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含み益とパンク。
含み益(ふくみえき)という経済用語は聞いたことあるかな。
保有している有価証券や不動産などの時価が、取得時の原価より上がっているとき、それを売却した場合に得られる利益のことを言いますよね。
これは喩えとしては完全に正確とは言えないんだけど、わかりやすいから乱暴に使ってしまう。若者には可能性があって誰にでも「含み益」があると想定するわけです。学生の頃の何も生み出さない状態から、将来は飛躍する可能性があるとして、ってくらいの雑な意味です。
で、これをどんどん追い詰めていくと「費用対効果」の問題も出てきます。教育にお金がかかったのに、大した人物にはならなかったとか。でも悲観しちゃいけません。ほぼ全員がそうですから。三歳からヴァイオリンを習っていても、リトルリーグに所属していても、スイミングスクールに通っていても、ヴァイオリニスト、メジャーリーガー、オリンピック選手になるのはその中のほんの数人なんですから。
夢を持つとか、好きなことを仕事にする、と簡単に言いますが、本当は簡単なことじゃないです。だから夢みたいなことを言うなとは思いません。数人は夢を叶えた人がいるんだから、それが自分である可能性はゼロじゃない。
方法を間違えてしまうとゼロの確率が上がりますが、それを避けるには大きな秘訣があります。
まず、最終的に成功している人は「あきらめていない」という当たり前のことです。何かをするときに継続できない人は何も成し遂げられません。よく「私は根気がなく飽きっぽいのでいろいろなことに手を出しちゃうんです」と言いながら、ほがらかに夢を語る人がいます。これはもうアウトです。
最後までできない人は障壁を見たことがない人です。壁にぶつかり、それを乗り越えることで上がっていくのがスキルですが、壁が見えたら「飽きっぽい」「好奇心旺盛」と言い訳して引き返してしまうのです。これを繰り返していても何も身につきません。
壁の前で何年も立ち止まっていてもいいんです。そのうち壁の越え方はわかるはずです。自分が越えたいと思っている高さの壁を乗り越えた経験がある人からのアドバイスを素直に聞くことも大切です。
乗り越えずに迂回した人の話だけは聞いてはいけません。その人から得られるのはサボり方や逃げ方だけです。
パンクロッカーという人々がいます。彼らの多くは若い頃に「俺たちはパンクで生きていくぜ」とノリで決めた人々で、三歳の頃からヴァイオリンを習っていることは少ないでしょう。それなのに音楽という好きな分野で生きていけるのです。ここに費用対効果の問題もあらわれてきます。
資本を持たない人は「配当の倍率が高いモノ」に賭けないと効果的な利益が望めません。ヴァイオリンを習ってもリトルリーグに入っても、かかるコストや利益、その実現可能性を考えると、まったく安全策とは言えないのです。
若者は自分たちに含み益(可能性)があると思いたいわけですが、大人はそんなことは重々承知なので、それよりも継続する能力があるか、などを見ています。
僕は本を読むのが苦手です、映画も途中で飽きてしまいます、という人々は「途中でやめていい権利」を自分に勝手に与えているということを忘れないでください。やめていい権利を自分に行使している間は何者にもなれません。そして「好奇心があるので、いろんなことに手を出しちゃうんですよワタシ」と言い続けてください。誰からも何も期待されなくなるでしょう。
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