アニメーターの低賃金を解決する方法⑥: NFT
※この記事を読んでいる方は、クリエイターエコノミーについて一定の知見があると見てますので、NFTをゼロから解説するのは避けます。
以前、私が購読している中島聡(Windows95の開発リーダー)のメルマガで、こんなQ&Aがありました。
つまり、原画マンや動画マンが作成した「画」をNFTにすることで、それをアニメーターの収入に繋げようというアイデアです。
このQ&Aにもある通り、NFTだけでアニメ制作の費用を賄うのは難しいです。 でも、アニメの収入を改善する分には、非常に有効な手段だと考えられます。
ここで具体的に要件を設定してみましょう。
まず、駆け出しの動画マンであれば、月に300枚の動画を作成できます。それを1枚1万円で販売することができれば、300万円の売り上げで、それからNFTの売買手数料がストック収入となります。
もちろん、この300万円の全てが動画マンに入るわけではありません。動画1枚を作成するには、まず原画があって、それから監督・演出・作画監督などの修正が入ります。シチュエーションや制作体制にもよりますが、動画1枚の分配率は「動画45%・原画25%・監督10%・演出5%・作画監督15%」というのはどうでしょう。これであれば、仮に動画300枚のうち、100枚しか売れなくても、動画マンには「1万円×100枚×45%」で45万円の収入です。
そしてNFTの仕組み上、そのNFTの品質とブランドが良いほど、価値が上がります。つまり、アニメーターとしての腕が上達し、知名度が上がれば上がるほど価値が上がるので、これがアニメーターのインセンティブに繋がります。そのうえ、役職が上がれば上がるほど、携わるNFTの数が増えていき、それが複利のように増えていくのです。
ただし、NFTには文化的な側面で懸念点がいくつかあります。このような記事を書いた以上、NFTの懸念点を解説しないわけにはいきません。
次回に続きます。