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TVアニメ「アイドルマスターシンデレラガールズ U149」第11話 感想と解題②子どもの伴走者
前回の続きです。細かいところもちょっとずつ突きます。
プロデューサーがありすの親と面談を始めようとする場面。急速PANの後、プロデューサーをとらえるカットになったとき、彼はちょっと目をそらすような描写があるのが気になっていたのですが、彼は自分の左腕の腕時計を観ているのだと推測されます。「ありすがまだ来ていない」のは、「何かがあった」ことくらいしか考えられません。だからこそプロデューサーは焦るのです。
ありすを探している途中、一度だけ事務所の様子が描かれています。ここでありすのお母さんのスマホを覗くことができます。画面はメッセージアプリのもので、それまでに描き込まれているメッセージを見ると、面談が行われる前のやり取りだけで止まっています。
そして、文章の入力画面にはただ
「ありす、」
とだけ入力されているのが分かります。
かける言葉が分からなかったのでしょうか。
プロデューサーの脳裏に走るありすの姿と鈴の音。彼は何を感じ取ったのでしょうか。少なくともそのおかげか、彼はありすをだれよりも早く発見できました。そのことは大きな救いであるように感じられます。
「ありす扱い」
ありすはプロデューサーに突きつけます。
どうして、いつも適当なことばかり言うんですか?大人のくせに!
これによく似ている構図がこの作品の冒頭にもありました。プロデューサーと上司たちの会話です。「大人たちの都合」だけで「子どもたち」を振り回していることにも気付かない彼らに対して、同じようなことをプロデューサーは感じていたかもしれません。
それが、自分とありすの間にも横たわっていることだった。
ここで彼は真摯にありすに向かって話し続けました。その姿勢は「子ども」に対するもの、というよりも、「ありすに対するもの」といえるように思います。子どもでもなく、大人でもなく、ありすをありすとして扱う。
これ、なかなか出来ることではありません。
これこそが、プロデューサーの「特性」であり、「特技」なのでしょう。
「よだかの星」
お母さんの隣で寝ているありすの顔に、星形の光が当たっています。カメラが引いていくと、お母さんは本を手に持っています。読み聞かせていたのでしょうか。
その本は「よだかの星」と思われます。宮沢賢治の作品ですね。
このお話において「よだか」は、ラストには、星になって天で輝きます。何となくですが、「お願い!シンデレラ」の歌詞を彷彿とさせます。
ありすもまた、天で輝く日が来るのでしょうか。
両親と他のメンバーがそろっているところで、ありすはお母さんに呼ばれ、駆け寄っていきます。プロデューサーは振られたかのような表情でありすを見送り、「橘さんも一緒に考えて欲しい、なんて言えないよな」と、声にこそ出しませんが独りごちます。
私は、彼はここでそう言ってしまってもよかったのではないか、とも思ってしまいます。少なくとも、アイドル活動をするときのありすの伴走者はプロデューサーですから。
しかし、それでも。
お母さんの、両親の「一緒に悩ませて」という言葉にはかなうことはないのでした。
今まで見たことのない、笑顔のありす。それを見上げるプロデューサーは何を思ったでしょうか。
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![佐分利敏晴](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/78363619/profile_bcf4db3ab6e49db939ed43e82b6ebd47.jpg?width=600&crop=1:1,smart)