TVアニメ「アイドルマスターシンデレラガールズ U149」第6話 感想 ダンスの作画
アイドルマスターシンデレラガールズ U149 第6話の感想です。
今回はサッカー少……年?、結城晴の回でしたね。
技巧が光る作画と音響
本作は動きの作り方が丁寧で技術的にも高レベルにあるとされていますが、第6話はその一端を示す箇所がいくつもある回でした。
例えばバックダンサーの仕事の話が舞い込んだ直後のレッスンの描き方。トレーナーの手拍子に合わせてダンスを踊っています。
こう書くとサラッと通り過ぎてしまいますが、ここ、作画、撮影、音響の技が光る場面となっていました。
アニメーションで「手拍子に合わせてダンスをする」という場面を作るには、最初に絵の作り方と音のタイミングなどを設計した緻密なタイムシートを作成する必要があります。実際に踊ってみるとまではいかなくても、実際のライブ映像から動きのタイミングをつかみ、時間を合わせながら時間的な設計図の作成、タイミングの決定をしなければなりません。
その上でタイミングにしっかりと合わせつつ、要所での姿勢を全て動画に描き、それに合わせるトレーナーの手の動きを作り、床に足を付けながら踊ってみせなければなりません。このとき、最初作成したタイミングにその後の作業を合わせていくことで、別に録音した手拍子の音と声優のセリフを合成し、最終的に撮影処理まで行って「ダンスしながらしゃべりつつ手拍子に合わせてレッスンを行う」という実に複雑な場面が作成されます。
ここだけでも大変なのですが、さらに後半には「歌とダンスに合わせて激しく踊るライブ」を作っています。作業の繊細さとアニメーションの持続する時間のことを考えると、TVアニメでよくこんなものが作れたなと思えるほど、すばらしい作品になっていました。
ただし、他の回でもそうなのですが、手を抜ける部分では手を抜いて作られているのも、本作の特徴です。メリハリがあるわけですね。
日常生活動作
他にも
・晴がリフティングする場面
・スカートをはいているプロデューサーのダンス
・晴が「笑っちまってわりぃ」とプロデューサーに謝る場面(晴の動きが止まらない!)
など、注目すべき場面が多いです。
これらのような、何気ない動きを丁寧に作ることの積み重ねによって、彼らの実在感、解像度は増していきます。
日常生活動作を丁寧に作画してある作品は、基本的に全体の印象がよくなっていきます。私たちは「生活するもの」ですから、日常生活動作は生命活動の基本です。つまり、アニメーションの基本だとも言えます。
結城晴とアイドル衣装と
考えてみれば、アイドルだからといってフリフリの衣装を着なければならない、と、決まっているわけではないはずです。しかし、今回のような急にやることになった仕事については、そう簡単に衣装のデザインを変えることはできません。ライブにおいて「統一感」というものも1つの見せ場だからです。
晴が何故スカートの衣装に難色を示していたのか。晴がボーイッシュだから、ということでもないし、自分の身体の性やこころの性に違和感を持っているということでもなさそうです。実際、本作のオープニングアニメなどではスカートのヒラヒラ衣装も着こなしています。
スパッツを身に着けた上でスカートの衣装を合わせた姿でバックダンサーをやり遂げるのを見ていても、どうしてもいやだということではなく、単に着慣れていない、恥ずかしいといったことが晴をためらわせていたようです。
掘り下げるととんでもない方向に行きかねない問題ですので、それらのことは他の専門の論者に任せることといたします。
それにしても、新曲2曲は豪華でした。
このお話は、ここまでにいたしたく存じます。