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撮る貪欲さ:メンバーシップ
先日、幡野広志さんと、写真はじっくり見たいモノを撮ればいいという話になり、さらに「あとから家に帰ってジックリと見たいモノ」なのだと感じました。実を言うと、私はかなりの近眼で乱視で老眼なのですが、普段はメガネもコンタクトもしていません。日常の生活ではなんとなく見えていればいいからです。
それがカメラのファインダーをのぞいた瞬間、世界はフォーカスが合う。パソコンのモニタで見たときにも、世界はこんなにピントが合っているんだとピント外れなことを思ったりします。集中していないときにはむしろ見えていないほうがいいのだ、という考えでもあります。
あとからジックリ見たいという欲求は貪欲さに繋がっています。ジャーナリズムでもそうですが、世界を変えるような一瞬を体験することにも価値がありますが、その瞬間を固定して何時間でも眺めていられるようにしてくれるのが写真です。消えて行ってしまう数千分の1秒を定着させておくと記録にも記憶にもなります。
くだらない例ですが、パリのホテルに泊まったとき、自分が座っていた椅子を写真に残しておこうと思いました。今まで何万人が座ったかはわかりませんが、ここ10日くらいは私のお尻を支えてくれていた椅子を、友人を撮るように撮っておこうと。
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多分、俺の方がお金は持っていると思うんだけど、どうしてもと言うならありがたくいただきます。