『ねほりんぱほりん~アニメ制作進行さん』を観ての私的メモ
NHKが人形劇形式で送るインタビュー番組『ねほりんぱほりん』が先日アニメの制作進行に焦点をあてて特集していました。
これはその内容で私的に覚えておきたいことをメモしたものです。
今回インタビューを受けたのは2人の制作進行さんでした。
★カット袋、健在
冒頭から、制作進行さんが例の黄色のカット袋を手にして奔走しているのを目にして、「ああ、デジタル時代になっても、あのカット袋は健在なのだ」と思いました。
あのカット袋は(専門でない方に説明すると)原画、動画をカットごとに黄色いタイムシートに挟んでこの袋に収納して、素材を受け渡しするための袋です。
そう、デジタルと言えば
★アナログ(手描き)でないと作画に「ケレン味」が出ない
という発言もありました。
★制作進行はパイプ役
制作進行さんは、各部署をつないで素材を管理(スケジュール管理も)する役割、という説明でした。
制作進行は現役だとして、いまデジタル時代になって「演出助手」はどうなっているのでしょう?
『もののけ姫』当時、ぼくは演出助手のサードをやっていました。
ぼくなりの理解では、
「制作進行」=マネージメントサイドの管理
「演出助手」=クリエイティブサイドの(基礎)管理
という違いで認識していました。
両者も各部署の素材を最終的に組み合わせて(作画と背景をチェックして撮影に回すみたいな)いくパイプ役だという理解で働いていました。
★制作進行とは「軍師」みたいなもの
という定義も言われてました。
マネージメント役を、より(人事面・人情面まで)踏み込んでの定義かなと受け取りました。
★また、マネジメント役(管理職)ゆえの苦悩として、ときとして(スケジュール的に差し戻しが出来ないので)絵に修正を加えてしまうというタブーも犯してしまうことも明かされていました。
★またクリエイティブな采配ができないために起こることだと思うのですが、一旦まかせたカットは基本的に同じクリエイター(アニメーター)で固定して、変更はしないという事情も出てきました。
アニメーターさんを変更していしまうことは、スタジオの信用にかかわって、アニメーター同士での噂・伝聞で悪い噂が流れてしまうこともあるので、なかなかアニメーターさん自体の首のすげかえはしないということも明かされていました。
制作進行さんとしては、クオリティーに妥協することになるので、なかなか苦渋の決断(制作を進行させる)だということです。
★(各話)演出さんが「飛ぶ」(仕事を放棄して逃亡してしまう)とき、逼迫したスケジュールゆえ、代わりの演出さんが見つからず、「ゴースト演出」をクレジットには出して、実は制作進行さんが采配していることもあるそうですが、偽の人名なので、その作品のその話数だけしか存在しないと(ネット検索で)一発でわかるので、正直やりにくい世に(ネット時代ゆえの)なったそうです。
★これは、この番組の感想としてよくつぶやかれていましたが、制作進行さんは動員できるアニメーターの質を担保するため、日頃から他社の作品のエンドクレジットを見て、(主にアニメーターの)確保に精を出しているそうです。
★歩合であるカットは1カットの単価は2,500円~5,000円。
★重いカット(作業が大変なカット)と軽いカットを組み合わせつつ、重いカットには単価1万円にするなど、アニメーターの給与面でも気配りするのも、制作進行の大事な仕事だとのこと。
★このように大変な仕事ですが、学園祭のノリが続いているようなのが楽しいという制作進行さんもいれば、納品したときのビールの味が何とも言えないという制作進行さんもいました。
★それでもこの仕事を辞めようかと思ってしまったのは、休暇にとっておいた推しのライブが、スケジュールが押して行けなかったときとか。
★もうひとりの制作進行さんはプロデューサーを目指していま制作進行をしているとのこと。ひきこもっていたとき、精神的に助けられた(『聲の形』)ので、大きく張って目標はアカデミー賞をとるようなアニメをつくりたいと抱負を述べていました。
★最後に。作画を原画と動画の違いを説明するとき、ナレーターキャラのウシ澤さんがジャンプする作画を例示してくれましたが、ジャンプするときの踏み込み方がしっかりしていて、感心しました。
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