見出し画像

自然災害に強い日本列島を作る!令和の国土強靭化で災害から生命を守る

このお盆休み・夏休み、皆さま散々な思いをされたんじゃないでしょうか。

まず最初、お盆前に皆さまがお墓のお掃除に帰らなきゃいけないとか、いろんなご対応のご予定のある時期に、南海トラフ地震に関して注意情報が発出されて、西日本の方は主に警戒をされていたと思うんですが、その直後に関東も大きく地震で揺れました。

実は首都直下地震が来た場合の被害額というものは855兆円。
そして南海トラフで地震があった場合の被害額は1,541兆円と、これは土木学会が試算した額です。
1,541兆円、これ巨大です。
2024年度の国家予算要、令和6年度の当初予算額ですが、これが113兆円ですので気が遠くなるような被害が出るということです。
事前防災というもの、それから事後防災という言葉もありますけれども、どれほどそれが必要かということは論を俟たないと思います。
ただ何よりも大事なのは、お金の問題よりも現在と未来の命を守ることだと私は思っています。

少し古い話になりますが、総務大臣在任中に、この番組でも過去に申し上げたことがあるかもしれませんが、緊急浚渫推進事業という全く新しい事業を作りました。
そのきっかけとなりましたのは、岩手県で大変な水害があって本当にお気の毒なことだったんですが、高齢者施設におられた方々がお亡くなりになりました。
その現場に入りましたところ、国の管理が及ばない河川でこの水害が起こっていたということで、全国各地、一級河川でしたらこれは国土交通大臣の所管になりますので国のお金でいろんな手当ができます。
事前にしっかりと掘り下げて、流量を増やしておく、越水しないようにするという対策ですとか、それから川の中に生えている木です。
これが台風とか、それから集中豪雨があったときに流れてきて橋脚を全部壊していきます。
また橋脚に詰まった木の周りが越水するとか、こういったことがありますけれども、こういったことも一級河川であれば国のお金でできる。
しかし二級河川、これは知事が見るということで、やはり都道府県で手当をしなければいけませんし、一般的な河川・その他河川とされるものについては市町村で対応しなきゃいけないということで、これは市町村ではとてもお金が出ないということで浚渫なども行われずに放置されているケースが多くありました。

そこで地方自治体が管理している川の底を掘って、浚渫する、土砂を上げる、中に生えているような木をあらかじめ切っておく。
こういったことができるようにということで、これは地方財政法を改正するという大きな仕事だったんですけれども、緊急浚渫推進事業という新しい事業を作りました。

地元の市町村長さんからもこれはとても喜ばれていて、私のふるさとの奈良県も集中豪雨が来たら川が氾濫したりしていたのですが、この緊急浚渫推進事業を使ってきっちり浚渫をしていたところについては最近被害が出なかったというお声も伺っています。

また引き上げた土砂もお金に買えなきゃ損ということで、当時総務省の副大臣や政務官にも協力をしてもらいまして、色々上げた土砂の種類によってどういうところに使えるか。
例えば堤防を作るのに使えるような土砂もありますし、それからまた公園を整備することに使える土砂もある。
そういう土砂の種類を分けて買っていただく取り組みも合わせて実施をしてきたところです。

ただこの緊急浚渫推進事業、緊急という名前がついていますので令和6年度いっぱいでこの事業期間が切れます。
5年間の期間ですので令和6年度いっぱいということは来年の3月になりますので、なんとかこれはしっかりと延長していただきたいなと思って働きかけをしてまいります。

先ほど非常に大きな被害が出るという話をしました。
地震だけじゃなくて気候変動による自然災害による被害も増えてきています。
今、防災・減災・国土強靱化のための5カ年加速化対策というのが進んでいます。
これも令和7年度までの期間なんです。
そうするともう次の計画を作るというところに着手しなければならない、とそういう時期に入ってきています。
やはり私は防災科学という研究の知見も十分に活用して、気候リスクの管理も含めた有効な後継の計画を作りたい、こんなふうに考えています。

特に水害・土砂災害、この防止対策というのもものすごく大事です。
あと建物のインフラ、さまざまな重要なインフラもあります。
皆様のお住まいもありますけれども、こういったところの耐震化と防火対策、これも進めていかなければなりません。
あとはやはり総配電・上下水道情・報通信網・農林水産施設、こういったところも強靱化を急いでいかなければなりません。

それから先ほど防災科学という言葉を使いましたけれども、これは災害に関しての予測力・予防力・対応力・回復力、こういったものを総合的に向上させるという研究で、この防災科学技術研究というのが国立研究開発法人でも進んできていますし、各学術機関などでも行われています。
こういった知見というのは活用しなければいけません。
現在の計画の5年間の間にまた気象の状況もずいぶん変わってきていますので、しっかりとその知見も活かさなければいけません。

土木建築の技術に関しまして、これは3年前にも私の著書にも書きましたし訴えをしてきたことなんですけれども、やはりこの土木建築の対災害性強化をするという研究開発、これは各企業でもやっていらっしゃると思いますけれども、ここも重要なポイントになります。
それから自然災害からの回復力を高めていくということがすごく大事なんです。
今でも基盤的防災情報流通ネットワークというのがありまして、これにおいて災害対応の情報収集、それから配信、組織横断での情報共有というのは進められているんです。
でもこれをさらに進化させて、社会全体での迅速な復旧、これを行うための方針というのも作っていかなければいけないと思っています。

災害が起きてしまったという時に、その方針、どういう順番で復旧していくのかという方針が明確であれば、社会インフラが優先度の高い順に復旧していくと。
限られた資材や人材の中で優先度が高い順に復旧していくという状況になると、二次災害を最小化する可能性も出てきますので、そういった総合的な視点を入れ込んだ時期計画というのは作らないといけないというのが私の強い思いです。

それから集合住宅の老朽化対策、これも前々から申し上げてまいりましたけれども、これも早く手をつけなければいけません。
今、全国で空き家が900万個以上という状態です。
900万個以上というのはすごい数なんです。
それぞれ財産権というものがありますので、持ち主様のお気持ち次第なんですけれども、例えばリフォームしたらこれは活用できると。
地域社会で活用できるようなものもありますし、リフォームしても使えないなというものもあるかと思います。
でも今のまま空き家を放置しておくと、やはりこれは防災上も防犯上もかなり大きな問題というのが出てきますので、先ほど申し上げた集合住宅の老朽化対策や全国の空き家対策に関しては、せっかくUR都市再生機構という組織があるのですから、このURなどをしっかりと活用して、買取・改築、また管理の代行、売却の代行、こういったものも一体的にやっていく、こういうことも必要だと思っています。

これまでもSAR衛星や光学衛星を活用した防災情報の迅速な収集ということについては申し上げてまいりましたけれども、こういったことも非常に重要だということです。
もう一度繰り返しますけれども、何より大切なのは現在と未来の命を守ることです。
そのために今やれることをしっかりと進めていきたいと考えています。
今日も皆様ありがとうございました。
お気をつけてお過ごしくださいませ。

いいなと思ったら応援しよう!