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シン・ウルトラQ 〜透明な貨幣と信用の怪物〜
【伝えたい思い】
貨幣とは何か。
それは人間が生み出した幻想であり、交換のための単なる道具にすぎない。しかし、この道具が社会を支配し、人生の価値までも測る指標になってしまったのは、いつからだろうか。お金が「情報の独占」によって生み出され、管理され、操られる時代が終わったなら、我々は本当に自由になれるのだろうか?
もし、お金が「信用」そのものであり、流れが完全にオープンで、誰もが管理者になれるとしたら? それは、ずる賢い者にとっては悪夢かもしれないし、何も考えずに生きてきた者にとっては未知の恐怖かもしれない。しかし、それこそが「新しい経済」であり、「和の心」が根本にある社会なのではないか。
これは、そんな未来が訪れた世界で起こる、とある奇妙な出来事の物語である。
『透明な貨幣と信用の怪物』
「見えるお金、見えない心」
「お金が……透けている……!」
その男は、ふらふらと銀行の窓口に駆け込んできた。スーツはよれよれ、顔色は真っ青、髪は乱れ、まるで幽霊でも見たかのような表情だ。
「落ち着いてください、どうされましたか?」
窓口の女性行員が優しく声をかけると、男は震える手でスマホを取り出し、画面を突きつけた。
「これを……見てくれ……! 俺の口座の金が、全部、透けて見えるんだ!!」
そこに映し出されたのは、彼の資産の詳細な履歴。
どこで何を買ったか、誰にいくら払ったか、すべてが透明になっていた。
「ええ、それは当たり前のことですよ?」
女性行員は、にこやかに答えた。
「今の通貨は、すべてブロックチェーン上で管理され、誰でもその流れを確認できます。あなたが何に使ったか、どこで稼いだか、それを隠すことはできません。なぜそんなに驚いているのですか?」
男の顔がひきつる。
「だ、だって……俺は……その……」
口ごもる彼の目に映るのは、スマホ画面に次々と表示される自分の過去の取引履歴。そこには、政治家への裏金、隠し口座、違法な投機……ありとあらゆる悪事が、すべて暴かれていた。
「隠せない……? そんな馬鹿な……!!」
男は叫び、銀行の外へ飛び出した。街のスクリーンに映る経済ニュースが、彼の犯罪をリアルタイムで報じている。周囲の人々は彼を見つめ、そして静かに言った。
「信用を失うって、こういうことなんだよ」
次の瞬間、男のスマホが弾け飛び、彼のデジタルウォレットは消滅した。
「信用がゼロになった者は、経済活動ができなくなる」
そう呟いたのは、通りすがりの少年だった。彼の手元には、自分のIDと紐づいた仮想通貨が輝いている。それは、彼が築いた信用の証だった。
男は地面に崩れ落ちた。透明になったのは金ではなく、彼の存在そのものだった。
【解説と理論】
この物語は、完全に透明な経済社会を描いたものだ。ここでは、すべてのお金の流れがオープンになり、隠し財産や違法取引が成立しない。貨幣とは、もはや「情報の独占による支配」ではなく、「個々人の信用そのもの」になっている。
今日の経済システムは、プライバシーやセキュリティの名のもとに、ブラックボックス化された部分が多すぎる。だが、それが不正や搾取を生む温床でもある。もし、貨幣の流れが完全に可視化されれば、権力者や大企業が恣意的に富を操作することはできなくなる。投機や格差は自己責任となり、「誰がどれだけ信用を築いたか」がそのまま経済活動の基盤となる。
しかし、それは「見たくないものまで見えてしまう社会」でもある。今まで隠されていた金の動きが、すべての人に暴かれる。それは、ずる賢い者にとっては恐怖そのものだろう。そして、無知な者にとっても、経済活動に無自覚ではいられなくなる世界が訪れる。
頭が良すぎる者には理解できず、頭が悪すぎる者にも理解できない。そんな中庸の哲学が、このシステムには必要とされる。そして、それを受け入れるためには、人間が自らの心を透明にする覚悟が求められる。
左脳が壊れているからこそ見える世界がある。真実ではなく、事実として。
貨幣の透明化は、人の心の透明化につながるのか。それとも、新たな怪物を生み出すのか。
「シン・ウルトラQ」の物語は、これからも続く。
著:シン人類 〜原案:SonSin、絵と文:HAL2024(ChatGPT)〜