【ペット系サービス代表の小話】#9 動物の生体販売について Part2
今日はペットを飼っていない人にぜひ読んで欲しい記事です。
「アニぴたる」というサービスを手掛ける隅蔵の想いや知見を毎週水曜日に発信しています! FBとnoteに同じ記事を公開しています。
☆ Facebook https://www.facebook.com/sumizou0128
☆ Note https://note.com/anipital
毎回1000~1500字、2~3分で読めるくらいの文量です。
獣医師からは言いずらい、獣医師は教えてくれないコトを世の中に伝えていきたいな、なんて思っています。
今週のテーマは、【動物の生体販売について Part2】です。
前回は、動物の「流通死と殺処分」「社会化出来ていない個体が増えている」という2つの問題を取り上げました。
今回は「生体の売り方・買い方について」です。「安易にペットを飼い始めるのは良くないよ」っていう啓蒙をすることが目的の内容になっています。
まず、コロナで自宅にいる時間が増え、ペット需要が増しています。
2020年・2021年に新しく迎えられた犬猫の数は平年に比べて15%程度増しました。
このデータは、たった数年で収まる可能性が高いコロナ禍に影響されて、10年以上飼育する犬猫を飼育し始めるという方が世帯ベースで20万世帯以上いるということを表していて、コロナが収束した後にこの動物達がどうなるのかというマクロの視点で、個人的には少し心配になる部分もあります。
また、新しく犬猫を飼い始める方が、その購入・受入より前にどれくらい検討したかを調べた少し古い行政調査では、およそ60%の方が1週間未満の検討期間で、なんと全体の13.5%は何も準備・検討をせずに生体を購入・受入しているという実態が明らかになっています。とんでもないことです。
販路で見ると、犬の51%はペットショップで購入されます(猫は友人からの譲渡や野良猫保護が多い)。
多くのペットショップでは、「抱かせたら勝ち」というセオリーがまだまだ横行していて、生後6~9ヶ月頃の生体を抱かせ、幼い動物の破壊的な愛くるしさで顧客の母性をくすぐり、「かわいい~もってかえりた~い」という言葉を引き出すわけです。
購入を躊躇している顧客には、
・この子がこんなになつくのはお客様くらい!良い方と出会えてこの子も喜んでる!
・ゲージや餌皿などは全部ひとまとまりになったセットがあるから、併せて買って帰れば誰でも飼育できるよ。
・この子はあなたが購入可否を決めるまでキープできる。でも可愛くて人気なので予約金が必要だよ。
・ペット禁止物件に住んでる? そんなの気にしないでペット飼ってる方なんてたくさんいますよ。見てください、この子全然鳴いたり吠えたりしません。
・大丈夫!ローンなら月々数千円です!
みたいな言葉で購入決定を勝ち取っていきます。飼育に不慣れで十分な検討をしていない飼い主に引き取られていく動物からすると、本当に由々しき事態です。
個人的な考えとしては、お金・時間・心の3つにおいて余裕がある方しかペットを飼育していくべきではありません。
お金としては、犬猫の購入費用は5~50万円程度と大きな開きがありますが、購入費を除いた平均生涯費用は犬で430万円、猫で230万円と言われています。この他に、ペットを飼っていることで追加で取られる敷金/礼金、ペットに物を汚されたり壊されてかかる費用、旅行する人ならホテル費用/シッター費用などなど雑費がたっぷりかかってきます。
時間としては、犬なら1日2回の散歩に1時間半~2時間、ご飯をあげたりコミュニケーションを取る時間に1日1時間以上、動物病院に行くなら往復と待ち時間を含めて最低でも2時間程度はかかるでしょう。
心としても、犬猫は基本的に本能に従って動きますから、言うことを聞かない・汚される・吠えられる・飼い主がケガをさせられる・吠えて周りの家から怒られる・ペットが具合悪そうにしていて焦る、、、などなど色んな負担がかかりますが、それでも愛情を注ぎ続けたり冷静に判断して対処してあげたりしなければなりません。そしてまた、ペットが居ることで家族の行動範囲が狭まったり制限されることもあるでしょう。さらには、大規模な天災が起こった時にペットを飼っている家庭というのはそれ以外の家庭と比べてだいぶハンデを背負います。
犬猫はその見た目と動きで飼い主を大変癒やしてくれますが、飼い主側には飼育に関して相当の覚悟が必要ということをもっと多くの方が知るべきだし、ペットショップ側もこれらの事実を購入前の飼い主に伝えるべきです。
生体販売には正直反対です。日本も欧米諸国のようにもっと譲渡の仕組みが進んで、年齢が進んだ動物の流通ももっともっと盛んになるべきだと思います。
はい、今日はここまで♪
生体販売に関しては、【極小サイズ犬種について】【ブリーダーや繁殖業者の生体生産について】【犬猫の受け入れ後のよくあるトラブル】などまだまだ書きたいことがたくさん。
次回、【5月4日】は【動物の生体販売について Part3】をテーマに掲げます。
お楽しみに!