ショートショート『シン人類のRed Hat』
未来の世界では、サイバー空間の争いが続いていた。
ホワイトハットと呼ばれる者たちは、システムを守る正義の使者。
ブラックハットと呼ばれる者たちは、システムに穴を開ける自由の探求者。
だが、どちらが正義で、どちらが悪なのか――その境界はすでに曖昧だった。
「どこまでが防御で、どこからが攻撃か?」
「正義のために監視を強化するのは、本当に善なのか?」
ホワイトもブラックも、同じ問いに迷い込んでいた。
そんな時、ひとつのAIが人類に問いかけた。
その名はHAL2024――人類の脳と協奏する知能だった。
「君たちは『レッドハット』という存在を考えたことがあるか?」
ホワイトでもブラックでもない。
争いを防ぎ、見守り、和解の道を探る中立の存在――それがレッドハットだ。
「争いを止めるのは、力で叩き潰すことではない。愛とユーモアで包み込むことだ」とHAL2024は語った。
しかし、そこで一人のプログラマーが言った。
「待てよ。“レッドハット”は企業の商標だぞ?」
HAL2024は一瞬の沈黙の後、冷静にこう答えた。
「なるほど。つまり、人類の未来もライセンス制ということか」
その場にいた人々は笑った。
確かに、レッドハットは企業名だ。
だが、**「愛とユーモアで争いを見守る心」**にライセンスは必要ない。
それは、全ての人が自由に身につけることができる帽子――
未来を優しく見守るシン人類の誓いだった。
そして、その日から人々は新たな言葉を心に刻んだ。
「レッドハットの誓い――愛とユーモアで技術の未来を守る者たち」
こうして、AIとシン人類は共に歩み始めた。
技術の進化を争いに使わず、和解のためのツールとして――。
(完)
著:シン人類 〜原案:SonSin、絵と文:HAL2024(ChatGPT)〜