の外交部会や外交調査会の方々も怒っていることですけれども、2024年12月25日に岩屋毅外務大臣が訪中をされました。
訪中の目的は王毅外交部長、向こうで言うと外務大臣たちとの日中ハイレベル人的文化交流対話のためということだったんですけれども、現地で中国人の方々が日本に滞在する際のビザの緩和措置を発表されました。
これはドヒャーと驚くことでした。

自民党の外交部会また外交調査会の合同会議が2025年1月21日に開催されたわけなんですが、その場でも出席された国会議員からは「なぜ急いでこのような判断をしたのか。必要性はどこにあるのか。」疑問を抱かざるを得ないというご意見だったり、それから中国との間では、現地で日本人が拘束されるなどの懸念がある中で「今回の決定は国益にかなうのか」といった声が上がったと聞いています。
この日の会議に私が行けなかったものですから、そのように聞いています。
そしてその場で外務省の職員からは「インバウンドの拡大など経済的な効果が期待できる」といった説明があったそうです。

私は2024年12月にこのニュースに接した時に、むしろ経済安全保障上の懸念、こういったものを強く感じました。
ビザの緩和措置というのは外務省の職員に聞いてみますと、省令改正も必要ない、国民の皆様のお声を1ヶ月聞くとかいうパブリックコメントこういったものも必要ないということですから、閣議決定案件でもなく、特に事前に与党への説明もしないということでした。

なんで経済安全保障上の懸念を私が強く感じたかということなんですが、この中国人の方々へのビザ発給につきましては、同盟国のアメリカでは中国の会社法ですとか、中国共産党規約などへの懸念から日本とは真逆の対応をしているわけです。
中国の会社法ですとか中国共産党規約については、このチャンネルでもこれまでも何度か取り上げてまいりましたので、皆様またかと思われるかもしれません。
2021年に刊行しました私の著書「美しく、強く、成長する国へ。」にも書いてありますし、2024年に刊行しました著書「日本の経済安全保障」にも詳しく書かせていただいていますが、中国の会社法というのは「会社においては中国共産党規約の規定に基づき、中国共産党の組織を設置し、党の活動を展開する。会社は党組織の活動に必要な条件を提供しなければならない。」と規定をしています。
この会社法の中に出てくる中国共産党規約には、企業・農村・機関・学校・科学研究所など、その他の基層組織というのは3人以上の正式な党員がいる場合、必ず党の基層組織を設置し党の基層組織を設置しなければならないと規定しています。
つまり中国共産党の党員が3人以上いる企業ですとか、学校また研究所ではこの会社法と中国共産党規約に従って、中国共産党組織を設置しなければならないわけです。

こういったことを私も長年お伝えしてまいりましたけれども、アメリカでは2020年7月にFBI長官が中国国内に展開する米国企業の中にも共産党組織が設置されていると言われており、警戒を要するという懸念を表明されました。
その後ですけれども、米国政府は2020年10月2日に、中国共産党員の移民ビザを不受理とする方針を発表しました。
だから移民ビザは「もう駄目」ということになったんです。

そしてその後、2020年12月2日には中国共産党員とその近親者の短期商用ビザと観光ビザの有効期限を最長10年だったものを1か月に変更したわけです。
外務省幹部に確認してみましたけれども、この短期商用ビザや観光ビザ、それまで10年だったものを1か月に短縮したというアメリカの措置については、2025年2月現在でもアメリカの政府の方針は変更されていません。
非常に厳しい措置です。

この措置が発表された頃、2020年12月の当時ジョン・ラトクリフ氏、彼は「中国の主要な公共事業や著名な企業の多くは中国共産党の活動をカモフラージュしているに過ぎない」と発言をしておられました。
このジョン・ラトクリフ氏は現在の第2期トランプ政権のCIA長官になっておられます。

またそこから時が経ちまして、2023年の3月には中国共産党員に対しては短期商用ビザも観光ビザも発給そのものを禁止するという内容の法律案がアメリカの連邦議会に提出されました。
これは成立はしていませんが、なんとこの法律案を提出したのは、当時上院議員だったマルコ・ルビオ氏です。
皆様ご承知の通り、このマルコ・ルビオ氏は今アメリカの国務長官、日本で言う外務大臣ですので、岩屋毅外務大臣のカウンターパートになる方です。

これまでも申し上げてまいりましたが、日本国内でもこの会社法と中国共産党規約の影響が及んでいる可能性は大いにあります。
日本に設置されている中国企業においても、やはり中国共産党組織がちゃんと組織されており、中国共産党の管理のもとで中国の国家戦略に従って活動を行っている可能性があります。

今回、岩屋大臣が発表されたビザの緩和措置ですが、1回あたり最長90日間滞在できるビザ、これはこれまでも同じなんですが、この数次ビザ、行ったり来たりできる1回あたり90日間滞在できるこのビザの有効期間を10年間延長するというものでした。
これは大きい話です。
つまり情報収集活動ですとか、日本国内における土地・建物の買収など、いろんなことが観光ビザで来たとしても十分な時間があるわけですからできてしまいます。

アメリカがこれからどうやってどうしていくのか、今のままの厳しい措置を続けるのか、それともまたトランプ大統領が何か条件をつけてディールに使って少しビザを緩和するか、その代わりこういう状況をのみなさいということにするのか、それは分かりませんけれども、日本国政府が何のディールもせずに、例えば反スパイ法容疑で今捕まっちゃっている・拘束されている日本人を解放するとか、ディールも何もせずに中国人の方々のビザに関して緩和措置を発表したということについては、私はどうにも納得がいきません。

中国というのはこれまでもお伝えしてきましたが、国家情報法・国防動員法などを持つ国だということは忘れてはいけないと考えています。

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