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犬猫の投薬を手助けする食べ物とツール

こんにちは!犬猫の獣医師、あんじゅ(@vets_magazine)です。

  • 動物病院で薬を出されたけど、どうやって投薬すればいいか分からない

  • 薬が苦いのか上手く飲み込んでくれない

という飼い主様のための記事です。

「良薬は口に苦し」という言葉がありますが、それは本当のようです。ワンちゃん猫ちゃんにとって、多くの経口薬は苦くて不味いものです。

「飲みなさい、あなたのためよ。」と言ったところで、犬猫には通じません。

特に、慢性疾患で一生涯服用し続けなければいけないような場合は、なんとか投薬のストレスを軽減したいものです。

そこでこの記事では、犬猫の投薬を楽にしてくれるツールと、上手に投薬するためのコツを伝授したいと思います。

お薬の投薬に役立つアイテム

お薬ちょーだい

対象:犬、猫

お薬ちょーだいはチューブタイプの投薬アイテム。

チーズ味で結構美味しいので、食欲があまり無い子でもこれだけは食べてくれる場合があります。

ペースト状なので、粉薬を飲ませるのに最適です。

お皿のうえにお薬ちょーだいを適量乗せて、薬をまぜてスプーンでかき混ぜて、わんちゃん猫ちゃんに与えてください。


ピルポケット

対象:犬、猫

ピルポケットは、その名の通り薬を入れるポケットのような形状をしています。真ん中の穴に薬を入れて、つまんで蓋をしてそのまま与えます。お薬ちょーだいよりも嗜好性がやや劣るイメージはありますが、好きな子は大好きです。

錠剤用とカプセル用が発売されていますが、結構自由に形を変えることができるので、どっちを買っても使えると思います。

ものが柔らかいので、パッケージのうえから何か置いたりすると、潰れてぐちゃぐちゃになってしまいます。注意してください。


チーズ

対象:犬、猫

みんなの大好物、チーズです。投薬用くらいなら、犬用チーズではない普通のプロセスチーズを使ってもいいです。
量には注意してください。あくまでも、薬を投薬するのに足りる程度でとどめておきましょう。


いなば 犬用 ちゅーるポケット

対象:犬、猫

ちゅーるで有名な「いなば」が発売している投薬ポケットがあります。

筒状のポケットのなかにちゅーるが入っています。
ちゅーる大好きな子にはおすすめです。


PE ペティッツ 投薬補助トリーツ 低アレルゲン 犬用

対象:犬

食物アレルギーで皮膚のかゆみが出たり、おなかの調子を崩してしまう子は、例え投薬に使うくらいの少量だったとしても、アレルゲン(アレルギー反応のもととなる物質)がちょっと腸を通過するだけで過敏反応を起こします。食物アレルギーの子は上記のような低アレルゲンな投薬ツールがおすすめです。

「PE ペティッツ 投薬補助トリーツ」の場合、以下のアレルゲンがフリー(入っていない)となっています。

牛肉、羊肉、鶏肉、豚肉、七面鳥肉、あひる肉、さけ、たら、なまず、ししゃも、卵、乳、大豆、小麦、とうもろこし、米、じゃがいも、(準管理原材料[18品目] )かつお、いわし、さば、まぐろ、にしん、あじ、かれい、大麦、ライ麦、オーツ麦、えんどう豆、落花生、りんご、にんじん、かぼちゃ、ほうれん草、トマト、キャベツ

自分の犬のアレルゲンがある程度特定できている人は参考にしてください。


低分子プロテイン缶

対象:犬

缶詰が好きな食物アレルギーの子には、低分子プロテイン缶がおすすめです。
加水分解食といって、アレルゲンになりうるものを、体がアレルゲンとして認識できないレベルまで分解したお食事です。
普段から低分子プロテインのドライフードを食べている子には特におすすめです。

稀に、「他の低アレルゲン食だったらアレルギー症状がでないけど、低分子プロテインだと出てしまう」といった事例もありますから、そういう子はいつも食べているドライフードをお湯でふやかして、そこに薬を混ぜ込んで投薬するといいでしょう。
アレルギー疾患の猫ちゃんも、ドライフードのふやかしでチャレンジしてみるといいと思います。

療法食ですので、かかりつけの動物病院に相談の上、処方してもらってください。


PE ペティッツ 投薬補助トリーツ ミネラルコントロール 犬用

対象:犬

尿路結石ができたことがある子は、尿路結石ができにくくなる療法食を食べていることでしょう。

その場合、おやつを与えるとバランスが崩れてしまい、療法食を与えている意味がなくなってしまいます。基本的にはおやつ禁止です。

どうしても投薬におやつが必要な場合は、上記のPE ペティッツ 投薬補助トリーツ ミネラルコントロールを試してみてください。
尿路結石ができやすい体質の子にも対応した投薬用のおやつとなっています。

ただし、こまめに尿検査を受けることをお忘れなく。
再発を早期発見することが最大のポイントです。


投薬のコツ

食欲がある場合

ここでは、チーズを例に説明します。

チーズを4つ準備し、そのうちの1つに薬を埋め込みます。

1つ目と2つ目には何も入っていないチーズを、3つ目に薬入りのチーズを、4つ目にも何も入っていないチーズを与えましょう。

動物たちは、何か不味いものを食べさせてくるのではないかと警戒しています。

鼻が効くので薬の袋を開封しただけで怪しんでいます。

  • 1つ目と2つ目の何も入っていないチーズでまずは警戒心をほぐし、

  • 「お!大丈夫そう!」と思わせてから3つ目で投薬、

  • すかさず4つ目のチーズを与えてお口直ししてあげましょう。

ケロッとした顔で食べてくれるはずです。

また、粉薬を投薬するのであれば、ウェットフードや上記で紹介した投薬ちゅーる等に混ぜて与えてもよいですし、ドライフードをフードクラッシャーで粉砕して粉薬とまぜこぜにして投薬してもよいでしょう。

フードクラッシャーの詳細は以下の記事をご参照ください。


食欲が無い場合

食欲がなく投薬ツールには見向きもしない子には、強制的に投薬する必要があります。

口を開けて薬を放り込み、シリンジ(注射器)を使って水で流し込むやり方が一般的です。

もしもそれが難しいようなら、錠剤を粉状に砕き、”おくすりちょーだい”や”ちゅーる”のようなペースト状の美味しいものによく練り込んで、歯茎に塗りつけるようにしてやります。

具体的なやり方は文章で説明するよりも、動画で見たほうがわかりやすいです。

良い動画があったので参考にしてください。動物病院の看護師さんが実際に投薬の様子を撮影してくれています。

怒って口元を触らせてくれない子は以下の投薬器を使う場合もあります。

投薬器の先端に薬を入れて、口の中にねじ込んでスイッチを押し込むと薬が舌の奥のほうまで入ります。

道具は動物病院で処方してもらうか、以下のように通販でも手に入れることができます。

まとめ

犬猫の投薬は、難しいと感じるかもしれませんが、慣れです。

実際、動物病院では動物看護師さんたちが毎日いろんな性格の犬猫に投薬をしてくれていますが、新人さんでも1年もやっていれば投薬のプロです。

心臓病のお薬やかゆみ止めのお薬、発作止めのお薬などは、生涯飲み続けなければいけないパターンが多いです。

今回ご紹介した方法を使って、少しでも楽に、そしてペットとの信頼関係を崩さない形で投薬に慣れていただけたら幸いです。


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