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寄り添うんじゃねえよ。

新しい言葉を使う人と話すのが苦手だ。耳から入った音が脳に届く前に、まぶたを閉じるようにシャットアウトしてしまう。
時代が変わると新しい概念が生まれて新しい言葉ができるのはわかる。それは変化であり進化だから。でも昔からある概念をこねくりくりくりして新しい風を装われるのがツライ。
テレビの番組などで何かを「完食」と表現するけど、我々昭和一桁世代はそもそもご飯を残すことなんかあり得ないから、完食なんて概念はないんだよな。全部食べたことが偉いことでもないし、大食いをするのがスゴイとも思えない。
じぶんごと、とか、向き合う、寄り添う、なんて言葉を六分に一回くらい使う人がいるけど、どれも「言わなくていいこと」だ。他人事という言葉ができたのは、人は自分以外のことに感情移入できないことを指そうとしたから。もともと自分事とは「あるのが当たり前」なので、言う必要がない。他人のことを自分のことのように思うなら「他人事ではない」と否定を使えばいい。
文学的な理解力が低いとトートロジーにしか反応ができなくなってくる。太陽は明るく、夜は暗いというような。歌謡曲の歌詞もそうなっている。
誰かと対話するとき、向き合うなんて当然だ。言うだけ野暮というか。寄り添うなんていうのは押しつけがましいし。
五年前にはなかった言葉をうれしそうに使うのって、そんなに楽しいのかなあ。

多分、俺の方がお金は持っていると思うんだけど、どうしてもと言うならありがたくいただきます。