『ゴールドマウンテン』を観た。
SUGARBOYの『ゴールドマウンテン』を観た。
劇団の主宰である川尻恵太さんの自伝というか、虚実入り交じった北海道での若き日々の話。コントとファンタジーとストレートな演劇のどれもが楽しめる。俺はゲネプロの撮影を頼まれたので撮りながら観ていたんだけど、あるシーンでは涙が出てしまい、ファインダーがぼやけた。
先日、この芝居のポスターなどの撮影をしたんだけど、その時にはまだ脚本の全容がつかめておらず、どんな芝居になるのかはまったく想像もつかなかった。でもなんとなくいい芝居なんだろうなあという予感だけはあった。
俺は仕事を頼まれる相手に「期待」がなければ引き受けない。モノを作る者同士の場合はそれまでにやってきたことや、カモシ出すバイブスがわかるからほぼ問題がない。
川尻さんとはこれが初仕事だったが、現場の雰囲気など、どこひとつ取ってもマイナスを感じる部分がなかった。やはりこういった「信頼を受け取り合える仕事」だけをしていきたい。
『ゴールドマウンテン』が作り出す空気はとてもよかった。
役者たちはそれぞれ複雑で難しい場面転換を巧くクリアしながら、全体がいいグルーヴを生んでいた。川尻さんのストーリー・ガイドが効いているのだとは思うが、みんな個性があってよかったと思う。
燃え殻さん原作の映画『ボクたちはみんな大人になれなかった』でもそうだったが、『ゴールドマウンテン』も、川尻さんの知らない過去を知ったような気がして不思議だった。心が痛むこともあれば、美しく楽しい時間を過ごしたんだなと思う部分もあり。「私小説」という表現はあまり好きじゃないんだけど、自分のプライバシーの露出ゼロでやらせてもらっている俺としては、勇気がある行いだなとも感じる。
12月5日まで、新宿のシアタートップスでやっているのでゼヒご覧ください。