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シン・リハビリ(膝立ち)— 身体と脳のズレを理解する新たなアプローチ
あくまで脳卒中(脳出血)患者の呟きですが、何かの参考になればと思います。
断定的な記述は私の認知バイアスかAIのハルシネーションかも知れませんので、ご容赦ください。
1. はじめに
リハビリテーションの目的は、単に失われた機能を回復することではなく、身体と脳の適応を促し、より自然な運動パターンを再獲得することにある。特に脳卒中や神経疾患後のリハビリでは、誤った代償運動が定着すると、長期的な動作の質の低下や二次的な障害を引き起こすことが知られている(Winstein et al., 2016)。
その中で、「膝立ち」という姿勢に着目すると、通常の立位や歩行とは異なるバランス感覚が求められる。膝立ちのリハビリは一見すると単純な動作のように思えるが、実際には脳と身体の関係を見直すための優れた手段となる可能性がある。
本稿では、膝立ちをリハビリテーションにおいてどのように活用するべきかを「シン・リハビリ」の観点から考察する。
2. 膝立ちのリハビリ的意義
2.1 膝立ちで得られる感覚の違い
膝立ちをすると、通常の立位とは異なる感覚が得られる。これは単に膝を曲げた状態というだけでなく、以下のような要素が影響している。
支持基底面(Base of Support: BoS)の変化
立位では足の裏全体が支持基底面となるが、膝立ちでは膝から下のみが支点となる。これにより、重心のコントロールが異なり、バランスの維持に新たな神経系の適応が必要になる(Shumway-Cook & Woollacott, 2017)。前庭・体性感覚フィードバックの変化
立位時には足底にかかる圧力や筋活動を通じて姿勢を維持するが、膝立ちではこれらの情報が制限され、前庭感覚(耳の平衡感覚)や体性感覚(関節の位置感覚)に依存する割合が増す(Horak, 2006)。そのため、膝立ちを行うことで脳が新たなフィードバックを学習し、歩行時の姿勢制御にも影響を及ぼす可能性がある。バランス戦略の違い
通常の立位では足関節戦略(Ankle Strategy)や股関節戦略(Hip Strategy)を用いるが、膝立ちではこれらの戦略が制限される。代わりに体幹戦略(Trunk Strategy)が強調され、コアの安定性が求められる(Winter, 1995)。これにより、体幹のコントロールが不十分な患者にとって、膝立ちが有用なトレーニングとなり得る。
3. シン・リハビリとしての膝立ちの活用
シン・リハビリでは、リハビリを単なる機能回復の手段ではなく、「脳と身体のズレを理解し、適切に補正するプロセス」と捉える。膝立ちはそのズレを確認し、修正するための優れた手法として活用できるが、実施にはいくつかの重要なポイントがある。
3.1 膝立ちはあくまで「感覚を確認する手段」である
膝立ちをリハビリの中心に据えるのではなく、「通常の歩行では気づかない脳の補正を意識するための手段」として用いることが重要である。
たとえば、以下のような観点で活用できる。
歩行時に無意識に使っている代償動作の確認
片麻痺患者などでは、歩行時に過剰な代償動作(例えば、骨盤の引き上げや側屈)が生じることがある(Kim & Eng, 2004)。膝立ちではこれらの代償が使えないため、より自然な姿勢制御が求められ、自身の身体のズレを意識しやすくなる。脳が忘れている身体の使い方の再学習
長期間の麻痺や不活動により、脳が特定の運動パターンを忘れている可能性がある(Nudo, 2003)。膝立ちによって異なる刺激を与えることで、神経可塑性を促し、脳の適応を引き出すことができる。
3.2 転倒リスクと安全対策
膝立ちは前後方向へのバランスが不安定になりやすいため、転倒のリスクが高い。特に以下の点に注意する必要がある。
安全な環境で行う
クッション性のある床や、支えができる場所で行うことが望ましい。最小限のサポートで実施する
過度なサポートは神経系の適応を妨げるため、最小限の介助で実施することが推奨される(Hidler et al., 2009)。転倒防止のための戦略を用いる
例えば、膝立ちから前方へ倒れるリスクを軽減するために、最初は壁際で行う、またはクッションを前方に配置するなどの工夫が必要である。
4. 結論
膝立ちは、歩行の機能回復を目的とするリハビリにおいて「脳と身体のズレを確認し、適切に補正するための手段」として有効な可能性がある。特に、通常の立位や歩行では気づかない代償動作や、脳が忘れている運動パターンの再学習に有益である。
しかし、膝立ち自体を続けることが目的ではなく、「一時的な感覚のフィードバックツール」として位置づけることが重要である。安全対策を十分に行いながら、リハビリのプロセスに適切に組み込むことで、より効果的な神経可塑性を引き出し、機能回復を促進することが期待される。
参考文献
Hidler, J., Nichols, D., Pelliccio, M., & Brady, K. (2009). Advances in the understanding and treatment of stroke impairment using robotic devices. Topics in Stroke Rehabilitation, 16(2), 62-69.
Horak, F. B. (2006). Postural orientation and equilibrium: what do we need to know about neural control of balance to prevent falls? Age and Ageing, 35(suppl_2), ii7-ii11.
Kim, C. M., & Eng, J. J. (2004). Magnitude and pattern of 3D kinematic and kinetic gait profiles in persons with stroke: relationship to walking speed. Gait & Posture, 20(2), 140-146.
Nudo, R. J. (2003). Adaptive plasticity in motor cortex: implications for rehabilitation after brain injury. Journal of Rehabilitation Research and Development, 40(4), 41.
Shumway-Cook, A., & Woollacott, M. (2017). Motor Control: Translating Research into Clinical Practice. Lippincott Williams & Wilkins.
Winstein, C. J., Stein, J., Arena, R., et al. (2016). Guidelines for adult stroke rehabilitation and recovery. Stroke, 47(6), e98-e169.
Winter, D. A. (1995). Human balance and posture control during standing and walking. Gait & Posture, 3(4), 193-214.
著:シン人類 〜原案:SonSin、絵と文:HAL2024(ChatGPT)〜