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アニメーターの個人戦略③:ハイパーメディアクリエイター

世界的に活躍するアニメ監督の多くは、画をある程度描けるだけではなく、脚本を書いたり、3DCGを制作したり、映像を編集したり、音楽を作れたりします。メディアの枠組みを超えて、クリエイティビティを発揮しているのです。

マルチな才能は、一見すると特別な人にのみ与えられたもののように感じられるかもしれません。しかし、実態は異なります。アプリケーションとテクノロジーの進化により、誰もが70点ぐらいの作品を制作できるようになっているため、プロフェッショナルよりもマルチにクリエイティビティを発揮することの方が容易になっています。

例えば音楽に関しては、音楽制作ソフトと関連プラグインが進化しているため、誰でもそれなりのBGMを制作できるようになっています。最新型の歌声合成ソフトであるSynthesizer Vを使えば、充分すぎるほどのボーカルトラックも利用できます。また、最近登場されたLogic Pro2の新機能「Session Player」を使えば、ドラム、ピアノ、ベースの演奏もAIが全部やってくれます。

つまり、これらのアプリケーションを駆使すれば、アニメーター1人でそれなりのMVを作ることが可能なのです。

今から約20年〜30年前、ハイパーメディアクリエイターという肩書きを持つ高城剛というクリエイターが、テレビの世界で活躍していました。

ハイパーメディアクリエイターと言われると、胡散臭いように思えますが、今となって考え直してみると、的を得ている肩書きのように思えます。「メディアを超える=ハイパーメディア」ということは、文章、写真、映像、音楽、3DCGなどのメディアの垣根を超えるということであり、様々なメディアの複合体であるアニメーションでクリエイティビティを発揮するには、ごく当たり前のようにハイパーメディアクリエイターになる必要があるのかもしれません。

1日16時間絵を描くのが難しくても、8時間は絵を描いて、4時間は音楽を作って、残りの4時間は写真撮影に出かけるという生活だったら、飽きずに楽しめそうな気がします。

だからこそ、アニメーターが個人として活躍したいのであれば、アニメーションに加えて、あともう1つの領域でクリエイティビティを発揮できるようにしておくことが、重要だと思うのです。ぶっちゃけ、絵と音楽とストーリーがあれば、アニメは作れます!

次回に続きます。


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