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ジブリのてにをは~基礎講座シリーズです

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ジブリ作品を楽しむための、アニメの基礎的表現について説明していきます。
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2022年9月の記事一覧

【超基本!の、てにをは】その1

【01】「紅の豚・予習その1」が案外好評だったので、二、三点『アニメのてにをは』な基本的・見どころを紹介します。 【02ー1】まずは冒頭部、海賊船の襲来の無線を受けて隠れ家から出発するポルコロッソ。 渓谷の間の隙間を《左右から挟まれるように》して《斜め奥から手前へと》飛行艇を進めます。 【02ー2】まず何故《斜め奥ー斜め手前》なのか。 宮崎駿にとって《斜め奥/手前》は空間に「奥行き」をもたせるためです。 他の作品でも視て見ましょう。 「ハウルの動く城」冒頭の汽車。《斜め

【超基本!の、てにをは】その2

【1-1】液体/ガラスを通した歪み 液体ごし、あるいはガラスごしに見えて、向こう側の像が歪んで見える表現があちこちで確認できます。 画像はジーナのグラスにワインが注がれて、ジーナの像が歪んで見えています。 【1-2】液体/ガラスを通した歪み これは歪んでいては使いものならない照準器のレンズにフィオの像が映っています。細かいところまで工夫されています。 【1-3】液体/ガラスを通した歪み ランプのガラスの歪みでポルコの姿がゆがんでいます。感じがよく出ています。 【1-4】

【超基本!の、てにをは】その3(終)

【01】さて最後に基本事項の確認。 中盤のシーンをまるごと使って復習しましょう。 官憲の目を盗んで出来立ての新飛行艇が出発します。 飛行艇が進もうとして、その速度調節に手伝いのひとびとが必死で引っ張っいるその《重みの動き》。 【02】工場の裏から飛行艇は出発します。官憲の目が光る中、大急ぎで力一杯、扉を開ける女のひとびと。《作用と反作用》の動きの質感がほどこされた《運動の重み》。 【03】飛行艇が川べりへと下っていきますが、この尖端部の「仰向け」の角度から「うつむいた」角

アニメのてにをは、基礎表現(1の1)~作用と反作用(前編)

ジブリアニメの基本的表現についてお話します。 これは、その第一回。 最初のテーマは『作用と反作用』です。 作用と反作用? 抽象的に説明するよりも、作品の具体例を引きながら説明していく方がいいでしょう。 まずは『魔女の宅急便』から。 ★1.作用と反作用~『魔女の宅急便』キキが宅急便を引き受けて、荷物を持ち上げようとします。 意外と重くて全力で持ち上げます。 持ち上げるこのとき、 ①荷物が重みで地面へ引っ張る力【作用】と ②それに逆らって上へ持ち上げるキキの力【反作

アニメのてにをは、基礎表現(1の2)~作用と反作用(中編)

さて、ジブリアニメを見ていく上での「てにをは」つまり《アニメの基礎的な表現》を学んでいく講座です。 0.前回のおさらい最初は『作用と反作用』の話をしています。 おさらいをすれば、アニメーションの見ていくうえで、この『作用と反作用』はとても基本。 ヒトやモノが動くとき、いつでも『力を加える=作用』と『その力に反発する=反作用』が起きます。 たとえば、『歩き』の表現がそうですね。 この『歩きの運動』を図解すると、下のようになります。 それから、モノを持つと、モノそのも

アニメのてにをは、基礎表現(1の3)~作用と反作用(後編)

ジブリアニメを見ていくのにお役立ちの「てにをは」=《アニメの基礎表現》を見ていきます。 今回は基礎表現その1~作用と反作用の最終編です。 作用と反作用とは、力がくわわって(=作用)、その力に反発する力(=反作用)が起きるというもの。 モノを持ったり、歩いたり、空を飛ぶ。 それぞれが「作用と反作用の原理」に従っています。 おさらいとして、前篇へのリンクが下記になります。 今回は特に、ジブリアニメの魅力と言われる『飛ぶシーン』を中心に、『作用と反作用の原理』に従って確認し