アニメーターの低賃金を解決する方法⑦: 文化的側面から見るNFTの懸念点
前回は、アニメーターの低賃金を解決する手段としてNFTを紹介しました。
本記事では、文化的側面から見るNFTの懸念点を解説していきます。
NFTはポンジースキームになりやすい
まず第一に、 NFTは現状としてポンジースキームの側面を持ちます。
ポンジースキームとは、詐欺師が資金を調達するけれども、それを運用しない投資詐欺の一種です。実際、NFTで資金調達した後に、一向にサービスを開発しない事案がかなりあります。
また、いわゆる草コインと言われるマイナーな仮想通貨も、その大半がポンジースキームです。また、Play to EarnやDeFiも、そのほとんどがポンジースキームだと言っていいでしょう。
仮想通貨を始めとしたブロックチェーン関連の技術は、そのコンセプト自体は素晴らしいものの、現状として投資詐欺 やマネーロンダリングに使われることがほとんどです。
NFTも非常に投機的な側面を持っているため、ビジネスとして組み込む際には、ヲタクの反感を買わないように、ブランディングやマーケティングなどで注意が必要です。
NFTの大半は、本物のNFTではない
第二に、 NFTの大半は本物のNFTではありません。
NFTは、ブロックチェーン上にデジタルデータを乗せることで、非代替性を持たせる技術です。
現在、 世界中のNFT関連のマーケットプレイスの大半は、 NFTそのもののデジタルデータや、アーティストのための二次収入の仕組みを、ブロックチェーン上に記載していません。 というのも、 すべてのデータをブロックチェーン上に記載してしまうと、 電気代がとんでもないことになり、 ビジネスが成り立たないためです。
NFTと呼ばれるものの大半は、ブロックチェーン上にURLだけを置いているだけで、実際にデジタルアートそのものをブロックチェーンに記載しているわけではありません。
仮に、アニメ制作で用いた「画」をデジタルデータにすると、それなりに大きい容量になるため、フルオンチェーンでのNFT作成は不可能に近いです。
フルオンチェーンではないということは「半永久的に残るデジタルデータ」ではなくなるということで、文化的側面を考えたときに、ちょっとした懸念が発生します。
結局パチンコやガチャで稼いでるんだし……
ここまで、NFTの懸念点を解説してきました。
私は個人的に、Web3と呼ばれているものの大半は、現状としてポンジースキームであり、唯一信用できるのは、デジタルゴールドとしてのビットコインとイーサリアムぐらいだと考えます。
ということで、文化的側面では、NFTを使いたくないというのが本音です。
しかし、アニメ業界を俯瞰すると、パチンコ市場やソシャゲのガチャビジネスによる収入が、アニメ業界を支えている現状があり、そう考えるとNFTをアニメビジネスに組み込んでも、特に問題ないような気がします。それどころか、パチンコやソシャゲとは違って、NFTはアニメーターに直接的な収入を及ぼすことを考えれば、遥かにマシかもしれません。